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机上の時空論  作者: 御法 度
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エピローグ

 

「では、今日は話題のSF作家・星埜苺さんへインタビューしたいと思います! よろしくお願いします」

「よろしくお願いします」

「この3月に発売されます、こちらの新作『机上の時空論』は、星埜先生ご自身の体験をもとにしたものだとか?」

「そうです。もう何年も前の話ですが、高校生だった時に、机の上で文通をしていたんです。見知らぬ相手と」

「ロマンチックですね。その方とは会えたんですか?」

「いえ、結局、何も起こりませんでした……日常は続いていき、私は今も作家をしています。

 勘違いをしていた、ということでしょうね」

「星埜先生はデビュー作でパラレルワールドをあつかっていましたが、もしかするとそこにもえいきょうが?」

「はは、そうかもしれません。私がやりとりをしていたのは、別時空の人間だったのかもしれませんね」

「では、最後に読者のみなさんにメッセージを。今、世間は()()()()()()()()()()で大変なことになっています。先日は、数ヶ月後に迫った2()0()2()0()()()()()()()()()()()()()()()もありました」

「はい。こんな時代だからこそ、本を読んで欲しいと思います。そして、感じたことを大切にしてください。それが自分を見つめ直すことに繋がると、私は思います」

「なるほど。きちょうなお話をありがとうございました! あ、もう一つだけ」

「なに?」

()()()()()の由来をお聞きしてもいいですか? やっぱり女の人向けの本を書いているから……?」

「そうですね。でも、これはある大切な人の名前でもあるんです。()()()の」

「うふふ、うれしいなー」

「君のことじゃないって、異稚児いちご

 そこで、妹の幻覚――は「異稚児」と名付けた――は、不満そうに頬を膨らませた。

「もう、お兄ちゃん。そんなむずかしい名前でよばないで。わたしは苺だよ♪」

「はいはい、そうだね。『インタビュー』は楽しかったかい?」

「うん! ありがとう!」

 異稚児いちごは満足そうに笑った後、すっと消えた。疲れたのか、「眠って」しまったらしい。

 6年も経ったというのに、彼女は小学5年生の姿のまま。不運な事故で死んだ妹は、変わらない笑顔を僕に向けてくる。

「苺」

 僕は床に落ちていた本を拾い上げ、そっと仏壇に捧げた。



 完







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