24話 その後
~綾side~
そんなこんなで3年の月日がたった。ダイアル港を占領したことでDASからの和平交渉がなされ、最終的にFRDのダイアル港獲得によって戦争は終わった。吹雪は結局見つからず、国際連合も今回のFRD=DAS戦争で行方不明者捜索に協力した。しかし今回の死者・行方不明者はFRD・DAS共に合わせて1万人強と恐ろしい被害をもたらした。これは、ダイアル港が世界的にも非常に大きな軍港だったことと、パナマ運河沖でのリオ・デ・ジャネイロなどの両軍の損傷・撃沈艦の死傷者や行方不明者も含む数であるため、さらに多さに拍車をかけている。このあっさりとした幕引きは裏の取り引きが上手く行ったのではないかと取りざたされたが、何故か急速にさわがれなくなった。
大和の改装も無事先日終わり、今は武蔵の改装に取り掛かっている。さらに紀伊・尾張も両艦共に竣工し、大和と武蔵の乗員も駆り出され新人乗員の慣熟に取り組んでいる。
私は看護学校に2年間通い去年無事卒業。病院船氷川丸に一年配属され、一昨日に大和に人事部から配属命令がでた。
そろそろ、私も認めなければならないだろうか?吹雪は死んだ。信じたくはないのだ。しかし、3年という歳月は私の心を揺るがせるには充分な時間だった。
吹雪....会いたいよぉ
〜隼side〜
吹雪がいなくなってから大体3年がたった。俺は大和配属から陸軍の通常勤務へと戻り、イギリスのドーバー海峡の守護任務に当たり、毎日訓練に励んでいる。現在、DASとPIFが戦争状態へ陥っており、新陸貞である、百式司令部偵察機が上空からの強行偵察と共に戦況を伝えてくれる。・・・おいおい、こりゃあ塹壕じゃないのか?また古風な戦い方をするものだ。第一次世界大戦の再現でもするつもりか?全く、なんでそう過ちを繰り返したがるんだ。緂は、未だ大和に入っているというし、涼太は幕僚となったらしい。吹雪がいればどうなっていたのだろうか・・・気が滅入る思考はやめよう。気持ちを切り替えて生きるべきだ。
~???・???side~
「はあ、あなたは僕の兄なんですね?」
青年は鳶色の髪をした二回りぐらい背の高い青年と話しながら廊下を移動している。兄(?)の話によると、ここは共産主義?の国で兄の名前は氷らしい。・・・俺の名前は雪らしい。
「そそ、むしろお前が生きていたことにびっくりだがな」
「?」
「いや、なんでもない・・・っと、ここだここだ、ここが新しいお前の部屋だ」
急に兄さんが立ち止まる。そこにあったのは…ドアだった。違うそうじゃない。表現方法を間違えたが、ドアを開けるとそこには2人の少女が座っていた。
「なにこれ僕犯罪者になりたくない」
「何言ってんだお前は…」
思わずつぶやいたセリフに兄さんが苦笑する。少女の見た目は一人は小~中学生にしか見えず、もう一人は、中学2~3年生にしか見えない。
「お前も同年代なんだから別にかまわんだろう?」
「ちがう、そうじゃない」
テンプレのセリフをつぶやいた後、少女たちと少年の視線が交差する。しかし、紛れもなく美しい少女達だと今更ながら思う。姉?の方は白いロングの髪に紅い目。そして人形のような白い肌。・・・俺と似てるな。妹は逆に蒼い髪に黒い目と・・・てガン見されてるんですけど!?無言怖いからやめて!?
「「私たちは別に構わない(わ)」」
「まじすか勘弁してください」
そうつぶやいた瞬間に後ろからの衝撃とともに視界が一瞬反転し、また戻った。しかし、そこはもうすでに部屋の中だった。
「さっさと入れ愚弟」
そこには、足を上げ、靴の裏を見せながら笑い、さらに追い打ちに暴言を吐いていく兄の姿があった。しかも最初から最後まで満面の笑みで。
・・・つまり蹴り入れられたらしい。我が兄ながら酷いもんだと思う。
「自己紹介でもし合ってろ。これからお前らには働いてもらうのだから」
そう、兄は言った。
遅くなりました、お待たせして申し訳ありません。
自衛隊目指すので、さらに不定期になりますが長くお付き合いいただければ幸いです