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思いがけない再会2ー2

「ほら、もう泣き止みなさい。」

 私はハルモニア様こと浅川葉月さんに優しく涙と鼻水を拭ってもらう。

「…うっ…うっ…だ…だってぇ…」

 私はまだグジグジ言っていた。

「みーちゃんの泣き虫は、昔とちっとも変わらないのね。」

 アンジェラ様こと工藤真知子さんは、そう微笑みながら私の頭を撫でてくれる。

 葉月さんと真知子さんは私が小学校の頃のご近所さんで、葉子以外の友達が出来なかった私とよく一緒に遊んでくれた。

 二人とも私より二つ年上で、正直私の相手は退屈だっただろうに嫌な顔一つしないでいつでも相手をしてくれた。

 私が中学に上がる頃にまずは葉月さんのお家が、そしてその数ヶ月後に今度は真知子さんのお家が遠くへ引っ越してしまい、それっきり会う事は無かった。



「まあまあ。美奈子はそこが可愛いんじゃない。」

 というのはカトレア様こと石崎智恵乃さん。

 智恵乃さんとは高校二年の時のクラブ活動で一緒だった人だ。

 その時のクラブは手芸クラブで、一年間クラブ活動の時間は隣に座って仲良く作品を作っていた。

 智恵乃さんは話し易い人で、当時既に人嫌い全開の私が珍しく何でも話せる人だった。

 三年生になりクラブが代わった事で交流は途絶えたけれど、その後の風の噂で不治の病に罹り還らぬ人になったと聞いていた。



「そうよねぇ。美奈ちゃんは素直だもの。」

 ソニア様こと岡島佐保さんは智恵乃さんに同意している。

 佐保さんは智恵乃さんと同じく高校での知り合いだ。佐保さんとは一年の時のクラスメイトで、彼女はその頃から歴史が大好きだった。 

 佐保さんは歴史の謎というのが兎に角大好物で、ちょっとクラスから浮いていた。そこで浮いた者同士よく一緒にいたんだ。その時はよく歴史の謎についてよく聞かされたものだ。

 私も歴史は好きな方だったから、佐保さんの話しは中々面白かったよ。

 大学に入って同じく歴史好きの沙織を紹介した所、二人は意気投合したみたい。休日にはよく三人で歴史スポットや神社巡りをしたもんだよ。

 そして大学二年の夏休みに二人は予てから計画していた歴史スポット巡りに行き、その途中で事故に遭った…



「美奈子ちゃ〜ん、また会えて嬉しいよ〜!」

 そう言って抱きついてくるのはフローレ様こと梅田弥生ちゃん。

「美奈ちゃ〜ん、会いたかった〜!」

 弥生ちゃんに負けじと抱きついてくるのはマリーゼ様こと有本桜ちゃん。

 二人は共に小学生の時の転校生だった。

 弥生ちゃんとは三年生の時に、桜ちゃんとは五年生の時に私のクラスに転校して来た。

 この頃から集団からハブられがちだった私に、何故か近寄ってきたのがこの二人だった。

 その事に戸惑って、素っ気ない態度の私に何故かこの二人は全くめげずに話し掛けてきた。一緒にいた時期も再び転校していった時期も全く異なるのに、二人は私が驚くくらい同じ行動をした。…クラスの他の子が一生懸命あの子たちを誘って私から引き離そうとしても、二人は頑として聞き入れなかったみたい。

 それが嬉しくて、でもある時不意に消えて無くなりそうで、素直に手を伸ばせなかったけれど…



「だってぇ…。また会えるなんて思わなかったんだもん…」

 そう。本来ならばもう会うことは叶わなかったのだ。それも、永久に。

 沙織と佐保さん、智恵乃さん以外は亡くなった事は知らなかったけれど…この人たちがこの世界に生まれ変わったっていう事は、やはりそういう事だろう。

 何故こんな事が起きているのかは分からない。

 でも、もう二度と決して会う事が叶わない彼女たちと、姿形も名前も変わってしまったとしても、もう一度会えた事が嬉しい。

「そうね。私達も嬉しい。」

 そう言ってまだしゃくり上げている私を、皆は優しく抱きしめてくれた。 


 

 

 

 

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