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大魔法使い(先代)マリエル、見参!

「と、いう事でございます。」

「………」

 本日、この世界に来た早々に女王様から勇者・聖女たちに関する報告を受け、私は頭を抱える。

 女王様の話しだと、異世界人召喚をやらかしたエスターシェンは当初勇者・聖女たちに下にも置かぬ待遇だったらしいけど、奴らの態度が余りにも横柄で手が付けられなくなり、奴らの身柄をミナティリアに押し付けようとしたらしい。



 当然女王様は慇懃な塩対応をしたらしいけど、まあ当たり前だよね。

 まだ状況が全く掴めていないこの時期に、先走って異世界人を召喚した挙げ句、自分たちの思い通りにならないからと言って他所の国に押し付けようとか、虫が良すぎるっつーの!



 しかし…話に聞く勇者・聖女たちときたら……

 私が予想していたよりも遥かに酷いわ。

 まあ、奴らの気持ちもある程度分からんではない。

 いきなり訳分からん世界に呼び出され、あなたは勇者・聖女です。この世界を救って下さい!と言われれば驚くし、自分は選ばれた人間だ!これから異世界で活躍して英雄になって人生薔薇色だ!くらい思っただろう。何ならハーレムや逆ハーレムなんかも夢想したかも知れない。



 しかし蓋を開けてみれば、その世界は魔王も魔物も存在しない。せいぜいダンジョンだと疑われる洞窟や遺跡があるだけだ。期待外れもいい所だろう。



 しかし、だからと言って奴らの態度は頂けない。

 期待外れ&拍子抜けしたからと言ってやっていい事と悪い事がある。 

 聞けば、今回召喚された奴らは全員二十歳を越えているというから、その辺の事が分からん筈は無いと思うのだが。


 

 それはさておき、何はともあれ勇者・聖女連中は戦い方を覚えなければならないという事で、剣術や体術、魔法の訓練を受けているとの事だが…

 話しを聞く限り、奴らはありとあらゆる事に不平不満を言い、折角の武術や魔法の訓練ではとても不真面目な態度で臨んでおり、サボる事もしょっちゅうなんだとか。

 更にはことある事に我儘を押し通そうとして、周囲に迷惑をかけまくっているそうな。

 本当、何やってんだか。折角武術と魔法を教えて貰っているのだから、ちゃんと学べばいいのに。

 ただで習いごとが出来るって貴重だぞ?



 そして、今日はとっても大切なお客様が来ている。

 先代の大魔法使いで、現在はポーラ村で後進の育成(村のちびっ子たち)に励んでいるマリエルが王都まで足を運んだのだ。

 マリエルは弟子から古の禁術が使用された事を聞きつけ、わざわざ私や女王様に概要を説明する為に来てくれたのだそう。

 マリエルの傍らには、現在の大魔法使いフレデリカが控えている。



「お初にお目にかかります、ミナティ様。」

 マリエルが一礼する。

 “おおぅ!マリエル!本物のマリエルだ〜!”

 私は密かにテンション爆上がりである。

 だって、マリエルだよ?ポーラ村に住んでいる。ポーラ村第一村人に遭遇だよ?



「それではお話し致します。古の禁術とは…」

 私の興奮が落ち着いた頃を見計らって、マリエルが説明を始める。と、その時

「マリエル!来たのね!」 

 マグノリア学園長、レイシー=ブリュンが満面の笑みで飛び込んで来た。

「これはレイシー様。お久しゅうございます。」

 マリエルが一礼すると

「そんな堅苦しい事は言いっこ無しよ!私と貴女の仲じゃない!」

 珍しくレイシーが興奮しているようだ。って、そういえばマリエルはレイシーが女王様だった時の大魔法使いだったんだっけ?多分、気心が知れた側近だったんだろうなぁ。

「そういう訳には…」

 マリエルは苦笑する。

「いいじゃない!私たちはもう女王でも大魔法使いでも無いわ。ただのレイシーとマリエルでしょ?」

 レイシーの様子にマリエルは苦笑し

「それはそうですね。」

 と返す。



「では、改めて…」

 ようやくレイシーが落ち着き、マリエルの語りに皆、真剣に耳を傾ける。

 


 

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