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3-1 師匠と弟子


キールがラグクラフト公領を出立した頃。

メリュジーヌ山脈の中腹では、1人の大柄な青年が槍の素振りをしていた。


「今日もやってるな。」


青年が黙々と素振りをしている所に1人のドワーフが声を掛ける。


「おう、師匠。今日こそ俺と手合わせする気になったか?」


「何度やっても結果は変わらんよ。修行を積むことだ。」


ドワーフはそう言って青年の提案を笑い飛ばす。

少年も特に気にした素振りはなく涼しげな顔で素振りを続ける。


「そう言えば、ガドルド帝国の皇帝が変わったらしいぞ。師匠の知り合いだろ?」


「そうか。」


「ああ、麓の奴らが言っていた。先帝は無くなったそうで、第一皇子が皇帝になったそうだ。」


「ウィリアヌスが、、、。そうか。戦で死んだわけではないだろう?」


「ああ、病気だったみたいだな。」


「あれだけ戦場で散りたいと言っていた奴が、皮肉なものだな。」


青年は素振りを続けながらドワーフと会話する。

ドワーフは先帝の死に少し驚きつつ、昔を懐かしむように目を細める。


「師匠も昔は先帝とブイブイ言わせてたんだろ?」


「昔の話だ。あくまで人の感覚では、だがな。」


「“来訪者ヴァイキング”の俺は知らないが、師匠も帝国では相当な有名人なんだろ。なんでこんな深い山の中に閉じ籠ってるんだ?他の仲間はみんな貴族になったんだろ?」


「元々こっちの方が性に合ってるんだ。ウィリアヌスの奴ににスカウトされたんだ。決闘に負けた結果、奴らと冒険することになったが、あれはあれで楽しかったな。」


「へー。師匠程の腕前でも決闘で負けたんだな。」


「ああ。俺が唯一負けた相手がウィリアヌスだ。」


「そんな凄い奴なら一度手合わせしたかったな。」


「今のお前だと何度闘っても勝てないだろうよ。老いた俺にも勝てないんだから。」


「うるせえ‼ そんなこと言うなら俺と手合わせしろ‼」


2人は軽口を交わし合う。

そんな2人の下にもう1人の影が現れる。


「そんな言葉を師匠にすべきではありませんよ。」


そう言って新たに青年よりも大きな巨漢が会話に参加する。

巨漢は上半身に服を着ておらず、その肢体は鍛え上げられている。


「兄弟子もうるせーぞ‼ 司教なら司教らしく神に祈ってろ。上裸で鍛えまくってる司教がどこにいるんだよ‼ 生臭坊主もいい加減にしろ。」


「ここにいるだろう。生臭坊主なのは否定せんがな。」


巨漢の男は立掛けられた鏡の前でポージングしつつ、そう言ってガハハと笑う。

青年は少し呆れたような表情で素振りを続ける。


「そう言えば、近々大規模な戦争が起こるかもしれないそうだ。」


ポージングを継続しつつ巨漢が言葉を発する。


「そうなのか、兄弟子。」


「うむ。皇帝が変わったからな。大規模な反乱が起こるかもしれないな。」


「そうか。その戦争に参加すれば、俺も名を挙げられるかな?」


弟子たちの会話に師匠であるドワーフが口を挟む。


「やめといたほうがいい。個人の戦闘力と戦争での立ち回りは別物だからな。」


「そんなもんか、師匠。」


「そうだ。少なくとも今のお前は戦争に参加しない方がいいだろうな。」


ドワーフはそれだけ言うと、小屋の中へと入っていく。

巨漢の男もそれに続き、青年は再び1人で素振りを続ける。


「何か面白いことねえかな、、。」


青年は小さく呟いて、再び素振りに没頭するのだった。


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