音楽会当日 その2
まだまだ続きます。
根っこ広場で準備を終えたわたしたちは、ドングリ池に向かいます。
わたしは力を使い、根っこをドングリ池へと伸ばしました。ドングリ池は川のこちら側なので、伸ばすのは楽なのです。
ドングリ池のほとりには、かがり火がいくつも焚かれ、木で組まれた舞台が用意されています。
夏の風にかがり火の熱気が乗って、真夏のおひさまの下にいるようです。
音楽会を聞きに来た動物たちが、少しでも涼もうと、ドングリ池に足をひたしたり、池の水を体にあびせかけています。
向こう側チームはどこでしょうか。……来ました。フクロウさんが目を覚ますのを待っていたようです。
「ごきげんよう、コマドリさん、ヘビさん、クマさん、フクロウさん。調子はいかが?」
「こんばんは、根っこさん。それにキツネさん、リスさんにアライグマさんも。みんな素敵な衣装ね。のどの調子はこの通り、ヒンカラララ〜♪ばっちりよ。ミミズのおかげかもね」
そう言って、コマドリさんはウィンクをひとつ。
コマドリさんの衣装は、オレンジ色のスパンコール・ドレス。炎に照らされて、燃えるように輝いています。髪飾りに赤い木の実が刺してあります。
「すーはー、ああ、緊張してきたよ……」
クマさんは赤い蝶ネクタイに黒いえんび服を着て、コントラバスを持っています。気になるのか、コントラバスの弓に何度も松脂を塗っているようです。
「んんん♫ぐ〜るぐる〜♫」
ヘビさんはきんぴかのサックスにぐるぐると巻き付き、サックスのベルになにか入れてます。なにか白いものは、弱音器でしょうか。頭に白いターバンを巻き、ターバンの中心に大きな赤い石を付けています。
「ホウッホウ、久しぶりにトランペットをお聞かせしますぞ」
フクロウさんは、赤いサスペンダーに黒いズボン、そして使い込まれ、磨き込まれたトランペットを持っています。
チームで赤い色を付けていて、とても素敵です。
各チーム揃ったところで、ドングリの数当てを行います。箱の中に入っているドングリの数を、箱をふって当て、当たったチームから演奏順を決めます。
こちら側チームはリスさん、向こう側チームはクマさんがドングリ当てに出ます。
ガラガラガラ……
まずはクマさん。びくびくしながら答えました。おしい、正解よりひとつ少なかったです。
つづいて、リスさん。
ガラガララン……
軽い調子で、ぴたりと中のドングリの数を当てました。
ドングリ当ては、リスさんの勝ちです。わたしたちは、後の順番を選びました。
「ボク、わくわくするよ」
キツネさんが目を三日月のように細めて笑います。
審査員は森のみんなです。手にひとつドングリを手にして、演奏が終わった後、良いと思ったチームの前に置くのです。
そして、いよいよ夏の夜の満月が空高く上がり、特別審査員がドングリ池に下りてきます。
逆さ虹です。
森のみんなは、いそいで池の水から上がり体を拭き、かがり火のそばに寄りました。
特別な夏の夜の満月は、月の魔力で逆さ虹を空から下ろしてくれます。
ですが、下りてくる逆さ虹の力で、真夏が真冬に変わってしまうのです。
ぴきっぴきぴきっつぁりん
ゆっくり、ゆっくりと逆さ虹が下りてくるのに合わせるかのように、ドングリ池が凍ります。
きりきりきりきりりり……かちん!
池の水すべてが凍りました。
「ふん、これぐらいの寒さなら、冬眠するまでもない」
かがり火の一番近くにいるアライグマさんが、手をこすり合わせてます。いつのまに布団を用意したのでしょうか。とても暖かそうです。
わたしは火の粉がかかったりしないよう、そっとかがり火の位置をずらしておきました。
舞台上には、向こう側チームが並びます。
コマドリさんが向こう側チームのみんなと視線を交わしーーー
「Hin! Ka La La La♬ La La♬
La La La La ♫ RRRR rrrrrrrrra〰︎♪」
向こう側チーム『REDジャズ』
絶滅危惧種たちの「くちばしに妖精」が始まりました。
REDに関しては、コマドリさんは今はまだ大丈夫ですが、物語上では危惧種といたしました。
曲名に関しては、このように、イメージした元の曲を変えたものがあとひとつ出る予定です。