表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クリソプレーズの瞳 ~ルービンシュタイン公爵夫人は懺悔して夫と娘を愛したい!  作者: 星野 満


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

12/241

11. エドワードとロバート王子

※ エドワードの生い立ちが中心です。

※ 2025/4/25 修正済

※ ※ ※ ※


エドワード・ルービンシュタイン。

王族と縁戚関係の筆頭公爵家の一人息子、嫡男である。


クリソプレーズ王国の第一王子のロバートとは、同年齢で従兄弟でもある。


エドワードの母シルビアは、現国王ライナスの妹であり王女でもあった。

シルビア王女はルービンシュタイン公爵家へ降嫁した後、エドワードを産むが彼が幼少期に病いで早世してしまう。


国王の妻のメルフィーナ王妃は、ルービンシュタイン公爵家の出身である。

エドワードの父ジョージの妹であり、つまりエドワードの叔母である。


メルフィーナはシルビア王女とは親友で、独身時代からとても仲が良かった。

王妃はシルビアの死をひどく嘆いた。

彼女の忘れ形見のエドワードを不憫に思い、息子のロバートの遊び相手のひとりに指名した。


その為エドワードが領地から王都に来るたびに、メルフィーナは宮廷へ招き彼を可愛がった。

エドワードも母のいない寂しさもあり、叔母のメルフィーナ王妃に甘えていた。


2人とも王族特有の濃い金髪で蒼い瞳、背丈もほぼ同じであり顔だちも良く似ていた。

兄弟のように仲も良く貴族学院(男子校)でも常に一緒だった。

学院卒業後はロバート王子の側近として、エドワードは公爵家の爵位を継ぐまでは行動を共にしていた。


外見は双子のように似ているが、性格はひどく対照的である。


ロバート王子は一見、人前ではものすごく無口である。

表情もほとんど変えず、王族特有の冷たい威厳をみせる。

いわゆるクールビューティー系。

悪くいえばとっつきにくい性格が少々欠点でもあった。


それでも親しくなるとエドワードや側近たちには、人懐っこく快活に喋る。

言葉遣いは唐突で誤解されやすいが、部下には優しい一面もあった。

いわゆる人見知りのツンデレなのだ──。


対してエドワードは人当たりがいい。

誰に対しても気取らないソフトな優しさがあった。


※ ※


エドワードのそのおおらかな性質は、彼の生い立ちにもよる。


公爵家の領地──セルリアン領は、王都から北に位置する山々に囲まれた広大な田園地帯である。

領都のクィーンズ市街地域の周辺は、牧歌的でのどかな町や村がたくさんあった。


その公爵領本邸ホームハウスで生まれ育ったエドワードは、幼くして母を失くすも彼を愛する温厚な父と、屋敷の家令たちの中で愛されて育てられた。


エドワードは子供の頃からよく父親と一緒に領地の視察に同行した。

クィーンズ市民や周辺の村人たちは、誰にでも手を振ってニコニコと笑う、エドワード少年が大好きだった。


『キャー、エドワード様がこっちを向いたわ!』


『いやあ、エド坊ちゃんは天使のように可愛いよねぇ……!』


『エドワード様、今年のメロンが実りましただ、すごく甘いですぜ。良かったら領主様と一緒に召し上がってくだせえ…』


エドワードは至る所で村や町の平民たちに、忌憚(きたん)なく声をかけてもらう人気者だった。


父親のジョージ・ルービンシュタイン公爵は高位貴族ながら、とても領民を大切にしていた。

平民でも分け隔てなく彼等の声に耳を傾けながら、領地開発を推進していった。

また、ジョージは地位の低い町民や村人でも、能力があれば重要な要職に貴族たちが反対しようとも就かせた。


元々ルービンシュタイン家の先祖は、辺境伯出身のせいか、彼はなかなか革新的な人物でもあった。


しかし残念ながら、ジョージ公はエドワードが19歳の時に突然亡くなる。


医師の診察では心臓の病いであった──。

まだ54才を迎えたばかりだったが、働きすぎの過労死とも言われた。


ジョージ公の突然の死は、多くのセルリアン領民たちに衝撃を与えた。


彼等は領主の死に嘆き、葬儀が行われたクィーンズ大聖堂では、王族や貴族の参列者以外にも、何万人もの領民たちが、花を手向(たむ)けに大聖堂へ出向く。

それは長い行列が続いた──。


──僕も父上のように立派な領地の当主になって、彼等(領民)をなんとしてでも守っていこう


父上の意思を僕が必ず継続していくのだと──。

19歳のエドワードは列席で、哀しみに暮れて歩きつづける参列者たちの、どこまでも長い列を直視しながら、ボロボロと泣きながら心に固く誓った。


こうしてエドワードは父の死後、若干20歳という若さでセルリアン領地の当主となった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
エドワード、そういう生い立ちがあったんですね…お母さんも早くに亡くして、お父さんまで…。でもそういう辛い経験をすればこそ、みんなに優しくできることもありますよね(^^)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ