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第1話 やはりナビは必要です

とりあえず、ナビは定番の妖精さんです。

『ねえねえ、その界○拳ってなにー?まっいっか。じゃあ彼女達をよろしくねー』


こらっ、あんまり大きい声で言うんじゃありません。んっ、お前なんか声が遠くないか?

あれ、ええっ目を開けると俺は、うどん片手に草原で立っていた。うそっ、もう異世界?前情報なくない?ていうかここ何処?


俺は一応360度、ぐるりと周囲を見渡す。うーん、原っぱ。道っぽいところもない。ぐーっ。腹が鳴る。取りあえずその場に座り、うどんを啜る。伸びてるな。既にたっぷり汁を吸ったうどんを食べきり、情報を整理する。


1.ここは異世界です

2. 7人の美女を見つける必要があります

3. 美女を見つけたら前世の名前を知る必要があります

4. 美女達は前世で俺に惚れています

5. でも美女からは俺にアプローチしてきません

6. 確実に会えるのは1度きりです。会ったその日の夜に四角が点滅します

7. 言葉は通じます

8. 界○拳が使えます


情報少なくね。そもそも俺、どうやって生きてくの?そして今の装備を確認する。


右手:箸

左手:どんぶり

服:ポロシャツ

ズボン:ジーパン

靴:スニーカー


ええっ、装備が箸にどんぶりって何?ファンタジーなら剣とか盾とかじゃない?それにポロシャツって。そう言えばここ寒いの?暖かいの?寒けりゃ今日でグッバイ人生じゃね?


そうだ、何かヒントだ。ヒントになるものが無いか。あるだろう、取扱説明書的なやつが。俺は頭を固定し、右上の四角?のところを見る。んっ、四角?の隣にメニューがあるじゃないか。俺はそこを見ながら、手を動かして触ろうとする。触れない。なんだ、どうやったら開くんだ。あっ開いた。そうか、開けと思えばいいんだ。わかりずらい。メニューを開くといくつかサムネイルが見える。『ガイド』。おお、あるじゃないか、必要そうな奴。さすがに何もなしにほっぽり出さんか。女神、許せ。残念微乳とか言って。そして俺は『ガイド』を見つめ開けと念じる。


ポンッ


あれ?開かん。なんだ、どうした。


ツンツンッ


うるさい、今取り込み中だ。後にしろ。えい、開け、この。


ツンツンツンッ


だーっしつこい。今構ってられないんだ。後にしろ。これが開かなきゃ死活もんだ…ん?


俺は画面から目線を通常状態に戻すと、そこには可愛らしい妖精さんが飛んでいました。きゃーかわいい。ってなんでやねん。


「なんだ、妖精。何か用か?」


「むー。自分で出しておいて何か用かは失礼じゃないかな。嫌、失礼に違いない」


「フム、俺がお前を出したと?何の事だ」


むくれた妖精は俺の前をぶんぶん飛ぶと、ああっと合点が言ったのか、目の前でピタッと止まり踏ん反り返る。おっ、チビの割に出るところが出てる。残念微乳には勝ったな。


「あなた恋の女神から何にも聞いてないんでしょう?あの子少しおつむが足りないからね」


「おっ、あの残念微乳を知っているのか?確かに何だか分からない内に異世界に飛ばされてきたが」


「残念微乳って…。あの子胸が無いの気にしてるのよ。女神なんだから美人でかわいいのに、あらっ、確かに残念ね」


妖精はそう言って、笑いだす。お前も大概ひどいな。まあ事実だが。


「フフフッ、あんまり笑わせないでよね。でも事情は大体察したわ。私はナビピクシー?ピクシーナビ?…まあどっちでもいいわ、それのフィーネよ。よろしくね」


「ん、という事はお前が、ガイド役ってわけか?」


「ちょっと、お前じゃなくてフィーネ。ちゃんと名前で呼んでよね。これから長い付き合いになるんだから」


「ああ、悪い。さっきまで残念微乳と話をしていて、普通の会話の感覚を忘れていた。俺の名前は笹村優斗だ。よろしく頼む、フィーネ」


「あらちゃんとできるじゃない。ええよろしく。ユウト。それであなた、どこまで話を理解しているの?」


「まあ、ざっとこんな感じだ」


1. ここは異世界です

2. 7人の美女を見つける必要があります

3. 美女を見つけたら前世の名前を知る必要があります

4. 美女達は前世で俺に惚れています

5. でも美女からは俺にアプローチしてきません

6. 確実に会えるのは1度きりです。会ったその日の夜に四角が点滅します

7. 言葉は通じます

8. 界○拳が使えます


「少な、情報少なっ。それになにその界○拳って」


「それは男のロマンだ。最終的には金髪になって、髪の毛が逆立つまである」


「それ駄目な奴でしょう。大ぴらにしちゃ。はぁ。いいわ。取りあえず町に行きましょ。マップ見れるでしょ?」


んんっ?マップだと?そんなもの手持ちの荷物にはなかったが。明らかに疑問系の顔をしていたのだろう、フィーネが溜息をついて説明してくれる。いや、そんなにあからさまに溜息をつかんでも。


「さっき私を出した時に、メニューを開いたでしょ。その中にマップがあるからそれを開けと念じれば、展開されるわ」


そう言えば、メニューの中身を全然、チェックしてなかった。すまん、すまん。俺はまた頭を固定し目線だけを右上に向ける。考えてみれば、今のこの姿、かなり間抜けじゃね。これで口まで空けていたらかなり痛い人である。うん、口は閉じよう。


メニューの中には確かにマップがある。その他にはステータス、???、ガイド。また?がある。多すぎ?マーク。???は開けと念じても何も展開されない。まあ予想通り。次はステータスっと。自分がどんなスペックなのかわたし気になります。他に特殊能力とかはないかしら。


「ちょっと、ちょっと。今明らかに脱線してるでしょ。マップ開きなさいよ、マップ」


「違うもん、今、開こうと思っていたんだもん」


あえて小学生じみた言い訳を繰り出してみる。あっ、フィーネの目が据わってる。うん、マップを開こう。


マップは開かれると俺の目の前に立体型の平面図が展開される。おお、ジオラマみてー。すげー。んっ右奥済みにミニチュア竜が飛んでいる。かっけ―。めっちゃリアル。あっ結構高低差あるな。あの山高くね。上の方が白くなっているし。ん、俺は何処だ。あっいたいた。ちっちぇー。小さいよ、ごみ虫だよ。頭の上に三角のカーソルついてなきゃ、分からんよ。でも見た目、超リアル。俺ってあんな風に見えるのか。ポロシャツ、ジーパン姿、微妙だな。早く服を何とかしなきゃな。


「おーい、なんかすごくお楽しみのところ申し訳ないんだけど、町みつけた?町?」


あっ忘れてた。それもこれもこのジオラマが精巧すぎるのが悪い。こんな男のロマンを見せられたら、わくわくしない男の子はいない。俺は、その魅力にひきこまれない内に自分の居場所と町の位置を確認する。おお、シンデ○ラ城じゃん。その城の周りには建物が広がっている。城は日本的じゃないな。どうせならこのジオラマで姫路城を見たかった。んっでも姫路城に竜じゃ、違和感半端ないな。まあ、シンデ○ラ城でいいか。


「あった、あった。シンデ○ラ城があったぞ。さすがにネズミの人形はおいてないが」


「げぇっ、いきなり王都か。っていうかそのシンデ○ラ城も止めなさい。粛清されるわよ」


「王都っていう事は王様がいるのか?なんか中世みたいだな」


「ファンタジーって言ったら中世モデルが基本でしょ。ちなみに人種も多彩だし、魔法だってあるんだから、ってユウト魔法は使えんの?」


「ああ、界○拳に全振りだ。今のところそれ以外は使えない」


「だからその界○拳って何?」


「んっ?ああ、身体強化魔法の略だ。気にするな」


「一ミリも言葉かぶってないじゃない。そう、まあ無難なとこね。ちなみにユウト、体力に自信はあるの?」


「フフフッ。俺はこう見えて帰宅部だ。ああ、ただ細マッチョ指令が出ていたので、それなりに鍛えてはいる。一応道場にも通っていたしな」


「何その謎の指令。まあいいわ、ツッコむと長くなりそう。ちなみに道場て何の道場?」


「古武術だ。基本殺す為の技だ。ちなみにまだ殺した事は無いぞ。俺は博愛主義者だ」


「くっ、スルーよ。ここは全スルー。ツッコんだら負けよ。それより城はここから遠いの?」


「いや。縮尺が無いから全く分からん。方角は多分あっちだな。暫く歩けば、合っているかどうかがわかる」


「まぁすぐには着かないか。じゃあ取り合えず、それまでに色々教えながら、王都へ向かいましょうか?」


「ああ、そうしてくれると助かる。何より、俺は腹が減っている。伸びたうどんだけでは生きていけないからな」


「異世界でうどんを食べてる人初めて見たわ。今回の私は、いかにツッコみを減らせるかが焦点ね。」


「まて、俺はボケもするが、ツッコみも得意な万能型だぞ。時にはボケてくれないと困る」


「ナビピクシーに何を求めているんだか…」


フィーネは、ため息をつくと、どっと疲れるのを感じるのだった。


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元々連載している作品です。こちらは真面目にファンタジー。 亡国の公子と金と銀の姫君
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