音楽会当日 その3
まだまだまだ続きます。
「Hin! Ka La La La♪ Li La√ Li♪
La Li Rrrrrrra~♪」
〔ヒン! カラララ リラ~リ
ラリ ルルルルルルラ~〕
コマドリさんのソロから始まり、次にフクロウさんのトランペットが鳴り響きます。
Pa Pa Pa PaPPa Pa Pa PaPaPa PaPPa
Tii La La Ti La Li La
〔パパパ パッパ パパ パパパ パッパ
ティー ララ ティラリラ〕
相変わらず美しい音色です。
と、ヘビさんが弱音器を外し、口に入れ飲みこみます。あれは……ニワトリさんの卵です。
TILATIRA TILATIRA
TILATIRA TILATIRA〜
〔てぃらてぃるら てぃらてぃるら
てぃらてぃるら てぃらてぃるら〕
弱音器……ではなく、卵でしたがーーーからベルが解放され、ビブラートのかかった、艶のある音があふれます。ヘビさんのしめつけで、サックスがあざやかに歌いだします。
そこにーーー。クマさんのコントラバスが加わります。クマさんは、コントラバスの弦を叩くようにして、音を出します。スラップ奏法です。
Bun Bun Bun Da DaDDa Da Du-N
Bun DaDDa Da Du-N Bun Bun Bun
〔ブンブンブン ダ ダッダ ダ ドゥーン
ブン ダッダ ダ ドゥーン ブンブンブン〕
低く絡み合った音が、リズムになり、ジャズのスウィングを生み出します。
ドングリ池のほとりの動物たちは、真冬の寒さなど誰も気にしていないように、スウィングに合わせてゆれています。『REDジャズ』にすっかり夢中です。
凍った池の上では、逆さ虹がスウィングに合わせてゆらゆらとゆれうごき、池の氷に、プリズムめいた屈折が見えるのです。
「♬ Bu Bu Bu PaPPa PaPa Ti Ti La
Li 〜 √ La!」
〔ブブブ パッパ パパ ティティ ラ リーラ〕
最後の一音が短く鳴り、「くちばしに妖精」が終わりました。
動物たちの拍手が凍った池に反射して、ぱちぱち、ぱりぱりと音がします。
そして、拍手がおさまったタイミングで、ゆったりと、クマさんのコントラバスの弓が動きます。
「まんまるづきのセレナーデ」です。
フクロウさんのトランペットに弱音器……これは卵ではなく、本物ですーーーがかぶさり、少し気の抜けたような、優しい音がします。
ヘビさんがいよいよサックスをぐるぐるしめつけて、ソロ・パートを吹き始めます。
あまいあまいメロディーが流れ、ソロ・パートが終わりに向かい……と、その時
『Na〜 Na Na Na〜♪ Na Na Na〜♬
Na Na Nan Na Na Nan ♫』
〔ナ〜 ナナナ〜 ナナナ〜
ナナナン ナナナン〕
コマドリさんとクマさんが歌います。コマドリさんの高い声とクマさんの低い声のハーモニーは、優しくてあたたかい音がします。
それにしても、クマさんはハスキーボイスです。もしかして、オンボロ橋を渡る時に叫んでいたからでしょうか。
だんだん歌声が小さく小さくなり、音楽もだんだんよわくしていきます。
ーーーほう、とだれかがため息をつきました。
いつのまにか、舞台上はしーんとなっていて、観客のみんなは、夢から覚めたように、目をぱちぱちとしています。
そしてーーー大きな大きな、拍手が起こりました。
見上げると、逆さ虹の向こう側で、まんまるのお月様も、うれしそうにしていました。
コマドリさんたちの演奏が終わりました。