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王都の学園の様子を見に来た!

 さて、今日もまた小説世界に呼ばれた私。

「しばらくぶりでございます、ミナティ様。」

 今日は女神様やお馴染みのメンバーの他に、嫣然と微笑む女王様のお出迎えを受けた。…何か嫌な予感がする…

「あ…しばらくぶりです、女王様。」

 私は若干顔が引き攣っていたかも知れない。

「ミナティ様。私の事はどうぞサフィニアとお呼びくださいませ。」

 そう言って更にニッコリ微笑む女王様。う!何か怖い…

「そう身構えずとも宜しいではないですか。」

 女王様は更に笑みを深くする。

「本日はミナティ様にたってのお願いがございまして、こうして御前に罷り越した次第でございます。」

「お、お願い…?」

 うわぁ~、何をお願いされるんだろう? 

「実は…フレデリカからミナティ様がこの度非常に便利なアイテムをお作りになられたと伺いまして。」

「あ、うん。これ…」

 私はパン!と手を打ちノートを顕現させる。

「まあ!これが!」

 女王様は目を輝かせる。 

「で、これがどうかした?何かこれで決めて欲しい設定でもあるの?」

 首を傾げて尋ねる私に、女王様はニッコリ微笑む。

「左様でございます。実は、ミナティ様に至急お越し頂きたい場所があるのです。」

 ああ、そういう事か。

「そこはまだ私が描写していない所な訳ね。で、今それを書き込んでそこに行って欲しい、と。」

「左様でございます。」

 なる程ね。んじゃ、早速。

「で、それは何処?」

「この王都にある、とある学園でございます。」

「学園?」

 何でまた?

「そこは貴族子女が通う学園なのですが…今その学園で起こっている奇妙な現象についてご覧になって頂きたい、と。」

「学園で起こっている奇妙な現象?」

 何だ、そりゃ?

「かの学園は将来の重臣を育てる為の学園なのですが、在校中は身分に関係無く学友として過ごします。」

 うん。それは悪役令嬢物でよく見る設定だね。

「しかし、在校中は身分は関係無いとはいえ、将来の為の人脈作りという面も当然ながらございます。」

 うん、うん。それで?

「ここに、かの“悪意ある侵略者”の悪意が忍び込んだ気配があるのです。」

 え?どゆ事?

「それまでの学園では、いわゆるイジメというものは存在しませんでした。」

 本当に?言っちゃあ何だけど、人間ってかなり汚いよ?本当はイジメがあっても、大人や周囲が今まで気づいていなかったとかじゃないの?

「ミナティ様、愚問でございます。この世界はミナティ様が創造なさった世界。ミナティ様が良しとしないものは、本来この世界に存在する事は出来ません。」

 あ、なる程。私が書いていたのはあくまでほのぼのである。意地悪や悪意は徹底的に排除していたもんね。

「しかし、最近になっていきなり男性側から婚約破棄を言い渡すという不可解な現象が起こり始めたそうです。一方的に女性側を断罪し、男性の側には身分の低い女性が縋っているというのが流行っているそうです。」

「………」

 おいおい。それって…

「しかも断罪される女性はその殆どが冤罪、にも係わらず国外追放がお約束なのだとか。」

 マジか…。それ、まんま悪役令嬢だよね?

 しかし何故にこの作品に悪役令嬢?まさか誰かがこの小説の二次創作を書いているとか…んな馬鹿な事はあるまいに…

「学園長もこの奇妙な現象に頭を悩ませているのです。そこでミナティ様にお越し頂き、その現場をご覧になって頂きたいのです。ミナティ様なら、何故突如そのような奇妙な現象が起こり始めたのかお分かりになるかも知れない、と。」

「………」

 残念だが、私にも何故かは分からない。しかし、この世界に悪役令嬢…予想外にも程がある。というか、マジで謎だ。流石に悪役令嬢なんて一度たりとも設定してないし。

「ん~、まあ。役に立てるか分からないけど、取り敢えず一度その学園に行ってみるよ。」

 私がそう言うと

「ありがとうございます。」

 女王様は恭しく一礼した。


   ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※


 という訳でやって来ました!

 いやぁ~、でっかい~!豪華~!!

 その名も王立マグノリア学園。如何にも貴族の坊ちゃまお嬢様が通う学園!って佇まいである。

 あれから、女王様や女神様たちから色々聞き取りをして学園の概要をノートに書き込んだ。

 まずこの学園って、女王様の説明では将来の重臣を育てる為だって話だったけど、実はそれだけじゃ無かった。何と女王育成学校だったのである。

 このミナティリア、女王制の国なんだけど世襲じゃないんだって。

 この世界にも公·侯·伯·子·男という爵位が存在するが、その在り方が他の作品とはちょっと違うみたい。

 簡単に言うと公爵は女王を輩出する家柄で侯爵は宰相を輩出する家柄。伯爵は地方を治める家柄で男爵は庶民が貴族に成り上がった時に賜る爵位らしい。で、子爵は貴族の息子が家を継ぐ前に賜る場合と、元庶民が賜る最高の爵位であるとか、色々ややこしい。 尤も昨今は貴族間で血が混ざり、その辺はかなりあやふやというか大雑把だそうだ。

 なので、貴族という肩書があれば成り立ての男爵でない限り、女王の候補になれる訳だ。

 従って、授業も女王と重臣の両方の立場での立ち居振る舞いが叩き込まれるそうな。

 因みに現学園長の名はレイシー=ブリュン。何と先代の女王様だそうだ。

 私は今から、この先代女王様に会いに行く訳だ。う~、緊張するぅ~!

 それにしても…さっきから感じる、この嫌~な、身体に纏わりつくような空気は一体何だろうね?

 私と一緒に来た女王様や人間に擬態したリブラとベレンガリアは何も言わないし、特に何も感じていないのか涼しい顔だ。

 私は一人首を傾げながら、女王様·女神様たちと一緒にマグノリア学園の門を潜った。




 


 

 



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