シーン6
赤学を傘下に加えた神谷だが、まだ自分の学校を支配できずにいた。
神谷の下につくものは多いものの、まだ熊上の下を離れず神谷派に反発している熊上派がその牙城を崩さずにいた。
(早くしねーと映画主演の話が無くなってしまうかも…。)
「神谷。やっぱり青校の上を狙うならもう熊上自体をやる他にないぞ。」
「う〜ん。つってもその熊上がいないんじゃな〜…。」
「よぉ、神谷に屋代。朝っぱらから何の話してんだよ?」
「おー新井。もうケガ大丈夫なんか?」「まだ、ズキズキすっけど医者が今日から学校行ってもいいってよ!で、何の話だよ?」
「いや、熊上がいねーと青高のトップは無理だって話してたんだよ。」
「おー、熊上ね!昨日病院の近くでみかけたぞ!!」
「はぁ!?マジか!!?」
「おぅ、もうあいつ釈放されたらしいぜ!」
「し、釈放って…。あいつ、ここら辺に住んでんの?」
「何なら連れてってやろうか?」
「…家まで、知ってんのかよ。」
(何て便利な奴なんだ。)
そして放課後、神谷と屋代は新井の案内のもと、熊上の自宅に向かった。
「着いた着いた。この家だよ。」
そこにはボロいアパートが並んでいた。
「こんなとこに住んでんのか。」
「おい、神谷!屋代!こっちだこっち。」
―コンコン。
「おーい、熊上ー!新井だ新井ー!いるかー!?」
「バカ新井いきなり呼ぶんじゃねー!!」ボカッ!
「いてっ。なんでだよ、いいじゃねーか別に。」
「…。」
「………。」
「………………。」
シーン。
「…なんだ。いねーみてーだな。」
「…帰るか。」
―ガチャ。
(……………いた。)
「ん?何だ。新井じゃねーか。」
「ひっさしぶりだな熊上!」
「で、何で屋代と一緒なんだ?それに横のお前は顔すら知らん。」
「とりあえずここで話すのも何だし、公園でもいくか!」
「ん、あぁ…ちょっと待ってろ。」
神谷達は改めて公園で話す事にした。
新井は今までの経緯を熊上に話した。
「で、お前はおれを倒しに来たって言うのか?…へっ、バカバカしいぜ。」
「何だとコラ!!」
「神谷っつったか。いいか、おれはもう青校には行かねー。青校支配したいなら勝手にしろ!!」
「…はぁ!?」
「わかっただろ!もう帰るからな。」
「おい、熊上!!」
熊上はこっちを振り向く素振りも見せずにそそくさと帰っていった。
神谷達はあっけにとられ、ただ呆然と公園に佇んでいた。