第1話 ★白銀の勇者★
こんにちわ。佐月 シャイです。
【Eクラスの勇者の息子】
今日から投稿していきまーす
てきとーに投稿していくのでブクマよろでーす。
この作品は読者の皆様が応援してくれれば続きますので、応援よろしくでーす
☆10503♪
1話で約1万字程あります!
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今からでも1話分の長さを短くして欲しいって方はコメントで教えて下さい!
今からおよそ二十年前。この世界を脅かす魔王が異界から召喚されてしまった。
ただし、魔王は全種族が生活している大陸【ランド】でいきなり暴れるようなことはしなかった。
魔王はおよそ十年間。【魔の海】と呼ばれる大陸でゆっくりと、着実に力を蓄えていた。
……そして、その時は来たのだ。
全種族が恐怖のどん底に落とされた。
通称。【大厄災】
異界の魔王が率いる魔王軍は十年間蓄えていた力を盛大にふるい、この世界の住民を地獄のどん底に突き落とした。
魔王は多くの魔物、魔獣、魔人、そして神をも凌ぐ存在。魔神までもを従え、大陸へと進軍してきた。
そして、進軍が始まってから僅か半年で、膨大な面積を誇るランドのおよそ半分近くが魔王軍に侵略されてしまった。
憔悴し、生きる気力をなくし、仲間同士でも争う日々が続く中…彼らは現れた。
白銀に光り輝く鎧を身に纏い、神々しく光る聖剣を手に持ってその者は戦場に現れた。
その者は、五人の頼れる仲間を引き連れ、魔王軍にたった六人で立ち向かった。
魔王軍の力というものがどれ程なのかを伝える良い実例が残っている。
『とある大国が国の全勢力を出して編成された最強の軍隊すらも軽々と壊滅させた』と……
魔王軍へと六人で立ち向かう。その姿を見た人々は皆無謀だ。殺される。もう無理なんだ。そう思っていた。
しかし、彼らの活躍は人々の心を裏切る形となった。
魔王軍へと立ち向かった彼らはその後、瞬く間に魔王軍を圧倒し、壊滅へと追いやっていった。
その姿を見ていたある国の兵士がこう言った。
『僕は見た。五人の英雄を。
五人それぞれが、火、水、風、光、闇。
の属性を使っていたことを。
僕は見た。一人の勇者を。
そして、その勇者は全ての属性の魔法を使っていた』
と……
ある者はこう言った。
その者たちはこの世界を救う『勇者』なのだと……
勇者たちの登場により、生きる気力を失っていた兵士たちも勇敢な姿を見て一気に士気を取り戻していった。
諦めていた者は、諦めずに闘い。
死を覚悟していた者は、生きようと思い。
泣き崩れていた者は、いつのまにか微笑んでいた。
そして、白銀の勇者の一撃により、魔王は討ち滅ぼされ、世界に平和が訪れたのであった。
それからは、死者たちの葬いや街の復旧作業で忙しかったが、ものの五年で、ランドの元の姿を取り戻した。
あの時の勇者は何だったのか。今はどうしているのか、その後の事は誰も知らない。あの闘いが終わると忽然と姿を消し、名前すら誰も何も分からないので、人々はその名誉を讃え、その者を『白銀の勇者』その勇者の仲間たちを『五英雄』と、そして、ある兵士の証言から五英雄それぞれに
『火の英雄』
『水の英雄』
『風の英雄』
『光の英雄』
『闇の英雄』
と呼ばれた。
白銀の勇者。その名を“シュウマ・カイ”と言う……
★★★★★★★★★★
「ただいまっ!」
僕はドアを開けて大きな声でただいまと言った。
いつもの日課となっている朝の特訓を終えた僕“ルフィス・カイ”は、今から朝食を食べるのです。
「今日も特訓偉いわねぇ。それより、お父さん厳しくしてない?」
「全然平気です!あれくらいお茶の子さいさいです!」
「あら、よく頑張ったわね。でも、ルフィスはまだ五歳なのだから、別に無理してやらなくてもいいのよ」
「いえ、これは僕が決めた事ですから!それに、強かったら人をいっぱい助けられます」
「それはいい心意気ね!」
僕は一週間前、五歳の誕生日を迎えたばかりです。
そして、特訓というのはこの家の周りを囲うようにそびえ立つ森の、その中でお父さんと駆けっこをしたり、剣の修行をしたり、魔物を狩ったりするのです。
この特訓は僕が、三歳の時から初めたので、もう二年が経ちます。
今ではもう一人で弱い魔物くらいは倒せるようには なりました。
そして、僕のお母さんなのですが、僕のお母さんは綺麗で美人で、美しくて!僕のお父さんには勿体無いくらいの人です。
「ただいまぁ」
「あっ!お父さんお帰りなさい!」
「お帰りなさい」
特訓が終わった後、お父さんは一人で狩りに行きます。いつも大きな獲物を取ってくるお父さんをいつもいつも凄いと思っています。
今日はいつも通り家の近くに生息しているドラゴンを狩ってきたのです。
「今日のはご馳走だぞ!」
「お父さんありがとう!!!」
「おうっ!」
「あのねっ、お母さん。今日はお肉がいいなあ…」
「はいはい。今から調理するからちょっと待っててね」
「はーい」
ちなみにお母さんの料理の才能はピカイチです。
どんなに不味い食材でも、お母さんの手にかかればすぐに美味しい料理になって出てくるのです。
今日の食材はリトルドラゴンなので絶対に美味しいはずです。
「んじゃあ、今のうちにルフィスはお勉強といこうか」
「はーい」
空いた時間は無駄にしない。これがお母さんとお父さんの教えです。
何か空き時間があれば必ず勉強の時間に使っています。
当然。休憩も大事なのでずっと勉強しているわけでは無いのですが……
お母さんとお父さんはどっちも頭が良く、教え方が上手いのですぐに頭に入ってきます。
「昨日はどこまで言ったっけなぁ……」
「分数までです!」
「おおっそっかそっか、それじゃあ今日は、少数について勉強をするか」
「それならもう先にやってしまいました。分数とセットで覚えてみました!」
「おおっ!!!それは偉いぞ!」
「へへぇ〜」
僕は褒められるのが大好きです!
良いことをするといつもお父さんは頭をわしゃわしゃして「偉い偉い」と何度も言ってくれます。
お母さんは「偉いわねぇ」と言って抱きしめてくれます。
そんな二人が僕は大好きです!
「それじゃあ今日はーーーーー」
★★★★★★★★★★
「ご飯出来たわよー」
「はーい」
僕は『タタタタッ』と階段を下り、『ススッ』と椅子に座ります。僕はまだ背が低いので床には足がつかず、ずっとプランプランしています。
「「「いただきます!」」」
挨拶はきちんとする!
これもお母さんとお父さんに教えられたことです。
礼儀正しくする事で己の精神も鍛えることができる。そうお父さんは言っていました。
「美味しぃっ!」
「んっ、美味い!」
「ふふっ、そうやって食べてくれると作り甲斐があるわ」
「ん?僕は本当のことを言ってるだけだよ?」
ーーーズキューーン!!!
ルフィスの天使の眼差しに二人は戦闘不能となった…
「…………コホンッ!それより、今日から昼と朝の特訓内容を少しレベルアップさせるぞ。いけるな?」
「はいっ!大丈夫です!」
「分かった。それじゃあ明日からは複数の相手との戦い方を学んでもらおう」
「分かりました!」
「お母さんからも…今日から魔法の特訓を少しグレードアップさせようと思うんだけど、できる?」
「全然大丈夫です!むしろもっともっとグレードアップしてほしいです!」
「まあっ!ルフィスは本当に偉いわねぇ」
「へへぇ〜」
僕の毎日のスケジュールは……
六時に起きる。
六時半から朝の特訓。
八時から朝ごはん。
十二時まで魔法の特訓。
十二時半昼ごはん。
一時から昼の特訓。
六時から夜ごはん。
九時までお勉強。
十時に寝る。
こんな感じです。空いた時間は勉強や魔法の特訓やなどをしています。
なので朝ごはんを食べたらお母さんと一緒に魔法の特訓です。
そして、魔法を使うにはイメージと集中力が必要です。
お母さんが頭に浮かびやすいイメージを教えてくれるのでとても分かりやすいです
集中力も、お父さんとの特訓や日頃の勉強で鍛えられているので大丈夫なのです。
一週間ほど前、【魔力切れ】という、魔力がほぼ全て無くなった状態の時に起こる病気も訓練のために一回だけ体験しました。とても苦しく、辛かったのですが、お母さんの治癒魔法ですぐに魔力が増えて楽になりました。
その時のお母さんとお父さんの様子は、今にも泣きそうなくらい、心配した顔でした……
「「「ご馳走様でした!!!」」」
ご馳走様もきちんとしたので今度はお片づけの時間です。食べ終わったお皿とナイフとフォークとコップはとある白色の箱の中に入れるのです。
そうすると食器は箱の中で勝手に洗浄され、すぐにピカピカの状態になって戻ってきます。時間にして、わずか二秒です。
これは、その箱自体に魔法が付与されてるから出来ることなのです。そして、これを作ったのもお母さんらしいです。これを売れば物凄く儲かるそうなのですが…………
…やっぱりお母さんは天才です!!!
★★★★★★★★★★
「じゃあ今日は基本属性のおさらいをしましょう。もう覚えたかもしれないけれど、基本は何回もしないと、ダメなの。わかった?」
「はい!分かりました!」
「ふふっ。じゃあまずは、基本属性を言ってみて」
「【火属性】【水属性】【風属性】【光属性】【闇属性】です」
「うん正解!それじゃあ次にその五つの基本属性の
【基本魔法】と【派生魔法】を火属性から順番に行ってみて」
「はい!まずは
【火属性】の基本魔法は【火魔法】派生魔法は【爆魔法】と【熱魔法】です。
【水属性】の基本魔法は【水魔法】派生魔法は【氷魔法】と【治癒魔法】です。
【風属性】の基本魔法は【風魔法】派生魔法は【自然魔法】と【土魔法】です。
【光属性】基本魔法は【光魔法】派生魔法は【雷魔法】と【付与魔法】です。
【闇属性】の基本魔法は【闇魔法】派生魔法は【毒魔法】と【岩魔法】です」
「さすが……というより、私が教えた通り、一文字間違えずに言ったわね……それじゃ最後にそれぞれの神級魔法を言ってみて」
「はい。
【火属性】は【時間魔法】
【水属性】は【空間魔法】
【風属性】は【重力魔法】
【光属性】は【限界魔法】
【闇属性】は【霊魂魔法】です」
「完璧!さすがルフィスね!」
基本属性というのは主に十歳頃で開花するものです。
勿論。鍛錬次第で開花する年齢も変わってくるのですが……
そして、神級魔法というのは自分が開花した基本属性を極みに極め、さらに派生魔法を全て覚え、それをさらに極めた者にしかたどり着くことができない魔法のことです。
もし神級魔法を一つでも習得することができれば国から一生を十分に暮らせるほどのお金をもらうことができます。
「いえ、僕よりも神級魔法を二つも覚えているお母さんの方がすごいのです!」
「うふふ。ありがとう。でもルフィスもいつか絶対に覚えれるわ」
「はい!そのために特訓をして、勉強を毎日するのです!」
そう。お母さんはなんと神級魔法を二つも覚えているのです!
普通の人は、一つ覚えるだけでも不可能に近いほどなのですが、お母さんの魔力量と魔法の才能は常人を遥かに超えているので三つも覚えれるらしいです。
お母さんが開花している基本属性は火、水、風、光の四つです。特にお母さんは風魔法が得意で、自然を操る力で右に出るものはいません!
そして、お母さんが習得した神級魔法は時間魔法と空間魔法とです。特に時間魔法と空間魔法を使った魔法【無限収納】は本当に便利です!
何もない空間から黒い渦が出てきて、その中には無限に物を収納出来るのですから。
しかもその魔法は時間魔法も使っているので【無限収納】の中では時間の経過が無いのです!
例えば出来立ての食べ物をその中に入れておくと次に取るときも出来立ての状態で出てくるのです!
「それじゃあ今日も魔法を使うとしましょう」
「はい!わかりました!」
魔法の属性は特訓さえすれば誰でも全属性持てることが出来るのです。
でも、それが出来ない理由があります。
それは、単純に魔力量が足りないからです。
開花する基本属性が増えれば、その分必要となる魔力量は当然、大幅に増えます。
結果、基本属性を開花させる為に必要な莫大な魔力量が足りなくなってしまうのです。
なので、一般の兵士などでは二つが限界なのです。
二つ持ってる人は【二重属性】三つ持っている人はとても珍しく、【三重属性】と言われ、全種族合わせ、世界でもに二百人いるかいないかと言われる超すごい人なんです。
そして、まだ存在は確認されていませんが、この世界を救ったとされる五英雄が【四重属性】なんじゃ無いかと噂されています。
でも、お母さんが【四重属性】なので存在を確認されていないというのは間違っています。
五英雄達は四つの基本属性を持てるほどの魔力量があり、その魔力量を持つ【四重属性】の人が撃つ魔法の威力は山を壊すほどだと言われています。
そして、あの伝説の勇者、白銀の勇者が【全属性】だという噂もよく聞く話です。
その威力は本気を出せば世界を崩壊へと導く。とも言われ、片手間に街を破壊することもできると言われています。
そして…その逆。基本属性が、何一つ開花していない存在もいます。そういうような者たちを【無属性】と言います。
そういった者たちの扱いの酷さは言うまでもなく。それが原因で親に捨てられたり、職に就けなくなってしまったという話もよく聞きます。
お父さんとお母さんは、いつも、『無属性は、全属性の中で一番強い属性だぞ。世間は無能扱いしているが、その扱いは間違っている』と言っています。
そして、僕は今三つの属性を使うことができます。
つまり僕は三重属性なのです。
この歳で三重属性は珍しいのかはまだ聞いていませんが、魔力量が一般的な兵士たちより遥かに多いのは確かです。
魔力量というものは自分が産まれつき持っている魔力量の高さと、幼少期の鍛錬でだんだんとその高さを確立していくものなのです。
産まれつき持っている魔力量は、親の魔力量が高ければその子供もそれを受け継ぐと言われています。
勿論それは、一つの説に過ぎず、親の魔力量が低く、暮らしも貧乏だった一人の子供でも三重属性に慣れたという話があるので、この話は一つの説に過ぎません。しかしこの説には随分と信憑性があるので、信じている人が殆どです。
ちなみに僕はその説を信じる派です。
そして、幼少期の鍛錬なのですが、普通の子供はそもそも魔力の存在、使い方すら知らない人が殆どなのです、早くても魔力に気付くのは五、六歳からでしょう。その歳から鍛錬するのと十歳頃から鍛錬していた人の差など一目瞭然です。
その為、必然的に教育ができる環境が整っている貴族の子供には魔法量が高い子供が誕生しやすいという結果になります。
僕の場合は、二歳くらいの時には既に魔力を感じられることができました。
お母さんから聞いたのですが、この辺り一帯は魔力濃度が濃いらいしので子供の僕でも感じやすいそうなのです。
そして僕の属性は、水、風、光の三つです。
やっぱりお母さんと似た基本属性が開花しています。
ちなみにこの家は森に囲まれていて、自然と触れ合う機会が多いので、風属性は最初に習得することができました。
「それじゃあまずは、昨日の続きから。風魔法を撃ちなさい」
「分かりました…」
(風…速い風……鋭い風………)
僕は魔法を使うのに大事なイメージと集中力を高め、およそ10メートル先にある木をめがけて魔法を撃ちました。
「【風刃】!!!」
僕は風の刃を連想し、それを飛ばすようなイメージで木に向かって魔法を撃ちました。
これは昨日もやったことなので、サクッと撃てて良かったです。
ーーーズザザザッ!!!
魔法が木に当たった衝撃で木に深い切れ込みが入りました。
しかし不思議な事に深い切れ込みが入ったその木は徐々に元の姿へと戻っていき、十秒もしないうちにその切れ込みは無くなり、何事もなかったかのように木はそこへ生え続けました。
これが僕が本気で木に向かって魔法を撃てる理由です。
この木は【魔木】といい、魔力を多く含んだ木です。
それにより自然治癒が発生し、どこか折れてしまったとしても、その箇所をすぐに治癒するという特徴を持っています。
そして、その【魔木】の自然治癒能力を上回るほどの攻撃を放てば【魔木】は倒れます。
その木で作られた椅子や机は物凄く頑丈で、およそ百年使っても全く腐らず、どこか破損してもすぐに直ってしまうので、千年以上は使えると言われている高級品です。
そして、僕たちが住んでいる家は全て【魔木】を使って造っている二階建てのログハウスです。
柱や、屋根といった全ての素材が【魔木】なので、仮に雨が降っても、雷にうたれてもいっさい壊れることはありません。多分!!!
そして、【魔木】は人から微量に漏れ出る魔力をも吸収するので、近くに人がいる場合はより、強度が増す、そんな素晴らしい木なのです。
つまり、僕たちが住んでいる家は魔木で造られた上に一日に多くの魔力を吸っているので、その頑丈さはすでにオリハルコンを超えています。
「うん!昨日よりもすぐに魔法を撃てたわね!」
「ありがとうございます!」
「じゃあ今日は風魔法じゃなく、自然魔法を使ってみようかしら」
「自然魔法…ですか」
「うん!それじゃあ、まずは自然を感じるところからね。この先にお母さんが好きな場所があるから、そこに行きましょう」
「はい!分かりました」
新しい魔法を使えるようになるためにはまず、その魔法がどんな魔法なのか知ることが大事です。
風魔法なら風を感じ、火魔法なら火を感じ、自然魔法なら自然を感じる……これがお母さんの言った、一番手っ取り早い方法なのです。
この前、本で読んだ話によると、光属性の魔法師が雷に撃たれたことが原因で雷魔法が使えるようになったという実例も存在します。
★★★★★★★★★★
お母さんと一緒にその場所へと向かってからおよそ十分後くらいに、お母さんが言っていた、場所へと着きました。
「さあっ、ここよ。ここはお母さんが悩み事があったり、嫌なことがあった時にいつも来ていた場所よ」
「うわあああ……きれい……」
そこはまるで、神様の庭でした。
空から降ってくる眩しい太陽の光が、透き通った湖の水に反射し、水面がキラキラと光り輝き、周りの色とりどりのお花たちは、僕たちを祝福してくれているかのようにゆらゆらと揺れていました。
何より風が……自然が気持ちいい……。
森の…木の香りが自然の、心地良い風に乗って鼻をくすぐる。
(まるで、森と一体化した感覚だ!)
「きれいでしょ……私も、若い頃はこれからのことで悩んだら悔やんだりしているときはいつもここに来ていたわ。
当時はたまたま見つけたんだけれど、一度ここに訪れてからはもうずっとここに来てるわ。ここで寝ると気持ちいいわよ」
「そうだね…本当にここは気持ちいい…」
僕はお母さんが座っている隣にぺたんと座った。
顔に風が当たり、銀色の髪の毛がふわふわと揺れる。
心地よい風が当たり、僕はだんだん眠くなってきた。
「ふふっ、今日の特訓はここで寝ること。それでいいわね?」
「はい……」
そう言い僕はごろんと寝転がり、上を見上げた。
眩しい太陽の光が森の木の間から僕たちに向かってくる。
今日は天気がいい。僕は本当にそう思う。
雲が一つもない。どこを見ても満天の青空。きれいな水色。
(これが自然を感じるということか……)
僕はお母さんが結界を張ってくれているのを横目にゆっくりと目を瞑った。
目を瞑ってからは心地よい風と眩い光によって、すぐに眠りについた。
「ふふっ、おやすみ…」
★★★★★★★★★★
「ふぁぁ……むにゃむにゃ……」
「あら。目が覚めた?」
「お母さん。おはよう…」
僕が目が覚めたのは、十二時を過ぎた頃だった。
九時ごろにここをきたので、約三時間ほど、僕はここで眠っていたことになる。
「う〜〜ん!それにしても気分が良いです」
「えぇ、そうでしょ。自然を感じるというのはこうゆうことよ、分かった?」
「はい!分かりました!」
「うんっ!それじゃあ家に戻って昼ご飯にしましょう!」
「はぁーい!」
僕たちは元来た道を自然を感じながらゆっくりと戻った。
普段はあまり気にしていなかったけれど、こうして意識してみると、森というのは本当に素晴らしいところだと思う。僕は特にこの香りが一番好きだ。
なんというか……とにかくこの落ち着く感じが、森のいいところだと思う。
来た時よりも少し時間をかけて家に戻ると、既にお父さんが狩りから戻って来ていた。
「ただいまっ!」
「おうッ!ルフィスおかえり!」
「ただいま」
「アイナ、おかえり」
アイナというのはお母さんの名前です。
“アイナ・カイ”
お父さんの名前は
“シュウマ・カイ”
と言います。
髪の毛の色はお父さんは黒色で、お母さんは茶色です。
でも、なぜか僕は銀色です。僕もお父さんたちと同じ色が良かったです……
「まだ今朝食べたドラゴンのお肉が残っているからまたお肉でいい?」
「はい!大丈夫です!むしろずっとお腹がいいですっ!」
「うんっ!それじゃあ少し待っててね。すぐ作るから」
「はーい!」
「おっ、それじゃあ、ちょっと外に出るか?」
「はいっ!」
こうして僕はお父さんと一緒に外へ出ました。これからまた特訓が始まるのです!
お父さんと、お母さんとの特訓は、自分が強くなっているのが分かるので、大好きです!
「んじゃあ今日は剣術以外の武術を教えるぞ」
「はい!でも、どうして剣術以外も覚える必要があるのですか?」
「うん。それはな、剣という一つの武器だけを極めていても他の武器が使えなくては不利な場面が出てくる。それに、実際に俺はその場面にあっているからとにかくこれは大事なことだ」
「例えばどんな時ですか?」
「俺が体験したことで言うなら、あん時はとにかく剣ばっか極めていたんだよ。それで、冒険者として一回雲を覆うほどのでっかい鳥の魔物と戦った時があったんだ。
俺はそん時もいつもと同じように極めてた剣で倒そうと思ったんだがな、その魔物が俺でも空中戦ではかなわないくらい強くてな」
「え!?お父さんが空中戦とはいえ、かなわない敵がいるなんて!?でっ、でも空中戦なんだったらお父さんの使う【空歩】を使えば戦えるはずじゃあ……」
「ああ、確かにな。俺もそうやって倒そうとしていたのを覚えているよ。ただ、そいつにはどうやら周辺の魔力を感知して、魔法を無力化するようなスキルがあったらしくてな。他の魔法も試したが全然ダメだったんだ。
魔法じゃなくて、スキルは使えたんだが、魔法はどうにもダメみたいだったよ
それで仕方なく一応いつも持っていた弓矢で倒そうと思ったんだよ。でも、それが全然駄目当たらなくてよ。だから俺は当時街に置いていた拠点に帰って一ヶ月間弓を猛特訓をしたのさ。まぁ、そのおかげであのでっかい鳥の魔物も倒せて、報酬も貰って、今は弓も使えるっていう訳さ」
実際。お父さんの弓の才能は凄く、200メートル離れた小さな【ホーンラビット】も一瞬で仕留めることが出来るのです!
弓の方にもお母さんが色々と細工してあるので、飛距離やパワーなども桁違いです!
(それにしても……お父さんが戦ったっていう魔法が効かない大きな鳥の魔物って、もしかして伝説上に出てくる【不死鳥】なんじゃ……)
まぁ、そんな事はどうでもいいか
弓を撃つのはとても難しく、風の向きや速さなど、色々と考えなければならないのと、単純な飛距離と威力なら魔法の方が良いから、弓を使う人は殆どいないとお父さんから聞きました。
だけど、魔法が効かない魔物が出る可能性もあるから、剣が届かない場所に魔物がいるから、そういったケースも考えていかないと駄目というわけです。
「てことで今から弓矢の説明をーーーーー」
「ご飯出来たわよー」
「……はえぇな、三分もたってねえぞ」
「取り敢えず今の続きはご飯を食べてからだね」
「ああっ!先ずは飯だ!」
僕たちは家の中へと入り、椅子へと座った。
既にテーブルには黒い鉄板にドラゴンのお肉をこんがりと焼いたステーキが三人にそれぞれ置いてあった。
ドラゴンの肉の匂いが僕のお腹を極限まで空かした。
「「「いただきます!!!」」」
僕はすぐに肉へとかぶりついた!肉を口の中で噛むたびに溢れ出す肉汁で口の中がいっぱいになっていく。喉を詰まらせそうになったので勢いよく水を入れ込む。
「ふふっ、そんなに慌てないでゆっくり食べなさい。お肉は逃げないから」
「あふぁててふぁせん!」
「はははっ!いいぞいいぞ!どんどん食え〜!」
美味しい美味しいステーキを食べ終えた僕は食器を箱の中に入れて、昼の特訓へと向かった。
第1話はこのような形で終わらせて頂きます。
少し、長すぎたかもしれませんが、そこのところはすいません。
要望があれば、二話に分けることも検討する予定です。