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女神様たちの会合

 ここは王都総合神殿。本日、主だった女神たちが緊急招集されていた。

「ふう。」

 サラマンディアが疲れた表情で席に座る。

「お疲れ様でした、サラマンディア。」

 リブラが労をねぎらう。

「ああ。」

 サラマンディアは短く返事を返す。

「それで、どうしましたの?」

 フレイジアがからかうように尋ねる。

「サラマンディアから招集を受けるとは珍しいですね。」

 とはベレンガリアだ。



「ああ、すまないな。早急にお前たちの耳に入れておきたくてな。」

「まあ、何ですの?」

 ポレーナが問いかける。

「先日、私はモルト領へ行って来た。」

「モルト領?そこにはサラマンディアの神殿はありませんわよね?」

 リブラが首を傾げる。

「ああ。ミナティ様に呼ばれた。」

「ミナティ様?ミナティ様がモルト領まで行かれたのですか?」

 ベレンガリアが驚いた表情になる。現在の描写状況では、まだそこまで足を伸ばせないのではないか?

「ああ、いらしていた。どうやらモルト伯爵家の三女セーラ嬢が例の転生者だったようだ。」

「あら、そういう事ですの。」

 ベレンガリアは納得したようだ。

「でも、何故ミナティ様に呼ばれたの?」

 アーティアの質問にサラマンディアは真剣な表情になる。

「ミナティ様とセーラ嬢の一行が領内の洞窟にて夥しい数の魔物に襲われていた。」

 


「は?」

「どういう事?」

 途端に場は騒めく。

「私も詳細はまだ掴んでいないが、何でもその洞窟は一月程前に突如出現したものらしい。」

「は?意味分かんない…」

 ソランツァが呆然と呟く。

「ああ。まず洞窟がある日突然出現するという事自体異常だが、その内部に凶悪な魔物が棲み着くというのは更に異常事態だ。」

「………」 

「その事を不審に思ったのだろう。セーラ嬢はミナティ様にこの洞窟を見てもらいたくてモルト領に招いたそうだ。」

「…何で?」

 フィーンが首を傾げる。

「恐らくミナティ様が想定したものであるかを確認したかったのだろう。しかし、ミナティ様には一切覚えがないそうだ。」

「またそれ?」

 アーティアが渋い顔をする。この作品、何故か創作者の意図しない設定が所々適用されている事を女神たちも把握している。



「そこで、セーラ嬢の強い希望でモルト領の騎士団と我が神殿の神官二名、そしてセーラ嬢とミナティ様の編成で探索する事になったそうだ。」

「…え〜、そんな胡散臭い洞窟を探検したの?」

 ソランツァは感心した。自分だったら絶対の絶対に御免被る。

「ああ。正直ミナティはかなり不本意だったらしいが…放っておく事も出来ないと勇気をふるったという事だ。」

「え〜、何で?」

 アーティアが不思議そうに首を傾げる。

「あの方の責任感だろう。ミナティ様は決して途中で投げ出すという事をしない。まあ、それはさておきだ。」

 いよいよここからが本題だ。

「洞窟を入ってしばらくは何事も無かった。しかし、洞窟内に現れた階段を下った時、状況は一変した。」

「………」

「階段を降り少し歩いた頃、気がついたら魔物に囲まれていたそうだ。」

 サラマンディアの話しに誰も口を挟めない。

「そこで戦闘が開始したが…魔物相手に勝手が違ったのか騎士団は即壊滅こそしなかったが、歯が立たず蹂躙されていったようだ。」

「まあ…」 

「そこでミナティ様が私を呼んだ訳だが…その時の有様は惨憺たるものだった。」

「………」

「妙な胸騒ぎがしたので私は従神たちと共に召喚に応じだが…正解だった。」 

「え?」 

 ソランツァが聞き返す。 

「あの場に赴いて確信したが…あれは恐らく侵略者の仕業だ。」

「な!何ですって?」

 フレイジアの声が上擦っている。

「あの場の騎士たちも異様な気配を放つ傷を負っていたから、ミナティ様にヨーティアを呼んで頂き処置して貰った。」

「え?ヨーティアも行ったの?」

 フィーンは驚いた表情だ。

「ええ。あれは間違いなくこの世界では有り得ない、この世界のものでは無い邪気を放っていたわ。」 

 誰も言葉が出ない。

 それは、紛れもなく悪意ある侵略者が明確にこの世界を蝕んでいる、確かな証拠であった。

「ミナティ様がそれを承知で私を召喚した訳では無いようだが…何かを感じ取ってはおられるようだ。私を呼んだのもその為だろう。」

「………」

「ミナティ様は精一杯、お力を尽くされている。我々も気を引き締めて行こう。」

 サラマンディアの言葉に、皆は身を引き締める。

 







 


 

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