思いがけない再会2ー4
「それでさ。この世界を救う方法って、美奈子が話を進める事だよね?そして美奈子は描写しなければ、そこに行くことは出来ないんだよね?」
ロザリーちゃんは確認してくる。
「うん。」
「なのに実際は美奈子が描写していない事柄なのに現実として存在し動いていて、尚且つ以前設定したものの没にした筈の設定が何故か適用されている。」
「………」
そうなんだよね。本当、何でなんだろう?
「でね。私とシンシアで考えたんだけど、美奈子って、話の分岐点で進む道を決める役割なんじゃない?」
は?どゆ事?
「ほら。心理テストなんかでよくあるじゃない?一つの質問にYesかNoで答えながら進んで行って、幾つかある回答に向かって進んで行くやつ。」
ああ、何となく分かった。
「だから一つの道を選んだら、次の分岐点までは既に決まっているって事じゃないの?」
言われてみればそんな気もするけど…それって、私の作品って言えるのかな?
「まあ気にしない気にしない。」
フローレ様が笑ってそう言う。
「だって。この世界を美奈子ちゃんが作ったんだとしても、この世界で私たちは生まれて生きているんだもの。」
まあ、そうだよね。
「だから、私たちの行動によって起こる結果による可能性の一つを美奈子ちゃんが選ぶって事じゃないかな?」
えぇ〜!それって、皆の可能性を私の一存で決めちゃうって事?やだよ、そんなの…
「でも。創造神って、案外そういうものなんじゃない?」
ハルモニア様が仰る。そうなのかな…?
「創造神は普段は私たち人間が分かれ道を選び、その行動と結果を見守っている。そしていざという時に創造神がその権限を行使する、って事じゃない?」
う〜ん、分かったような分からないような…
「美奈子ちゃんが女神様に救ってくれって頼まれたのは、この世界が“悪意ある侵略者”に侵略されているからでしょう?という事は、その訳の分からない侵略が無ければ美奈子ちゃんはこの世界に呼ばれる事は無かったのよね?」
うん。それは間違いないよね。
「だったら今は、そのいざという時。非常事態だという事だわ。だから創造神である美奈子ちゃんが大事な分岐点を選ぶって事じゃないかしら?」
「………」
それが本当なら責任重大だよ。
私、ほんの気晴らし・憂さ晴らしで気楽に小説を書いていただけなんだけどな…
「もしもそういう事なら、没にした筈の設定が適用されている謎も何となく理由が分かる気がするわね。」
カトレア様がそう呟く。
「え?」
私はそれを聞いて目を丸くする。
カトレア様は想像を逞しくすれば、と前置きして話し出す。
「美奈子はこの世界の話を書き始めてまだそんなに経たないんでしょう?」
「うん。」
「だったら設定も描写もまだまだ空白だらけで、その分侵略者に付け込まれ放題だった。それを阻止する為に、例えば私たちをこの世界に転生させた神様辺りがそういう細工をしたのかもね。」
「………」
私は言葉が出ない。余りに壮大過ぎて頭がついていかない…
まあ、設定が穴だらけで早くその穴を埋めろと女神様たちにはせっつかれている訳だから、当たらずとも遠からず!って所だとは思う。
「そういう事なら、この世界に転生してきた私たちの役割って何なのかしらね?」
マリーゼ様が首を傾げる。
「多分…この世界の創造者といえども、この世界の習慣や常識に疎い美奈子をサポートするって所じゃない?」
アンジェラ様が見解を述べる。それは純粋に助かる。是非ともサポート、お願いします!
「後、揃って貴族令嬢というのも意味がありそうよね?」
「そっか。人脈って事ね。」
確かに貴族様は何だかんだで知り合いが多そうだよね。
「あ!だったら今後、裕福な商人とか才能を認められてマグノリア学園に入学してくる庶民にも該当者がいるのかも!」
マリーゼ様がハッとして思わず大きな声を出す。
「あ。確かにその線もあるかも知れないわね。」
「………」
皆、何故か凄く張り切って意見を出し合っている。
私はその様子を呆然としつつも、何だか嬉しく感じながら皆を見つめていた。