『ボディバッグ狂い』・・・或るショッピングモールにおけるボディバッグの調べ方
『ボディバッグ狂い』
・・・或るショッピングモールにおけるボディバッグの調べ方
㈠
家から少し離れたところ、原付で10分くらいだろうか、そこに、昔から在る、或るショッピングモールがある。1階は食料品、2階は服飾系と雑貨屋、3階は電化製品と本屋と靴屋、である。丁度その建物の中核に位置する2階の服飾系のコーナーの一角に、ボディバッグが置いてある場所がある。
以前からそこを訪れることはあったが、此処最近、と言っても1年以内くらいだろうかと思われるが、そのボディバッグのコーナーに立ち寄る回数が極端に増えた。適度にボディバッグの種類は入れ替えられ、それらを背負っては、これは買うべきか、買わないべきかなどと思考して悩むのである。しかし、その悩みは楽しい悩みであることを述べておきたい。
㈡
色々な種類のボディバッグに、自分はただ、買わない算段でいても、そのコーナーの一角が好きなのである。もっと言うと、居心地が良い訳で、自分は、そこでの自分とボディバッグの位置関係を、調べの関係性と位置付けている。別段、その様な大層な言葉で呼称する様なことでもないのだが、ともかく、その調べは、ここ1年以内くらい続いている。
2階は、所々にソファなどが置いてあり、普段もっているペットボトルのお茶を飲んだり携帯を使用しながら、ゆっくり過ごすことができる。空調も良いし、店内はうるさくもないし、心を落ち着かせながら、自由な時間を過ごすのだ。時間、空間、共に申し分ないのである。そして、ボディバッグのコーナーとソファの場所を行ったり来たりしながら、今日はボディバッグを買おうか、とか、今度にしようか、とか思考しながら、一定の時間を、そのショッピングモールで費やす。
㈢
この、題目にも挙げた、或るショッピングモールにおけるボディバッグの調べ方、という行為は、非常に楽しいのである。誰が何と言っても、自分はそれが楽しい。まるで、日常を忘れるかのような、不思議な感覚になるのである。それもまた、そのショッピングモールの2階に、ボディバッグのコーナーが在るから現象する楽しみなのだ。
人には、日常において、個々の楽しみというものがある。自分としては、そのボディバッグの買い方が気に入っており、日によって、ボディバッグを買わない日などは、特にお金を使わなくても、楽しめるので、まさに恰好の場所なのであって、おそらくその日常における時間の費やし方の狂い方は、日常に溶け込んでいることは否めない。しかも、この否めない、とは、非常にポジティブな意味での、否めないである。いつまでこの狂いが続くのか、自分でも分かりはしないのだ。




