第3話 やはりのってくれると嬉しいです
まだチュートリアル回。本編がちゃんと書けるか心配です。
結局転移初日はうどん以外の食べ物にあり付けなかった。ちなみに寝る時は界○拳を3倍にし、強引にガス欠状態になって爆睡する。朝起きてみたら、魔力は6ほど上がってた。6が固定値なのか、それとも10%なのかは分からないが、界○拳10倍までの道のりは厳しい。やっぱ、仙○が欲しい。一粒で完全回復する奴。どっかの塔に猫仙人いないかな。腹も減ったし。フィーネは移動中肩にのっているので、カロリーを消費しない。ていうか、あまり食べなくても問題ないらしい。いいな妖精族。私食べたら太るタイプだからあまり食べないの、というわけではない。そもそも食べなくていいのだ。
人間、腹が減ってくると、どうでもいい事が思い浮かんでくる。例えば、俺が今時速10kmくらいで歩いているとする。一日8時間歩いたとして80km。大体東京から小田原あたりまでらしい。小田原と言えばかまぼこ。うどんに入れても上手い。丸ごとかぶりついてもいい。刺身風にしても、フライにしてもいい。料理の仕方はクック○ット様にお任せである。やばい、本当に腹が減った。小田原という単語だけで、クック○ット様まで思い出してしまった。もはや末期だ。獲物、獲物…。あっフィーネの顔がひいている。
「フィーネ、今の俺は野獣だ。たーべちゃうぞー」
「きゃー、たーすーけーてー。あれー」
おっ、珍しい。乗ってくれた。フィーネはあれーのくだりでくるくる回り始める。うん、帯を回すあれだな。でも実際に帯もないから、サービスカットも無しだ、ちっ。
「うん、乗ってくれたのに悪いが、真剣に腹が減った。魔物を食べるせんは諦めて、果物なり魚なり、実際に手に入るもの路線に切り替えよう。でないと俺は餓死する」
「うーん、しょうがないなー。ねえこの辺に川か湖ない?喉も乾いたし」
フッフッフッ、任せろ。昨日までの俺とは一味違うぜ、マップオープン。すると俺の目の前にジオラマ型地図が展開される。さて俺は今どこだ?いたっ、小さい三角発見。それと水場、水場。縮尺が大きすぎるのか、正直、どこにあるか分からん。でっかい川は王都の近くに流れていたりするが。まだ距離があるぞ?多分。
「ユウトあんたもしかして、一番大きい縮尺で地図みてない?おかしいと思ったのよ。一番近いのが王都って」
「何、このジオラマ、拡大できるのか?」
「できるわよ。拡大って念じれば、縮尺が小さくなるから。言ってなかったかしら?」
何?どうりで俺が塵芥な状況だと思った。さすがにこれでは日本地図で近所のラーメン屋を探すようなものだ。のってるわけがない。そして俺は自分の近辺を見て拡大と念じる。ビヨーンッ。おお拡大した。Goog○eマップみたいに一気に縮尺が変わる。縮小。ビヨーンッ。おお、元に戻った。拡大、ビヨーンッ。おお、さすがにこのサイズだと俺の姿もはっきりする。やはり、ポロシャツ、ジーパンは貧相だ。でも精巧にできてるな。あっ寝癖がある。ええっ、嘘?そんなとこまで再現してるの?俺は頭の寝癖部分を触ってみると、確かにそこには寝癖がある。すっげー、これあれば、鏡いらずじゃん。
ガツンッ
俺はフィーネに渾身のかかと落としを食らう。痛さは強い奴のデコピンくらいの痛さだ。
「ユウト、また脱線してる?してるよね。あんまり脱線ばかりしていると、お姉さん、怒るわよ」
もう既に怒っていらっしゃるフィーネ姐さん。だって楽しいんだよ。これ。ビヨーンッてしたら、ビヨーンッてなるんだよ?わかる?分からないだろうな。
キッ
フィーネの視線が俺を殺す。うん、水場、水場は何処かな?おっ、ここからそれほど遠くなさそうなところに湖発見。
「隊長、前方左手に湖を発見いたしました」
ユウト二等兵は上官に対し、直立不動で報告を上げる。
「やらないわよ。じゃあ、そこに行きましょ。取りあえず水は飲めるわ」
「イエッサー、イエス、マム」
「だから、やらないわよ。ユウト二等兵走れっ」
「イエッサー」
結局はやってくれる。フィーネいい奴だな。俺は湖に向け、ブートキャ○プよろしく、掛け声をあげながら走り抜けた。
湖に着くと、俺はあるものに気付く。
「隊長、前方に敵影を発見いたしました」
「もういいわよ、このテンション疲れるのよ」
確かに、ここまでの道のりで全速力をした俺も息が上がっている。すきっ腹に猛ダッシュ。あっ脇腹が痛い。
「それで、あの魔物はなんて奴だ?」
フィーネは前方を目を凝らして、よく見る。
「あら、あれって御所望のビックボアよ。焼いて食べるとおいしいのよ」
キランッ
俺はすかさず部分界○拳を足に振り、脚部を強化する。ちなみに右足、左足、片方ずつなので、20の魔力は消費される。全身の界○拳じゃないからいいよね、いいという事にしておこう。そして、敵に向ってもうダッシュ。俺はこう見えて、50Mを6秒フラットで走る。ちなみに100Mだと13秒台前半まで落ちる。なんか走っていると後半、走りがバラバラになっちゃうんだよねー。スタミナかな?でも1500Mだと5分前半だったりするから、スタミナじゃない気がするんだよね。なんだろ。
そんなことを考えていると大分イノシシもどきに近づいてくる。奴はまだこっちに気付いていない。貰った、トウッ、ジャンプ一番、脚力強化で俺の体は結構な高さまでジャンプする。よし、イメージ通り。
「ライ○ーキィックッ」
俺のライ○―キックがイノシシもどきの首筋にガッツリ決まる。ゴリッ、よし、骨まで持っていった。イノシシもどきはそのまま木の根まで吹き飛ばされると、その木に血糊を付けて、口から血を吐き絶命する。ふうっ、また無益な殺生をしてしまったか。憐れイノシシもどき、お前の事は忘れない。っていう事で、お肉、お肉、お・に・くー!
「ユウト、あなた今界○拳を使ったでしょー。最後のジャンプ、普通の人間には無理よ」
「すまん、ショッ○ーに捕まった時に改造させられたんだ。俺は悲しき人造人間」
「また問題になりそうな事を。それより、魔力は大丈夫なの?次襲われたら使えないんでしょ?」
「ん?ああそれなら大丈夫だ。なんてったって、部分界○拳だからな」
「また変なものぶっこんで来たわね。なにその部分界○拳って」
「ん?足だけ身体強化しただけなんだが。難しいか?」
「この世界の身体強化は全体の身体強化しかないのだけど。あなたは部分だけ強化できるという事?」
「おう、デフォルトでできるようになっていた」
「あのバカ女神。そんな便利強化、勝手に作っちゃって。まあいいか。取りあえず、界○拳は出し惜しみしなさいよ。まだ敵がいるかもしれないんだから」
「それより、火をくれ。はらへった。早く焼こう」
「魔石を取ってからでしょ。それと薪も用意しなさい。燃やすものが無いと、燃えないわ」
「イエッサー。イエス、マム」
「ああ、まだそれ続けるのね。私、水飲んでくる」
フィーネがふらふらと跳びながら、湖に向う。うーん、放置プレイは寂しい。俺は最敬礼の姿勢を説くと、自作のお肉ソングを歌いながら、魔石取りと薪集めに精を出した。
お肉、お肉、お肉をたべーるとー、んっ、これ自作じゃなく替え歌か?