最後の言葉・・・
「純也、お前、明日からどうすんの? 」
盆休みを翌日に控えた仕事の帰り道。
僕は、同僚の純也と電車の中で、他愛のない話をしていた。
「んー・・ 心霊スポット巡り・・ とか?」
「なんだよそれ、子供か! 」
そう言うと僕は、純也の頭を小突いた。
こんな感じのやりとりは、いつもの事だ。
いや、気になってる事があってね・・ 」
純也は最近、たまたま小耳に挟んだという、噂が気になっているらしい。
何でも、少し前まで彼が住んでいたアパートの近くに、古い空き家があり、その空き家を引き取り、自宅兼、古民家風カフェへリフォームし、商を開いていた住人がいたらしい。
そこの住人が急死したそうだ。
「それ、ただの病気とかじゃないの? 」
「いや、俺も、そうだと思うんだけど・・」
「でも、つい先日、その店に行った事があって、その時は全然元気そうだったんだよね・・ 」
そう言いながら、彼は首を傾げた。
「で? そこに行って、お前は何がしたいんだ?」
「いや、何かミステリーじゃん? つい最近までピンピンしてたのに急死とかさ」
「これは何やら、事件の香がするぞ! ・・って、俺の感が言ってる! 」
子供の様に笑いながら、彼はそう言った。
「あっ、そぅ・・ まぁせいぜい頑張れよ」
僕は少し呆れながら、彼にそう言った。
「えっ!? 隆史は一緒に来てくんないの?」
「何でそうなるんだよ・・ そんな事に巻き込まれるのは、ごめんだね・・ 」
「ちぇ、じゃあ一人で行ってくるからいいよ~・・ 」
彼は残念そうにそう言った。
そんな話をしているうちに、電車は純也の自宅の最寄り駅へと到着し、彼は下車していった。
次に純也からの連絡があったのは、次の日の昼過ぎの頃だった。
その日、僕は自宅のソファーの上で、のんびりと音楽を聴き、過ごしていると、純也からのSNSメッセージが届き、仕方なく話に付き合ってやることにした。
「隆史、おつかれ!」
「なんだ純也か・・ 何か用?」
「おいおい、冷たくね?w」
「温かく、接してるつもりw」
「で? 純也探偵の捜査の方は、順調に進んでるのか?」
「これから向かう所だよ」
「そっか、まあ程々にな」
「はいはい・・」
こんなやり取りを終えると、僕は夕飯の材料の買い出しをする為、家を出た。
買い物を済ませ、帰宅すると、時刻は午後4時を指していた。
ソファーへと腰かけスマートフォンの電源を入れると、4件のメッセージが届いていた。
(また、純也からか・・ )
僕はSNSツールを開き、メッセージに目を通した。
「隆史、今、何してる? 」
「すげぇことがわかったぞ! 」
「結局は、俺、この件に関わるべきじゃなかったよ・・ 」
「店主は息を引き取る間際に、何かを見たって言ってから、逝ったらしい・・ 」
(なんだ? このメッセージ・・ )
僕はこの時、純也の本当のメッセージに気が付きゾッとした。
「た・す・け・て・・・ 」
読んで頂きありがとうございました!
今回もちょっと怖めなお話を作らせていただきました。
過去のをお読みいただいている方々には感謝しかございません!
ただいま連載できるような、お話を作成しております。
完成したら投稿しますので、読んで頂ければ幸いです。
それまではちょこちょこ短編を執筆させて頂きます。