3、西方での反乱への対応
不定期投稿が常態化してるカトユーです。書いてあるのに投稿しないのはガチで謎。
俺は自動車を走らせて外務省の建物へと向かった。
建物に着くと車を飛び降り、ズンズンと進んでいった。窓口の人間に聞くと、外務大臣は執務室に居るらしい。好都合だ。俺は用事があるの一点張りで執務室へと突き進んだ。
ノックしながら「参謀総長のパヴェルです。緊急の頼み事があって来た次第です」というと、外務大臣が「入れ」といった。
外務大臣の執務室はとても簡素な部屋だった。部屋の何処にも装飾の類も無く、執務机と応接用のソファとテーブルがあるだけだった。
風の噂によると、外務大臣は戦後外交に疲れて静かな所を好むようになったという。彼にとって僅かでも寛げるのは家かここぐらいしかないのだろう。
そうそう外務大臣の名はアンドレイ・コスイギンと言う。外交畑で着実に実績を重ね、40代前半で帝国の外交を担うようになった逸材である。
外務大臣は席をすすめたので安物のソファに座り、話が始まった。
「さて、緊急の頼み事とは何ですかな?」
「外務大臣に折り入ってお願いしたいことがあります。……ヴェーメル共和国の部分的再軍備の認可乃至は治安維持軍の強化やモルトランド共和国への支援要請と戦勝国に対する軍事支援の要請を行っていただきたいのです。」
「それまた急なことだ。一体どうしたんだい?」
外務大臣の問いに、ヴォニア市の蜂起を含む最新の情報を伝えた。
「ふむ……、軍が望む所はよくわかった。確かに帝国存亡の危機に対して、我々外務省が黙って見ている訳にはいかないだろう。我々外務省は、ヴェーメル共和国の部分的再軍備を許可する。それと同時に、モルトランド共和国を含む戦勝国各国に対して軍事支援を要請しよう。」
「ありがとうございます。この恩は必ず報います。」
「いえ、我々外務省が出来るのはこれが精一杯だからね……」
こうして外務省による支援も決まった。
話の中で出てきたヴェーメル共和国は、世界大戦の敗戦国である。元は帝国であったが、戦後の講和条約で共和国となった。早い話が元の世界で言う所のワイマール共和国である。しかし、ワイマール共和国と違うのは、財政難がそれほど厳しくなく、政府も国民も再軍備を強く望んでいる点だ。列強はヴェーメルの科学力を恐れ、講和条約で当面の間の再軍備を禁じていた。帝国はそれを無視し、ヴェーメル共和国の再軍備を支持し、場合によっては支援することにした。理由は後述する。
モルトランド共和国は講和条約の結果新たに生まれた新興国である。元の世界で言うポーランド共和国である。これまた史実よりマシな境遇で、独立以降グングンと国力を伸ばしている。帝国とは東方で国境を接しており、独立以降それなりの繋がりがある。ヴェーメル共和国とは異なり、既に軍備増強に力を注いでいる。明確な脅威では無いので、後述する理由のため、彼らの軍備増強を帝国も手伝うことにした。
何故我々はこれら二国に手を差し伸べたのか。それは、彼らも帝国内の反政府勢力を快く思っていないからである。反政府勢力は共産主義、社会主義、無政府主義、反資本主義等を掲げている。現在、世界の殆どは差はあれど資本主義のシステムを導入している。故に世界各国が帝国内の反政府勢力を危険視しているのだ。特に反政府勢力を敵対視しているのは隣国のモルトランド共和国である。反政府勢力がいつ国境を越えてくるか分からない為、常に警戒している。
そこで我々帝国軍は各国上手く使おうとした。モルトランド共和国軍を強化し、国境に配置された部隊を増強してもらう。もし、我々帝国軍が劣勢になった時にはすぐに、モルトランド共和国が参戦し、西方に新たな戦線を開く。我々が劣勢になった頃には、調子に乗った反政府勢力が独立宣言をするだろう。そうなればモルトランド共和国はもはや隣国ではなくなる。彼らは自らの意思で自由に参戦することが出来、西方を蹂躪することが可能だ。ヴェーメルも同様だ。東プロイセンの様な飛び地を持つため、西方やヴォニア市を脅かすことが出来る。ゆくゆくは三国同盟を結んで東部ユウロピア(=ほぼ東欧)に一大勢力が築けるかもしれない。
外務省での仕事を終えた俺は、幾分楽な気持ちで皇帝のもとへと向かった。皇帝には現状を報告するだけの簡単な用事である。
ロシア帝国がドイツ国、ポーランド共和国と組んだらめちゃくちゃ強そう()