人数を集めよう⑤
「なんだね君たちは?」
ベンチから半身を起こした姿勢に私はドキリとした。
(うちの学校にこんな綺麗な人居たの?! 見たこと無いし先生じゃないよなあ……)
私が何も答えないのに焦れて来たのか目の前の女性がベンチから立ち上る。
「聞こえてるかい? 君たちは何をしに屋上に来たんだい? 屋上は一般生徒の立ち入りを禁止していたハズだよ」
立ち上がると女性の美しさが際だつのが分かる。スラリと伸びた長い手足、小顔に長い黒髪。美しすぎる出で立ちに本当に同じ女性なのか自信が揺らいでくる。
(は~、神様って残酷。同じ生物なのになんで外見に差を付けるのかなあ。)
私はとても惨めな気持ちになった。
「あわわぁ、ゴメンね。ワタシ屋上で人が寝てるなんて知らなかったし」
「んっ? まあ知らなくて当然だろう。自分以外に屋上を使う生徒など今まで見たことが無かったからな」
「そうなんだ」
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私が考え事をしている間に有理が屋上の女性と話をしてくれたみたい。
有理の話を後で聞いたのだが驚いたことに屋上の女性はこの学校の生徒で、しかも私と年齢が一つしか違わない先輩さんだった。
(はぁ……一個違うだけで随分大人びた感じになるんだなあ。てことは来年になったら私もモデル体型に成長するってこと!? ……なんてことあるかぁ!! 私の頭はお花畑か! アホんだらー!)
その話を聞いた私は世の中の不公平さを嘆いたのだった。