シーン3
―ガラッ。
『おはようございます!!』
朝っぱらから男共のムサい声が響く。
「うわ!なんだ、お前ら暑苦しいな!」
「自分ら、神谷さんの強さに惚れました!これから3‐Aをよろしくお願いします!」
(まさか初日からこんなにうまくいくとはな…。)
「おー、とりあえず堅苦しいのはやめにしようや。…で、おれは3‐Aのトップじゃねぇ。青校のトップだ。んで、いずれはこの町のトップに立つ!!」「…神谷さん、それはいくらなんでも…。」
「え?何で??」
「おれが説明するよ。」
「おぅ、お前は…屋代だっけ?」
「あぁ。まず、この学校のトップは3‐Bの熊上だ。そいつを倒さねー限り青校のトップは無理だな。そして、この町には敵対する高校が2つ黄山高校と赤木学園。この3つの高校をまとめたやつなんて聞いたことがねぇ。つまり、勢力はみんな互角なんだ。」「ふーん。じゃとりあえず3‐Bの熊上っつーやつをぶっ飛ばしゃいいんだな?」
「それができればな…。」
「…なんでできねぇんだよ?」
「熊上は今、暴力事件で鑑別所入ってんだ。東館のガラスだけ妙に割れてるだろ??熊上がいなくなってまとまらずに暴れまくってんだよ。」
「でも何でうちのクラスはガラスとかきれいなんだ?」
「A組とB組は派閥違いなんだよ。A組はB組に関わろうとはしねぇし、B組のやつもバカじゃねぇ。トップがいなくなった今、A組に攻め込んで来るやつはいねぇんだよ。」
「ふーん、じゃおれが昨日みたいに一人一人ボコボコに倒しゃいい…。」
「アホ!それじゃお前の体が持たねー。今日だって拳握るのも辛いはずだ。」
「…む、むぅ。」
「とりあえず今は熊上が帰ってくるのを待つ!お前の拳も休めとけ。」
「屋代…お前、案外いろいろ考えてんだな。」
「…おれだってお前の強さには惚れてんだ。トップになるんだったら協力くらいさせろ…。」
「あぁ、頼んだ!」
神谷は満面の笑みで返した。
すると屋代を含め、クラス全員が笑みを浮かべた。
神谷は、その瞬間3‐Bの仲間に惚れた。
―数日後。「大変だ!」
A組の一人が教室に飛んで入ってきた。
「どうした?そんなに慌てて。」
「赤木学園の奴らが攻めてきた!!」
「はぁ!?どういうことだ!!?」
「何か昨日、B組のやつらが町で赤学のやつらをボコボコにしたらしくて。『熊上か屋代連れてこい』って叫んでるんだよ!!」
「どーする屋代!?」
「くそっ、熊上がいねーからってむやみに暴れやがって…。おれ一人で行く。神谷達は来なくていい。」
「でも…おれたちも行くよな!?神谷!」
「…屋代。」
「…大丈夫だ。」
「…わかった。待ってるよ。」
―ガラッ
そういうと屋代は教室を出て行った。
教室にはしばらく沈黙が流れた。