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人数を集めよう④
有理をお供に野球仲間を増やす旅に勤しむ私こと早苗は何故か屋上を目指していた。
「やっぱ人を探すなら高い所っしょ!」
などと意味不明なセリフを吐きながら階段をズンズン登っていく有理。私の説得も虚しく4階建ての最上階、屋上の扉が見えてきた。
"ガチャリッ"
「うーん外はやっぱり気持ちいイイ-!」
「ホントだ」
校内に比べて解放間が桁違い。空は青く、そして風が清々しい。
「ヨッシ!」
気合いをいれた掛け声と共に屋上のフェンスに駆け寄る有理を私は小走りで追いかける。
「ヤッホー!」
「!!!?」
(なんでヤッホーなの? ここは山頂なの? 私の友達はバカなの?)
色々な疑問が頭をグルグルと回るが、こちらに向き直った有理のかわいらしい笑顔を見た瞬間私の疑問は頭から吹っ飛んでいった。
(やっぱ有理ってかわいい)
そんな事を考えていると背後の方から
「ウーン、わたしの睡眠を邪魔する奴はだーれ?」
声がする方に振り返ると屋上のベンチに横たわる細身の女性が体を起こしているのが見えた。