03. ホームハウスに戻ってきた!(3)
2025/4/22 修正済み
◇ ◇ ◇
サマーフェスティバルとは──。
王室御一家がこのルービンシュタイン公爵家のセルリアン領クィーンズ市街にある、王族の夏の避暑地の古城で催しをする、王室主催の夏のイベントである。
──そうだった。
あの時、あの真夏の夜に、わたくしは大きな過ちを犯した!
こともあろうに妹を、それも王太子妃のマーガレットに毒殺を試みたんだったわ!
愚かすぎて未だに信じられないけど──。
エリザベスは自分のしたことなのに、どこか他人事のように感じる。
それでもエリザベスは当時の事が思い起こされて、ゾッとするほど身の毛がよだった──。
──まずいわ、戻れたのはいいが、もしまた以前のようにわたくしの運命が変えられずに同じ道をたどってしまったら?
あの真夏の悪夢が再現してしまったら──。
せっかくこうして過去に戻れたのに意味がない。
わたくしはもう金輪際同じ過ちはしたくないし、運命が変わらなくとも、ふたりにだけは謝りたいわ。
もう二度と後悔だけはしたくない──!
エリザベスは口に手をあてて、ブツブツブツ独り言を言いながら部屋内をうろうろと歩きまわる。
側にいるサマンサは先ほどからエリザベスの挙動不審のせいで、オロオロとするばかりであった。
──奥様、今朝はどうなされてしまったんでしょう?
昨日は、ずっと馬車の中でも王都に戻りたいのか、ずっと塞ぎ込んでいたけど、体の具合が悪かったんだろうか──?
エリザベスは不意に足を止める。
「サマンサ、旦那様とリリアンヌは今どこにいらっしゃるの?」
「え……はい、先ほど軽い昼食を食べ終えて、お庭に出たばかりのようですが……」
「あ⋯⋯そう。旦那様、今日お仕事は⋯⋯ずっと館にいるのかしら?」
「はい、今日は奥様が戻られたばかりなので⋯⋯確か屋敷にいると執事のアレク様がおっしゃってました……」
「そう、良かった!!」
エリザベスは何か閃いたような、悪戯好きな笑みをみせた。
こういう時のエリザベスは機嫌がいい証拠だ。
「あの〜奥様、これから昼食を召し上がりますか?」
「いえ、いらないわ、食べてる時間が勿体ないもの!」
「は?」
「サマンサ、わたくしはすぐにお風呂へ入るわ、急いで支度して頂戴!」
「え、はい⋯⋯承知いたしました!」
サマンサは狐につままれたように戸惑っていた
──奥様はやはり変だ⋯⋯?
毎年ホームハウスに戻ってきた2,3日は恋愛小説などを読んで、昼間からだらだらとお酒を飲んだりして、のんびりお部屋でお過ごしなされてたのに……。
一体全体どうなされたんだろう?
エリザベスは、すぐに戦闘開始をする準備を始めた。
──もう時間がない、たったの2ヶ月しかない!
あっという間に時が経ってしまう、うかうかしてらんないのよ!
エリザベスは、そのまま猪突猛進の如く服をバババッと抜ぎ捨てた──。