12.鼬の宿と天秤
『ね、お母さん……』
柔らかいタオルに包まれている自分の身体はずっと震えていた。真っ直ぐ立った姿勢はそのままで、指先だけ、祈るように、縋るように、ぎゅっと自分を包むタオルを強く握りしめていた。どうか見捨てないで。お願い、いい子でいるよ。だから。
けれど。酷く冷たい目は何も言わず、私をただ見下ろしていた。あぁ、この子。
『要らないわ』
…
……
…………頭がぐわんぐわんする。
「いっ…………て……」
体が軋むし、視界も何だかぼやけて見える。その視界に映ったのは、天井。でも、それはコンクリとか、オフィスとかのああいう天井じゃなくて、木を組んで作られた天井……あれ、ここどこだ。何してたんだっけ……確か、蛍朱のことを探し───
「ッは、蛍朱!!───ぅううう゛あ゛ううぅ゛ぉ゛おオォ〜……ッ…………」
飛び起きた瞬間、背中から脇腹にかけて名状し難い激痛が走り、それに気を取られた瞬間視界が回ってそのまま後ろに倒れ込んだ。あまりの痛みに呻き声を上げて悶絶する。
「痛っ……てぇぇ……」
パーカー……じゃない自分の服の裾を握り、歯を食いしばって襲いくる痛みに堪える。痛みから意識を割こうと、薄く開けた目で周囲を見る。初めに目に入ったのが、障子。次に畳、そして自分が寝かされている布団。顔を上に上げれば枕もある。開いた障子……窓だろうか。その向こうには青空が広がっており、微かに小鳥の囀る声がする。
「……ドコ、ここ……」
蛍朱を見つけた、あのビルの中ではないことは分かる。じゃあ、ここはどこだ……。あ、いや、待てよ……ここ、前にも来たことがあるぞ。えーと……どこだっけ。畳、障子、天井、照明……丁度寝返りを打った時、私の顔を覗き込む赤い目と目があった。
「うぉえっ!!?」
驚いて起き上がってしまった。当然の如く体に走る激痛に再度悶える私を見て、その目はにっこりと細められた。
「ほほほ、大変元気でよろしい。おはよう御座います犬猫殿」
「そ、ゆー…………」
にこりと人懐こい笑顔を浮かべる赤眼の鼬。しかし、鼬と分かるのはその頭と尻尾くらいで、その体は人間に似ており、緑色の着物を着ている。鼬の獣人、と言えばいいのだろうか。
「はい、鼠由に御座います」
そう言って笑う鼠由を見て、漸くここがどこなのか理解する。
ここは、鼠由の温泉宿だ。和様区に存在する数多くの宿屋の中の一つで、それなりに大きく人気もある宿屋。他と比べて並であるこの宿屋で名物と謳われるのは、この宿屋の主である赤眼の鼬、鼠由の落語である。この鼠由、宿屋の店主をしていながら、この宿の大広間にて定期的に落語を開いて客を集めている。また、この鼬のもう一つ得意とするものは話を作ること。小説、絵本、台本等の形で広く出回っている。特に恋愛ものを書かせると鼠由の右に出る者はいないとも噂されており、鼠由が書いた本は毎回飛ぶように売れ、書いた脚本は広く使われる。むしろこちらの方が本業と言える。鼬の鼠由が書いた台本と道化師アモネネの開く公演会のチケットは毎回争奪戦だとか。そんな鼠由の宿屋に寝かされていたということは、私はあの後、誰かに助けてもらったということだろうか。誰か、というより、あの時聞こえた声の主が……。
「さて、今アモネネの二人を呼んできましょう。私めは忙しいので、これで失礼致します」
「あ……はい、ありがとうございます……」
「何、困った時はお互い様でしょうに。どういたしまして」
丁寧にお辞儀をし、静かに障子を開けて出ていく。とんとんとん、という歩いていく小さな足音を聞き、大きく息を吐く。いや、苦手な人ってわけじゃないんだけど、こう、あんり話す相手でもないから少し緊張したというか。
……嫌な夢を見た。ぼんやりと天井を眺め、そんなことを思い出していた。私の昔の夢だった。
「……私が、悪い……」
実際に、『要らないわ』なんて言われたことはない。
「私が……悪い……」
私が勝手にそう言われたのだと思い込んでいるだけだ。
「……わたしが」
思い出したくもない思い出。そして、確かに私の心の深く底に棲み着く黒い思い出。思い出す度私を殺そうとしてくる思い出。
「……わる」
「けんびょーっ!!!」
スパーン! と勢いよく障子が開けられ、驚きで体が強張る。……こういう雑な開け方をするのは……
「犬猫ーっ! 生きてますね! いやー良かった良かった!」
「ネネ……」
青い紳士服に包まれた、道化師ネネが満面の笑みを浮かべて立っていた。雑に障子を閉めてすかずかと部屋に入り、私の寝かされていた布団の横にどすんと胡座をかいた。じっと私の顔を見るその目からそっと目を逸らす。
「で、どうですか? 具合は」
「…………蛍朱は」
「あぁ、蛍朱なら別の部屋で休んでいます。アモが付き添いで。具合はどうですー犬猫ー?」
「どこの部屋?」
「んーどこでしたっけ? ところで具合はどうですかね犬猫」
「…………行かなきゃ」
ぐ、と手に力を入れて起き上がる。と、ネネが私の両肩に手を置く。
「けーんびょっ、落ち着いて下さい。蛍朱は無事です。何をそんなに焦っ」
「謝らなきゃ……いけないでしょ!」
両肩に置かれている手を、ぐ、と押し返す。が、ネネに敵うわけがない。顔を上げ、ネネの目を見た。
「私のせい、でしょ……? 蛍朱が怪我っ、したの」
「……犬猫?」
ぼやける視界に、怪訝そうな顔をしたネネが映る。痛みだってまだある。だけど、そんなことより、酷いことしてしまった蛍朱に謝らなきゃ。
「ねぇ、ネネ、お願い。蛍朱はどこ」
「……」
許してもらえるかな。顔も見たくないって言われるかもしれない。声も聞きたくないって言われるかもしれない。“また”失望したような目で見られるかもしれない。あれ、そしたら今度は、私はどこに行けばいいの?
「……落ち着きなさい犬猫。蛍朱が怪我をしたのは犬猫のせいではありません」
「でも私が居たらこんなことならなかったっ、蛍朱が怪我をしたのは私のせいでしょ」
「違います犬猫。怪我をさせたのはもう一人の蛍朱です」
「そういうんじゃなくて……ッ!」
迫る私に、ネネは溜め息を吐いて首を緩く振る。その様子を見て、あぁ、また迷惑かけてるんだなって。心底自分が嫌になる。
「分かりました。分かりました、犬猫。蛍朱の元へ連れて行ってあげます。あなたの目で確かめると良いでしょう。でも、その前に……」
そう言って、私の両肩に置かれていた手を引っ込めた。よかった、連れて行ってもらえる。その瞬間、
「ソイヤァッ!!」
「ぶッ」
顎に強い衝撃。そのまま、視界は暗転した。
ー間ー
「ご気分は如何ですか犬猫」
「怪我人ぶん殴るとか人としてどうなの」
鈍い痛みの残る自分の顎を手で押さえ、拳で殴ってきたネネをじっとりとした目で見る。
「ほら? 正気に戻すためにビンタするみたいなやつあるじゃないですか。あれですよあれ」
「気絶したんだけど??」
私はネネに殴られ気絶した。十五分くらい寝た。心地よい眠りではなかった。起きたら痛みが増えてた。
「具合は如何です?」
「背中と脇腹と顎が痛いです頭もちょっと痛い」
「よろしい」
「よろしくないです」
「少しは冷静になりました?」
「……まぁ……」
少しは……というより、大分。さっきより頭がすっきりしてるし、視界もよく見える。ネネのお陰だなんて言うのは少し悔しいけど、殴られた痛みで冷静になれた気がする。
「……さて、今なら質問に答えますが、何か気になる点は?」
「んー……私があのビルで気絶した時、二人とも来てくれたみたいだけど……どうなった?」
気になること、と言われれば、やはりこれだろう。生きて帰ってくることが出来たのは有り難かったけど。
「我々がもう一人の蛍朱を倒して、犬猫と蛍朱をここに運びました」
「倒した、って……どう、やって……?」
「叩いたら死にました」
「虫みたいな言い方しないでちゃんと教えて……って、し、死んだ……!?」
死んだって、どういうこと。死んだって何、私の知らないとこで事件終わってない? いや、終わったなら良いけどちゃんと説明してほしい。
という意味を込めてネネの腕を掴むと、ネネがそっと手で押し返して続きを話し始める。
「まだ息があって動けるようでしたので、我々が仕留めました。何をしたかを単純明快に話すと、アモと二人で一方的にタコ殴りにしました」
「む……」
惨い……手負いのところを容赦なくやったのか……私も燃やしたり刺したりしたけど……
「最後に」
『お前ら二人には私は殺せねぇ、また戻ってくるからなぁ!! 蛍朱ァ!!』
「……と残して黒い液体になって消えていきました」
「…………そ、れは、殺せた……の?」
「いやぁ……我々にもよく分からないのですよ。確かに、気配は消えましたが……なんて言えばいいのか……倒した実感が無いのですよ」
「……それは、死んだっ、て、ことでいい、の……?」
「……ううむ……」
腕を組み、少し困ったような顔をするネネ。嘘を吐いている様子はない。
ふむ……実際に見たわけじゃないから、どんな風に消えていったのか分からないけど、もう一人の蛍朱の残した言葉が、どうにも引っ掛かる。私が対峙した時も、同じような台詞を言っていた。自分に対する鼓舞だとか、威嚇で言っているにしては、自信がありすぎると言うか……絶対に本物しか殺せないという、そういう確証が、あるみたいな。怨念とか幽霊とか、この異世界境界地に住んでて信じないわけじゃないし、そういう類の意味で『戻ってくる』って意味じゃ、ないように思う。かと言って、元々そういう類の者だったのかと言われれば、違うと言える。何か、もっと異質な感じがした。
「……まぁ、このことは蛍朱とも話してみましょうか。本人の方が知ってるかもしれませんし、アモと縋にも」
「あっ」
「えっ?」
急に声を出した私に反応してネネが首を傾げる。思い出した、もう一つ、聞いておかなきゃいけないこと。
「ねぇネネ」
「何ですか犬猫」
「アモとネネは、私に何を隠してるの」
じっと目を見つめて問いかける私に対し、何を言っているんだと言うように、ネネが小さく眉をひそめる。
「和様区を探すって言ってたのに、あのタイミングで駆けつけるのはさ、おかしいと、思うんだけど」
和様区の方を探すと言っていた。もしかしたら、情報区方面を探していたのかもしれない。だけど、それにしてはタイミングが良いというか、登場する瞬間を見計らってたような気がするというか。
そもそも、二人同時に出てくるのは違和感がある。アモとネネは、化け物級の力を持っている。それなりに素早く強いもう一人の蛍朱を、一方的にタコ殴りに出来る二人だ。私の予測ではアモかネネ片方だけでも、傷一つ受けずに叩きのめせるはずなのだ。あの場に先に居合わせたのが私ではなく、アモかネネだったら、私が到着する前に、全て終わらせることが二人には出来る。それくらい強いことを私は知っている。それに、追い掛けていたのは本物の蛍朱で、もう一人の蛍朱は追ってないし、蛍朱同士が接触し、戦闘になっていることを予想していなかったとしても、緊急時に二人一緒に行動するのは非効率的に思える。
「和様区には居ませんでしたから、情報区方面で蛍朱を探していました。丁度アモに居合わせたところで刃のぶつかり合う音を聞き、あの場に向かいました。丁度、犬猫が倒れたところが見えましたので、急いで応戦したまでです」
「そっか。でも、随分タイミングよかったよね。あのままだったら死ぬとこだった」
「……何を疑っているんです、犬猫?」
ネネが怪訝そうな顔をして、す、と目を細める。その目を見つめて、ゆっくりと言葉を口にする。
「本当にただの協力者として、見ていいのか」
私のその言葉に、意味が分からないと肩を竦めて緩く首を振り、呆れたような笑みを浮かべる。何を馬鹿なことを、そんな意味が込められた行動。煽りとも取れるような動き、だが、私にはそれは大して効かない。少し腹立つけど。
「ネネからの通話切ったあと、縋さんに連絡したんだけど出なかった」
「忙しかったんじゃないんですか」
「だとしても、あの人なら『後でかけ直す』くらいは、言うと思う」
「じゃあ『後でかけ直す』と言えないほど忙しかったんじゃないですか」
縋さんが寝ていたとしても着信音で起きることは、ネネも知っている。以前「寝てても起きるんですよあの人」なんて、教えてくれたのもアモとネネだ。だから嘘を吐くにしても『寝ていた』なんて嘘は吐けない。だからそれ以外でくると思ったんだけど……言及しにくい答えが返ってきた。回りくどいことをやめ、素直に聞くことにする。
「ねぇ、本当は縋さんになんて言われたの」
「だから、蛍朱の監視ですよ。蛍朱が逃げ出さないように……」
「それなのに逃げられたの? それとも、わざと逃したの?」
「……犬猫、あまり適当なことを言ってはいけませんよ。それに言い方というものが」
「じゃあ、本当のこと、教えてよ」
「先程から何を言っているのです犬猫、もう一度殴った方がいいですか?」
そう言って拳を作り、ぐっ、と後ろに引くネネ。それをじっと見る。脅しだろうか。いや、そうじゃないらしいことは思考から読める。
何を、疑っているのか。おかしいと思ってるのは、あの場にタイミング良く現れたことだけじゃない。少し考える時間と余裕ができて、改めて思い出すと違和感がある事がいくつかあった。まず、アモとネネの出てきたタイミング。そして、蛍朱がアモとネネの元から脱走したこと。やはり、あのアモネネが一人の少女を簡単に逃がすなんてこと、あるのだろうか。寝てる間に逃げられたって、あの時は納得したけど、それだと蛍朱は物音一つ立てずに脱出したことにならないか。窓を開けるにしろ、扉を開けるにしろ、全くの無音じゃないだろう。アモネネは、その物音や気配に気付かなかったのだろうか。監視を頼まれていたなら、勿論戸締まりを怠るなんてこと、しないだろうし。
そして次に、私が用事があるって言った時、あっさりと私だけ自宅に帰ることを承諾したこと。まぁ、これは私が悪いんだけど……。あの時、私がサボらないように見張ることも任されたと聞いた。けれど、実質私サボりますみたいな発言を、あんなに簡単に聞き入れてくれた。そして、去り際聞こえた、空耳だと思っていた、「結果的に上手くいきましたね」という、あの言葉。あれは、何だったのか。
それに、今思えば、中央広場でアモネネに出会ったこと、一番最初から疑えば、縋さんが蛍朱を連れ出して外に出ることを提案したこと、それさえも怪しいと感じる。七回の脱走で警備を厳重にして、逃げられないようにと閉じ込めていたのに、証拠不十分と言えるあの動画一つと私の証言一つで外に出すなんて。監視や護衛を目的に私がそばに居ることが条件だったとしても、危険な賭けに見える。それに……考えたくないけど、縋さんが蛍朱を外に出すことを許可したのは、この事件の早期解決のためだ。だから、解決するためだったら……
「……私は、アモとネネを信じてるよ。勿論、縋さんも。だから、蛍朱をアモネネに預けたし、蛍朱の見張りも請け負った。でも」
ぎゅ、と自分の服の胸元を握る。
「3人とも、蛍朱が死んでもいいから事件を早く終わらせろって思ってるなら、蛍朱を連れて暫く3人から距離を置く」
大きく、目を見開くネネの顔から、ゆっくりと笑みが消えていく。信じられないものを見るような目だった。
「私は、蛍朱に私が守るって言った。だから、ここに居ることも危険なら、私一人で蛍朱を守る」
「……」
私の言葉に、緩く首を振るネネ。拳を作っていた手を解き、額に当てて俯く。
と、ゆっくりと息を吐いて口を開く。
「……ここに来たばかりのあなたは、縋と我々が居なければ生きていけないような子供だったのに……」
そっと、顔を上げた。少し、寂しげな笑みを浮かべている。
「まさか、そんな言葉を聞く日が来るなんて。反抗期ですか? 犬猫」
「……私は」
「あぁ、違いますねぇ」
口を開く私を、手で制す。
「一人で歩こうとしているのですね。あぁ、まだまだ子供っぽいやり方ですけどね犬猫。親離れとはこんな感じなんでしょうか。子離れはまだしたくないですねぇ……」
「……私は、今度は」
「我々は蛍朱をわざと逃して泳がせ、状況によって見殺しにしても良いと縋に言われました」
私の言葉を遮り、ネネが言葉を続ける。思わず、口をつぐんだ。いつもの、優しげな笑みと目が合う。
「もう一人の蛍朱か、蛍朱。そのどちらも、もしくは片方が消滅すれば、大本は断てずとも看守の負担はいくらか減るでしょう。本物の蛍朱が生き残り、問題が無ければそのまま檻の外に出せます。もう一人の蛍朱が生き残れば、問題があれば調査する。どちらも害と判断されればどちらも殺す。異世界境界地に害が無ければ、後は蛍朱がどうなろうがどうでも良いと。あの人はこの世界を愛していますが、この世界に生きる者は別の話です。少なくとも、あの人は今、蛍朱を害として見ていますから、尚更です。これが本当のことですよ」
ネネの話を聞き、小さく俯く。何となく、分かってはいた。今、本当のことを聞かされて、ずっと心が重くなったような気がして、喉の奥が苦しい。
と、ネネが私の肩に手を置く。
「犬猫、今からひっくり返せば良いのです。蛍朱は害ではないと」
顔を上げる。
「行きましょう、蛍朱の元に。あなたが守るんです。我々も今度こそ手を貸しますよ」
優しく笑う顔がそこにあった。突っぱねるようなことを言ったのに、変わらず笑いかけてくれる。最初は理解し難いと思ってたし、今もまだそうけど、今はそれが一番安心する。子離れがまだ遠い気がして、少し悔しくはあるけど。
「……うん。行く。あと……ごめん」
「犬猫が謝ることないですよ。さぁ、こちらです」
こちらに伸ばされた手。その手に、自分の手を置いた。
枕元に置いてあったパーカーを着て、部屋を出て暫く歩き、蛍朱とアモが居るという部屋の前に来た。少し、あんなことをしてしまった蛍朱に会うのは怖くて、ぎゅ、と服の裾を握る。
「アモ、入りますよ」
その言葉と共に、ネネが障子を開ける。
「犬猫を連れてきました」
そっと、ネネの後から部屋を覗き、一歩、部屋の中に入る。ぼんやりと、窓の外を見る蛍朱が目に入った。
「……けぃ、す」
そう、声を掛けた。蛍朱が、はっとしたようにこちらを振り向いた。嬉しそうな顔だった。しかし、
「犬猫! さ、ん……」
私と目が合うと、みるみるとその顔を蒼白とさせる。
「蛍朱、あのね……」
また一歩、蛍朱の方へ歩く。謝りたかった、けれど。
それを見た蛍朱が、叫ぶ。
「来ないで!!!」
と。
1ヶ月以内に投稿したいとか言ってたのに2ヶ月後になってしまった……
以前7千文字以内で書かなければという思い込みから解き放たれ文字数を気にすることなく書き始めた私「なんかどんどん文字数増えてく……(困惑)」
早め更新を目指します…!!




