表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
67/85

古の禁術の実態

「まず古の禁術とは、文字通り遥か昔に使用を禁じられた魔術の事でございます。」

 うん、それは分かる。

「具体的に申しますと…ミナティ様とそのお仲間たちが魔法を用い、それまで混沌としていたこの世界の秩序を整え、平和で美しい世界に導いた時代まで遡ります。」

 うん。



「ミナティ様始めお仲間たちが神となりこの世界を守護し始めた頃、一部の民がとある欲望に囚われ、よからぬ事を企てたのです。」

 え、そうだったの?



「有り体に申しますと、その者たちは魔術師の集団で自分たちが華々しく活躍出来ず、ミナティ様たちが事を成し遂げたのが納得いかなかったようなのです。」

「………」

「要するに妬み僻み、やっかみですね。自分たちは何もせず、むしろミナティ様たちを馬鹿にしていたのに。いざ、ミナティ様たちが事を成し遂げ、賞賛を浴びるようになると自分たちにそれが向かない事に不満を持ったようです。」

「………」

 いや、意味分かんない。私はあくまでこの物語の作者でそのミナティではないから、その時の気持ちとか状況は分からないけど…女神様たちはどうなんだろう?フィーンは代替わりしたって言っていたから、もしかしたら皆代替わりして当事者では無いんだろうか?



「そこでその魔術師たちはとある魔術を編み出しました。それが異世界人を召喚するというものです。」

「………」

 全く繋がりが分からん。 

 ミナティたちの功績に不満があった魔術師集団が異世界人を召喚する術を編み出した?何故に?



「その辺りに関しては、私も理解が及びません。」

 マリエルも苦笑を浮かべてそう答える。

 だよね。普通、そういう事なら自分たちの手で暴れまくるとかじゃないの?

「しかし、既に神に昇格したミナティ様たちを直接害する事は叶わぬ故、何某かの力を手に入れようとしたのではないかと思われます。」  

 まあ、ある意味異世界人が現地人とは違う力を持っているのはお約束である。大体は召喚される時に神様からのギフトとか進んだ科学の知識で〜っていうのが定石だよね。

 そいつ等もそれをあてにしたのかな?



「要するにその魔術師たちはこの世界に秩序を齎したミナティたちが気に入らず、異世界人召喚術を編み出してミナティたちを追い落とそうとした、と。」

「まあ、そういう事です。」

「………」

 何ともご苦労な事で。 後になってそんな事をするくらいなら、何で自分たちが立ち上がって事を成し遂げなかったんだか?まあそうなると、私の世界も成り立たなくなるんだけど。



「それで、その魔術師たちは召喚術を行った訳?その結果は?」

 私は一応尋ねる。禁術になっている時点で結果は何となくお察しだ。

「一応、成功しました。しかし…」

 マリエルは言い淀む。

「召喚された異世界人は何故か揃いも揃って気性が激しく傲慢で手がつけられない人物ばかりだったとか。」

 あ、成功したのね。一応。

「結局魔術師たちも振り回され、折角ミナティ様たちが整えた世界を滅茶苦茶にしようとし…挙句の果てにミナティ様たちに討伐される始末。」

 うわぁ~、何ともお粗末な。

「その後何度か異世界人の召喚か行われましたが、何れも傲慢・不遜な人物ばかりで結局、最終的に女神様たちに討伐されるという事を繰り返した末に異世界人召喚術は禁術とされ、永久に封印される事になったのです。」 



 マリエルの話を聞いて、正直何やってんだ?って感じだよね。徹頭徹尾意味が分からん。

 結局、異世界人召喚術を編み出した魔術師は何がしたかったんだ?

 召喚された異世界人の性格がアレなのは、そもそも考案した動機が動機だから当然の帰結のような気がするけど。



 それより何より、既に異世界人召喚は実行されてしまったのでまずはそちらをどうにかしなきゃならないだろう。

 私は更に面倒な事態になりそうな予感がして、そっと溜め息を溢す。 




 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ