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真実の愛の末路〜オーガスト&アリス(アリス編2)

「ふふ。これを読んだマークはどんな顔をするかしら?」

 アリスは懸命に書いた手紙を封筒に入れ、大事そうに封をする。

「マーク。貴方を信じているわよ。」

 私を、この地獄から救い出してくれる事を。



 マークと自分は同い年の幼馴染で、いつも一緒にいた。

 幼い頃はいつも一緒にそこら中を駆け回っていたし、学校に上がってもずっと一緒だった。

 マークの家は裕福な商人の家で、マークは周りの奴らよりもいい教育を受けることが出来た。

 対する私は貧乏ではないけれど裕福ともいえない家庭で、パパは仕事人間、ママは有り得ないくらい不器用な人でママが何かする度に家中大わらわ。結局、家事は全部私がやっていたのよ?

 マークとは一緒に通学していたけど、勉学に励むマークと違い、私は学校の成績よりも自分の美貌を磨くことに忙しかった。だって、成績を上げるよりも美貌を磨いて玉の輿に乗る方が絶対に楽じゃない?幸い、私は王都で評判の美女と謳われるママの美貌をそっくり受け継いでいたから、それは決して叶わぬ夢じゃ無かったのよ?

 そして常にトップ二十の位置にいるマークと王都きっての美少女の仲は周りに周知されていき、やがて婚約という話しになったの。

 


 そして、パパが商売人として永く国を支えた功績によって男爵に叙爵されたのは数年前。そこから少しずつ私とマークの関係は変化していったの。

 具体的に言うと、貴族令嬢となった私と将来有望とはいえ庶民のマークとでは身分が釣り合わなくなったのね。

 いずれマークも叙爵するだろうけど、それはいつになるか分からない。

 何れにしても、貴族と庶民では住む世界が違う。

 私とマークは段々会う回数も減っていき、やがて全く会わなくなった。

 そんな時に現れたのがオーガストだった。

 


 ちょうどその頃に前世の記憶を取り戻し、さあどうしょうか?と思っていた所だったので、まさか攻略対象が自分から私に近付いて来るとは思いもしなかったわ。

 その時私は思ったの。マークとの別れはオーガストと出会う為に必要な事だったんだって。

 そして私と出会ったオーガストは急速に仲を深めて行ったの。

 


 ある日、オーガストが真剣な表情で私に言ったの。

 自分はロザリーと別れるから、私に自分と結婚してくれって。

 その時にオーガストは言ったのよ?自分と結婚すれば私の願いは何でも叶えてやるって!!

 なのに現実はどう?ロザリーに婚約破棄を突き付けた途端に何もかも失った!

 嘘つき嘘つき嘘つき………!!!

 私は贅沢な暮らしがしたかったのよ?毎日綺麗なドレスを着て、美味しい物を食べて、優雅にパーティーでダンスをして……

 オーガストの誘いに乗れば、それが叶う筈だった!だって奴は公爵家の息子よ?どんな贅沢もし放題でしょ?



 その点マークは去年男爵になったやり手の男よ。甲斐性ならダントツでマークの方があるわ。

 噂では、マークはあれから事業を広げて他国は疎か、東の大陸にまで勢力を伸ばしているっていうし。

 男爵ながら女王の覚えもめでたく、宰相やその補佐たち、その他重臣たちの信頼も厚いらしいわ。

 だったら、もうこんな落ちぶれたオーガストなんか見捨てて、マークに乗り替えるべきよね?

 きっとマークも大喜びで私を迎えてくれる筈だわ。

 だって、私とマークは幼い頃からず〜っと一緒だったんだもの。

 …今から貴方の元へ帰るわ。待っていてね、私の愛しいマーク…

 



 

 

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