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また自分の小説の中に入っちゃった…

 小説を投稿してから私はシャワーを浴びて夕食を取る。

 今日は仕事が休みで良かった。何とか一話書き終えて投稿出来たよ。

 夕食を終え、しばらくまったり過ごしてから私はベッドに入る。

 今日は頑張った。一日で一話書き上げるとか、今まで一度も達成した事無かったし。

 そんな達成感に包まれながら私は眠りについた。明日はどんな感じに話を進めようか…そんな事を考えながら。

 まさかまた、自分の作品の中に呼ばれるなんて夢にも思わずに…


   ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※


「え?また?」

 気が付いたらまた自分の小説の中に入り込んだと気付いた時、思わず口に出ていた。

「頑張って下さっているようですね、ミナティ様。」

 リブラにそう労いを受ける。

「うん、まあ…」

 しどろもどろに答える私。

「しかし!まだまだ足りませんわ!!」

 リブラは火を吐く勢いで私に吠えてくる。

「…はあ」

 そんな事言われても…私だって一生懸命やってるのに…

 と、不貞腐れていると

「リブラ。あんまりミナティ様を責め立てないで。ミナティ様はご自分で為せる事はきちんとこなしていらっしゃるのよ?」

 と、不意に誰かが割って入ってきた。

 私は彼女を目にした途端、驚きの余りポカンとしてしまった。

「…葉子?」

 突然現れた新たな女神様は、私の幼馴染で大変貴重な親友の成田葉子そのものだった。

 “という事は。彼女がヨーティアか…”

 私は納得した。彼女の見た目はまさに女神様のコスプレをした葉子にしか見えない。

 “彼女は葉子をモデルにして創作したんだけど…ここまで葉子そっくりなんてね。” 

 このヨーティア。幼馴染の葉子を元に創作したんだが、ここまで見た目が本人そのものだとは思わなかった。これで性格もそっくりそのままだったらちょっと感動かも。名前も皆さんお察しの通り葉子からのもじりだし。というか葉子の昔のニックネーム、ヨーティから付けたんだけどね。なお、私の作中の名前ミナティも由来は同様である。

 小学生の頃、女子の間で◯◯ティと呼び合うのが流行った事があった。確か、そんな愛称で呼ばれるアイドルがいたんじゃなかったかな?そんな訳で、あの頃は周りの女子は誰も彼もが◯◯ティと呼び合っていた。当時から私はそう呼び合うような相手は葉子くらいしかいなかったけど、葉子も私もそう呼ぶ事は無かった。…正直に言うと、あの頃ちょっとだけそう呼び合ってみたかったんだ。だからこの世界でお互いをそう呼び合う事にしたんだよね。

 そんな事を考えていると

「ミナティ様。そんなに私は成田葉子に似ていますか?」

 クスクス笑いながらヨーティアは尋ねてくる。

「…は?」

 私、葉子の名は口に出して無いよね?ヨーティア、私が考えている事を読んだ?

「ああ、申し訳ありません。」

 ヨーティアはなおもクスクス笑っている。

「ミナティ様がそうお思いになるのは当然です。だって私は…」

 私は唾をゴクリと飲む。私が今思った事は…

「貴女まさか…」

 ヨーティアは微笑んで頭を振る。

「は?」

 私は思わず間の抜けた声を出してしまった。

「ミナティ様。半分正解です。」

「と言うと?」

「私は成田葉子であって成田葉子では無いのです。」

「………はい?」

「そうですね。少々語弊はありますが、私は成田葉子の分身みたいなものです。」


   ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※


「はあぁ~~!?」

 全~~く、意味が分からない!

「まあ。これは、地球上の常識では中々理解され辛い事ですからね。」

 ここで学問の女神エスターシャが登場。

「…どゆ事?」

 私は大混乱に陥っていた。だって、目の前の女神様が私の親友の分身だと?私、そんな設定してないぞ?一体全体どうなってんだ!?

「これは、地球の方々には中々理解頂けない事なのですが…」

 エスターシャの口ぶりは心なしか鈍い。

「結論から申し上げますと…小説という表現で形作られた世界は、実際に存在する世界なのです。」

「…はい?」

 私は首を傾げる。小説の世界が実在すると?何だ、その有り得なくも面白過ぎる話しは?

「と言いましても、その存在要因は様々です。大きく分けて元から在る世界を小説の書き手が“受信”して描写する場合と、書き手が創作した世界が突如誕生する場合がございます。」

「はあ。」

「前者の場合は書き手の影響は余り受けませんが…後者の場合は書き手はその世界にとってまさに神、創造神です。その世界は書き手次第で如何様にも状況は変化するのです。」

 私は呆気に取られながら女神様たちの話しを聞いていた。だって、彼女らの言い方は…

「私の小説は後者って事?」

 私はボソリと尋ねる。

「そうです。そしてそれが侵略者たちに目を付けられた一因であり、ヨーティアと成田葉子の関係にも係わってくるのです。」

「はあ…」

 まだ良く分からない。

「まずはヨーティアと成田葉子の関係からご説明しますと…」

 エスターシャの説明を要約すると、完全に私が創作したキャラの場合は私が設定したままのキャラとなるが、ヨーティアのように実在する人物を元に作り上げたキャラの場合はオリジナルの影響を受け、オリジナルの要素が入り込むそうな。

 これは、神たる作者がどれ程オリジナルを意識したかによって、どの程度オリジナルの要素が入り込むかが左右されるという。

「………」

 私は二の句が継げない。

「因みに私が見た所、ヨーティアと成田葉子の割合は凡そ3:7といった所でしょうか?」

 エスターシャが軽く首を傾げながらそう告げる。はっきり分かる訳では無いのか?

「………」

 それにしても葉子の割合が多いな。まあ、ほぼ葉子を想定して作ったキャラだしこんなもの?ヨーティアって見た感じは確かに葉子そのものだし、むしろ少ないのかも知れない…


「まあ、二人?の関係は一応分かった。…で?」

 私は真剣な眼差しで女神様たちを見る。

「私の小説が悪意ある侵略者とやらの餌食になっているのは何故?」

 ここは是非とも知りたい。私は意気込んで問い質す。

「そうですね…」

 これまでの説明役のエスターシャが困ったような表情で考え込む。どう説明したものか考えているのか?

「一番大きな理由としては先程ご説明した通り、この世界はミナティ様が作り上げてから誕生した世界だからだと思われます。」


 



 







 


 


 

 



 

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