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プロローグ

思わず書いていて、脱線しまくる。今書いているもう一つの作品とのギャップが…

「パンパカパ~ン、おめでとうございます」


俺は左手にキツネうどんを持ち、右手の箸でうどんを掬っているところで、変な奴が目の前で手を叩いているのに気付く。あれ、ここ大学の学食じゃなくね。さっきまであった机がなく、椅子とうどんを残して、変な空間にいる。周りは全体的に淡く光って、怪しい雰囲気だ。


「あのーすいません。聞いてます」


目の前の変な奴が話かけてくる。おっ、よく見ると美人だ。なんか見えそうで見えない感じの薄い布を身にまとっている。何のコスプレだ?あっでも残念、胸が無い。腰からおしりのラインは見事だが、目線を上に持っていくと残念くらい平である。もしかして男か?新手のニューハーフパブかなんかか?あっ目が合った。彼女(彼?)は何だか涙目で顔をプルプルさせている。


「なんか、すっごく、すっごく失礼な事を考えていませんか。私は女神、女子、おんなの子ですっ」


フム、どうやら女子らしい。確かにニューハーフとは失礼な事を考えた。反省、反省。まあとはいえ、胸が残念なのは、反省しようがないが。せめて美乳であればよかったが、あれでは微乳すらあやうい。俺はおっぱい星人ではないが、さすがにあれでは厳しい。再び目が合う。あっ、涙が流れてる。


「本当にひどい。私だって、好きでこんな胸に生まれてきたわけじゃないのに。微乳すら危ういって、微乳くらいならあるんだから。何なら脱いで見せてあげようかしら」


「それは是非頼む」


俺はここにきて初めて声を発する。アレ、そう言えば声に出してないのに、思っている事、理解してたな。へんなの。


「この後に及んで初めてしゃべる言葉がそれですかっ。何かもうモチベーションが下がっちゃった」


そう言って体育座りでいじいじし出す。めんどくさい。


「なあ、結局何がしたいんだ。美人のお姉さん」


「ふーんだ」


なんか拗ねていらっしゃる。しかも自分でふーんって。


「残念だな。こんなに美人でかわいい女性と折角話す機会があるって言うのに」


チラッ、チラッ


「こんな綺麗で素敵な女性が話かけてくれたら、それだけで幸せなんだけどな」


「フフフッそこまで言うなら、話てあげないでもありません」


そう言って、彼女は胸を張って、踏ん反りかえる。うん、微乳決定だな。


「もーうっ、胸の話は無しです」


流石に話が進まない。胸の事は心の片隅に置いておいて、


「片隅に置かないでくださいっ」


「で、この状況はどういう事なんだ。俺は学食でうどんを喰っていたはずなんだが」


彼女は肩で息をしながら、俺を睨みつける。


「いきなり話を戻しましたね。この私を散々、傷つけておいて」


「待て待て、美人でかわいいお姉さんという評価は間違いない本心だぞ。素直に話せてうれしいし」


すると彼女は少しだけ頬を赤く染めると、ぶつぶつ言う。


「またそう言う事を平然と真顔で言うなんて、この女たらしが」


「んっなんだって?」


「いーえ、なんでもありません。それより状況のご説明ですね。まず私の自己紹介から始めます。私は恋の女神システィーナです。よろしくお願いします」


そう言って、半ギレになりながら彼女ことシスティーナは自己紹介する。彼女は何切れてんだ?


「この度はあなた、笹村優斗さんがめでたく異世界転移者として選ばれました。イエーイ、パフパフッ」


「おい待て。何の話だ。俺は学食でうどんを喰ってたんだぞ。何が悲しくて異世界に行ってうどんを食べなきゃいけないんだ」


「いや、うどんはこの際、どうでもいいんですが」


ん?確かにうどんはここで食べきってしまえば、あえて異世界で食べなくてもいいか。ん?なんだ異世界って。


「ようやくうどんから離れていただけましたか。笹村優斗さん、あなたにはこれから今まで住んでいた世界から、別の世界に転移していただきます。イエーイ、パフパフッ」


「ええいっ、その効果音やめろ。別に異世界なんて行きたくない。拒否する」


何が悲しくて異世界なんぞ、行かなきゃいけないんだ。今の世界でも十分幸せだ。うどんもあるし。


「あれーっ、この特典を聞いてもそんな事言っちゃいますか?それに元の世界に帰れないわけでもないんですよー」


「特典?なんだその特典って」


「フフフッ、知りたいですかー?知りたいですよねー。どうしようかなー。教えちゃおうかなー」


なんかムカつく。別に知らなきゃ知らないで惜しい気もわかないし。


「ならいい。元の世界に帰る」


「まってー。嘘です。嘘。教えます。バンバン教えちゃいます」


システィーナは両手を合わせて、拝み倒してくる。ふん、最初からそうすりぁいいのに。


「で、特典って」


「今から行く異世界には笹村優斗さんと同じ世界の記憶を持つ転生者の女性が7名います。笹村さんにはその世界で彼女達を見つけていただき、最終的にその中の1人を元の世界に戻してあげる事が出来ます。そして2人は元の世界で幸せに暮らしていける事を保証します」


「フムフム、残りの6人は異世界に残ったままでいいのか?」


「それは大丈夫です。彼女達は転生者なので、記憶が合ってもその世界の住人ですから。そっちはそっちで幸せに暮らせます」


「なら、その選ばれた一人も異世界のままの方がいいんじゃないか?」


「そこもご安心を。その7名は前世の記憶で笹村さんに恋心を抱いています。人によって程度の違いはありますが、笹村さんがその方に気付く事ができれば、喜んでついて行きますよ」


なるほど、なるほど。ここまでは余りリスクはなさそうだ。前世で俺に惚れていたという情報は眉唾だが。そもそもそんな女の子が身の回りにいたら、今、俺は彼女なしではないはずだ。


「そこもご安心を。皆さん、前世でキチンと笹村さんに惚れてますよ。笹村さんが鈍感なのか、相手がシャイなのか、タイミングのいたずらかはわかりませんが」


「ええい、いちいち人の心を読むな。ちなみにその7名というのはかわいいのか?」


システィーナはそこですごく嫌な顔をして、汚物を見るような目で言う。


「これだから男は。ちなみに7名とも前世も現世もすごくかわいいですよ。ホント、笹村さんには勿体ないです」


「まじか、ちなみに胸は?まさか美人だけど残念微乳とか言わないよな?」


「誰が、残念微乳ですかっ。全員が全員、推定B以上は確定です。くっ、憎らしい。おや、一人は推定Fカップの方がいらっしゃいますね、ちっ、妬ましい」


おいおい、心の声ダダ漏れだな。ただB以上であれば、美乳以上確定だな。あ、俺はおっぱい星人ではないぞ。Fと聞いてもにやけたりしないからな。


「何ニタニタしてるんですか。最低。それに微乳だって、美乳だって響きは一緒なんだから」


「わずかな乳と美しい乳、明らかに違うだろう。で、その7人は全員見つけないと駄目なのか?」


「はい、私は恋の女神なので、機会は均等にがモットーです。その後は当人達の努力次第」


う~ん、7人の俺を好きだったという女性には会いたいが、7人探せはめんどくさいな。なら元の世界で新たな出会いを求めるのもいいかもしれない。


「ざんねーん。ここで断ったら、未来永劫いい人とは出会いません。ていうか、私が会わせません」


「ふざけるな、この残念微乳っ。最初から選択肢がねーじゃねーか」


「だから誰が残念微乳ですかっ。そもそも私は女性の味方です。男子の笹村さんにはあまり興味がありません。女の子達が求めるからこんな機会を作ったんです」


おいおい、興味がないとまで言い切ったよ。この残念微乳。まぁしかし仕方がない。選択肢がない以上、7人見つけてさっさと元の世界に帰るしかない。Bカップ以上のかわいい子揃いだ。これまで19年生きてきた中で、そんな女子に会った記憶はないが、異世界でもかわいいと言うし、期待するしかない。


「そうそう、最初からそう思えばいいんですよ。微乳がどうとか、うどんがどうとか考えているから、話がこんがらがるんです」


「ちなみにその7人は会えばわかるのか?」


「会っただけでは多分分からないと思います。だって転生しているんですから」


「は?」


「それと1回は必ず会えますが、2回目以降は笹村さんの努力次第です」


「はぁあ??」


「ちなみに覚えている女性側からの笹村さんへのアプローチも厳禁です」


「ふはぁああ???」


何を言っているんだ、この残念微乳。確実に会えるのは一度だけ。会っても分からない。向こうからもアプローチが無い。おい待て、見つけようがないじゃないか。こんなの無理ゲーだ。


「大丈夫、大丈夫。そんな笹村さんの為にちゃんとヒントをご用意してます。これは重要ですから、ちゃんと聞いて下さいね」


当たり前だ。ノーヒントだったら、見つけられる自信は一ミリもない。


「頭を正面にして、目線だけ右上を見てください」


んんっ、なんか?が一杯並んでる。四角の中に?とその上に?が並んでる。四角の数は全部で7個か?


「そうそう、四角の中の?が名前がわかれば、前世の名前が入ります。上が異世界での名前が入ります。初めて会った日の夜に、該当者の四角が点滅しますので、その日あった人に話しかけて、見つけて下さい。私、やっさしー」


「一つ質問していいか」


「はい、どうぞ、どうぞ」


「会うの定義を教えてくれ」


「会うは会うですよ。すれ違っても、見かけるでも1回は1回です。そんなの当たり前じゃないですか」


俺はついに堪えきれず、その頭を力一杯はたく。


パコーンッ


おっ、良い音するな。やっぱり軽い音だ。うん予想通り。


「いたーいっ。誰が頭の軽い女ですか」


「お前だ、お前。この残念微乳、脳軽女が。ヒント弱すぎるわっ。異世界にどんだけ人がいるかは知らんが、せめて会話した人限定にしろ。やってられんわ」


「えーっ。大分譲歩したのにー。恋をしている女性とすれ違ったらぴんとくるでしょ、ぴんと」


「そんなんでぴんと来てたら彼女の一人や二人いるわっ。19年間彼女なしをなめるな」


「えー女友達多いくせに。その中に笹村さん好きな子もいるんだよー」


「そこんとこ、詳しくお願いします。かわいい?Bカップ以上?」


「絶対に教えない。ホント最低。なんでこんな男がいいのかしら」


「ちっ、なんか知らんがお前だってさっきは顔を赤くしてたくせに」


「ち、違いますー。そんなんじゃないですー。ちょっとドキッとなんてしてないですー」


「ドキッとしてたんじゃないか。語るに落ちたな。ならもっとドキドキさせてやる」


半ばやけくそになった俺は、システィ―ナの頬に手をあてて顔を近づける。あーちなみにこういう事をするのに、一切のテレは無い。まあ相手は美人だしね。役得、役得。するとシスティーナは顔を真っ赤にさせて、後ろに後ずさる。おっ早っ。


「全然ドキドキなんてしてませんから。ええ、してませんから。それより他に質問はありませんか?ないならとっとと、異世界に行ってください」


俺は、再びシスティーナに近づいて今度はその腰を抱きよせる。細っ、でもやわらかい。そしてあえて耳元で質問する。


「会うの定義、会話をするでいいな、システィーナ」


ゾクゾクゾクッ


システィーナは先ほどよりも更に早く、後方に後ずさる。ん、音速を超えたか。


「だっだから、近寄ってささやきかけないでください。それでいいです。それでいいですからー」


うん、からかい過ぎたか。システィーナはもはや茹でダコ状態だ。うん、かわいいな。


「このSっ子、Sっ子め、もう他には無いですね」


「あっ待った、待った。そもそもその異世界ってどんなとこだ。行き先情報ないと不安なんだが」


システィーナは明らかに警戒態勢を敷きながら、おそるおそる話出す。


「さっ笹村さんに行っていただくのは、一般的にファンタジーと言われる世界です。魔王がいて、魔物がいて、魔法が使えてといった奴です。ちなみに人種も人間以外に、獣人やエルフやドワーフといった亜人、魔族なんかもいます。魔物とかは普通に戦ったら死んじゃいますから、気を付けて下さいね」


こえーよ、異世界。何、魔王って。しかも魔物ってそんなに強いの?すぐ死んじゃうの?


「はい、ゴブリン程度でも普通の人なら死んじゃいます。よく村とか襲われているみたいですよ」


軽い、軽いよ人の生き死に。てゆーか、7人と会うまでに俺死んじゃわない?


「でも安心してください。そんな笹村さんにこの恋の女神様が加護を授けちゃいます。どう、惚れました?惚れちゃいました?」


正直、またイラッとするが、無視だ、無視。生死にかかわる。


「チートか、チートをくれるのか?」


「チートってなんですか?チーカマの一種ですか。私チーカマは好きですよ」


うっ、思わず右手が拳を握る。我慢だ、我慢だ。


「いや、チーカマはどうでもいい。具体的にはどんな加護があるんだ」


「一つは決まっています。異世界に行くので、言語変換能力です。言葉が分からないと困りますから」


ふーっ、普通だ。嫌、むしろ当然だ。それがなければ、話にならない。会話から始めたら、爺さんになるまで、7人は見つからない。


「一つはという事はまだあるのか?」


「はい、もう一つは好きな魔法を一つ覚えられます。以上です」


プチンッ


ああ、俺は我慢したよ。耐えた、耐え忍んだよ。でももう駄目だ。


そして俺は、握った右手拳を振り上げて、思いっきり右手を振り下ろす。


パカーンッ


やっぱりいい音だ。中身の詰まっていない、響き渡る音。心が休まる。


「ひっひどいですー。何するんですかー」


「黙れ、この残念。もはやお前は残念で十分だ。なんだそのショボイ加護は。俺に異世界で死ねと言っているのか」


「だってー、言語変換能力って大変なんですよ。勝手に言葉が変換されちゃうんですから。ニュアンスも今の言葉そのまま。それに能力割り振ったら、他がしょぼくなるのはしょうがないじゃないですかー」


頭を押さえながらシスティーナは文句を言う。うるさい、お前のスペックが足らないからこんな事になるんだ。


「なら、覚える魔法はなんでもいいんだな。なんでもできるんだな」


「なんでもできるけど、魔力が足らなくてできない事もあるから気を付けてね」


「ちなみに魔力の初期設定は?」


「ピューピュー」


拭けない口笛を言いながら、システィーナはとぼける。


「システィーナ、怒らないから言ってみなさい」


「ほっ本当に怒らない?絶対、絶対?」


「ああ、絶対に怒らない、怒らないから言ってみなさい」


「えへっ、普通の人の2倍くらい。ちなみにそれでも魔法師とかに比べると、10分の1くらいなんだけど」


再び俺の右拳が唸りを上げる。


ポカーンッ


やはりいい音だ。言うなればスイカを叩いた音に近い。ああ、これはかなり甘いスイカだな。


「嘘つきー。やっぱり怒ったじゃないー」


「いいや、怒ってない。これはお仕置きだ。駄目な残念微乳の女神に対するお仕置き。1つ聞く。魔力は初期設定から増えないのか?」


「使い切ったら、次の日には増えてるけど。でも使い切ったら、気絶しちゃうよ」


うん、決まりだな。これ以外の選択肢は考えられない。7つの玉を集める例の奴が使うあれだ。これがあれば、最終、どうにか生きていけるだろう。


「身体強化魔法を覚える。ちなみに使える魔力によって強度が変わり、上限なし設定で頼む」


例のアイツも死にそうにならないと強くならなかったからな。そう言った意味じゃ気絶も同じようなもんだ。


「ねえねえ、7つの玉を集めるとか、例のアイツとかって何?死にそうになると強くなるってなんなの?」


「うるさい、黙れ。色々と大人の事情があるんだ。それ以上は言えん。それでできるのか?できないのか?」


「ちょっとオリジナルっぽいけど。何とかなるかな。OK、じゃあそれでいこう」


こうして長いチュートリアル?が終わり、俺は異世界へと旅立つ事となる。7つの玉を集め…、もとい、7人の転生者を探しに、異世界に足を踏み入れる事となる。うん、界○拳何倍までいけるかな。楽しみだ。



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元々連載している作品です。こちらは真面目にファンタジー。 亡国の公子と金と銀の姫君
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