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「大丈夫ですかッ?! 大丈夫ですか!」
あぁ……明日から、損害賠償とかで、借金地獄かぁ。
「返事を! もしもし!」女は助けを求めている。
いや待て、このオフィスビルはテナントが他にも数社有ったよな……。下手したら怪我人とか……だとすれば……。
「誰か! 誰か手を貸して! 」
もし死者が出てしまえば借金どころじゃ
「これはもう駄目かもしれんね。」医者に見える老人が言った。
ご遺族の方になんて詫びれば……。
「これ以上苦しむくらいなら、死んだほうがマシだろう。」
待て。待ってくれ。
「それにしても不憫だ、こんなに若いのに。」
何だよそれ、まだ助かるだろ……!
「さ、楽にしてやろう。これを使いなさい。」老人は刃物を渡す。
「本当に助からないんですか?! まだ息があります!」
そうだ、姉さんはまだ
「もう助からないんだ。」老人の目は澄んでいた。
「そんな……! 」女はうつむいて歯を食いしばる。
待ってくれよ……
「さぁ、これ以上苦しめてはいけないよ。大切な人なんだろう。」
クソッ!! 畜生がァッ!!
「……ッぐぅ……!」女の、押し殺した感情が嗚咽に変わる。刃物の柄が、ミシと鳴る。
『「うわあああああああ!! 」』刃が風を切る音がすると同時に二つの声が絡む。女性らしい高い声と、野太く力強くて低い男の声だ。
「ヒィィィッ!!」老人が叫ぶ。
「え……?」女は雫を走らせながら腑抜けた顔でもう一度うつむく。
「は?」老人と女を何度も見直している様子の女戦士は目を見開き、自分の体を、舐めるように見た。そしてつぎの瞬間、女は自分の胸をわしづかみした。
「うおおおおおおおおお!!」
女戦士は低く牛のような鳴きで地を震わせた。
お久しぶりです