仮想通貨が分からない2
基本的に前話の続きです。
老人っぽい口調は面倒だし、読みにくいのでやめました。
最近、仮想通貨について、ネットサーフィンしていたら、あるサイトで奇妙な説明を読みました。
それは、通貨の価値は需要と供給で決まるというものです。そして、仮想通貨の価値も需要と供給によって決まっているというのです。
確かに、円相場などは投機によって為替が動くことも無くはないですが、ある根本的な視点が抜けています。
それは、一言でいえば、
「通貨の需要とは何か?」
という事です。
少し回り道になりますが、米ドルを中心にお話します。
日本や中国を始め、多くの国が外貨準備金として、米国債を保有しています。何故、米国債を保有しているのかというと、米国債は償還されると米ドルになるため、米ドルを保有することになるからです。
外貨準備金は、為替変動に対する備えであり、自国の通貨が暴落した時の備えとなります。
例えば、円安が過剰に進んだとき、米国債を米ドルに換え、米ドルで円を買うことで円高に誘導することができます。
これは所謂、為替介入であり、一般的には他国から敬遠されかねない最後の手段です。ついでに、日本は円高で苦しんでいるので、米国債を米ドルに償還することはまずありえません。
ここで重要なのは、何故、米ドルなのか? ということです。
それは、アメリカが世界一の経済大国であり、自国の通貨が暴落したとしても、米ドルが暴落する事はないと考えられているからです。
もし、自国の通貨が暴落しているとき、保有している外貨準備金の通貨も暴落していたら為替介入は効果がありません。
その点、米ドルなら効果的な為替介入が期待でき、外貨準備金として大量の米国債を保有している国の通貨は、安全な通貨と考えられます。例えば、大量の米国債を保有する日本の円は安全通貨とされています。
(なお、先進国は主に通貨高に悩まされるため、日本の保有する米国債の量は一般的ではありません)
ここで、少し話を戻して、通貨の需要という観点から見てみます。
各国は、何故、外貨準備金として米ドルを選ぶのでしょうか?
それは、アメリカは世界一の経済大国だから、米ドルは安全だという信頼があるからです。
すなわち、各国は、米ドルに化体したアメリカの信用を必要としているのです。
さて、そうなると、仮想通貨の需要とは何なのでしょう?
私の知る限り、破綻が疑われているテザーという仮想通貨を除き、米ドルなどの通貨を保証とした仮想通貨はありません。
国などの信用の化体していない仮想通貨の需要が何なのか、私には理解できないのです。
ついでに、仮想通貨は、流通していることで通貨として信用されるようになるという奇妙な説明も見かけました。
紙幣ができたとき、紙切れに何の価値があるのかと言われたが、今では紙幣が流通し、信用されるようになっている。だから、仮想通貨も流通していけば通貨として信用されるようになるだろうというのです。
これは奇妙な説です。そもそも、紙幣が信用されているのは、流通しているからでしょうか?
実際には、流通していた紙幣が信用されなくなったという事例があります。
それは、金本位体制の崩壊です。
以前に、本位通貨と現在の通貨の説明をしました。
しかし、本位通貨と現在の通貨の間には、金本位体制の崩壊という流れがありました。
この話自体は学校で習っていることなので、さらっと話します。
金本位体制とは、紙幣などができたばかりの頃に成立した、通貨の価値の保証として、通貨と国の保有する金(お金ではなく、Auの方)を交換できることとした通貨体制です。
しかし、この金本位体制は、ある時、成り立たたなくなってしまいました。
詳しい経緯は省きますが、日本から大量の金が流出して、通貨と交換するための金が足りなくなってしまったのです。
その結果、日本の経済が大混乱になり、この問題の解決策として、通貨の価値を金などの具体的な物ではなく、国の信用により保証するという、今の通貨ができました。
もし、通貨の信用が流通することで培われるというのであれば、例え金が足りなくなっても、通貨の価値は損なわれない筈です。
しかしながら、金本位体制の崩壊は、日本の経済は大混乱になりました。
したがって、仮想通貨が流通したとしても、それをもって信用が化体するとは思えません。
長々と書いてしまいましたが、私の言いたいことはたった一つです。
やっぱり、私には仮想通貨の価値とは何なのか、よく分かりませんm(_ _)m