11話 TYANSON
~~~~~Nigtsite~~~~~
「総員退艦命令を出せ、、」
艦長の消え入りそうな声にみなが驚く
実はFRDが≪彗星≫を出撃させたあと、NIGTは焦っていた。無線通信は全く傍受できないわ、直上から爆撃されまくるわ、爆撃の衝撃で中排水装置や不良品のレーダーぶっ壊れるわで旗艦の機能を完全に失い、止めに、爆弾を落として身軽になった≪彗星≫と≪九九式≫が雷撃して浸水し、左舷に15度傾いていた。
『総員退艦~!!』
艦長自らがメガフォンを持ち、巨大な艦内を叫びながら走っている。そんな艦長を乗員は感嘆の目で見ていた、、、
~~~~~天城~~~~~
『・-・- -・-・・ ・-・・ ・-・-・ -・-・ ・-・-・ --・- ・- -・-・ ・-・- -・・- -・・-・ ・-・ ・・・- ・・-・ ・-・-・ -・・ ・・ ・-・ 』
(敵艦浸水二テマモナク沈没)
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(了解 直チニ帰還サレタシ)
「艦長!!敵戦艦撃沈!!!!」
《彗星》とのやり取りのあと、通信員は艦長へ大声で伝える。
「まだだ、まだ気を『ドゴーン!!』、、なんだ!?」
誠が気を抜くなという言葉を言い終わるまえにものすごい音が響き渡る
『こちら旗艦長門、敵戦艦の砲弾を左舷前方に被弾、ただちに消火に当たる。駆逐艦も消火に当たれ、繰り返す、こちら旗艦長門、敵戦艦の砲弾を左舷前方に被弾、ただちに消火に当たる。駆逐艦も消火に当たれ』
「艦長!!長門が被弾!!直ちに消火に当たるそうです!!」
通信を聞いた通信員が大声で叫ぶ
~~~~~~~張宋級~~~~~~~
「艦長!!あと一発なら打てます!!」
総員退艦をメガフォンで叫んでいた艦長に砲雷長が声をかける。
「お前も退艦しろ」
艦長が冷たく言い放つ。その言葉を聞いて、砲雷長は、少し驚いたような顔をした。
「艦長、レーダーは壊れましたが、まだシステムは生きています。そして、主砲もまだ動きます。、、、最後に我々で相手に一発かましてやりましょう」
砲雷長がにっと笑う
「しかし、、、」
艦長が考え込む。しかしすぐに顔を上げた。
「わかった。ただし、犠牲は私たち二人でいい」
艦長はさっきの砲雷長の笑みに返すように笑うと二人はすぐに戦闘指揮所へ移動を始める。
10分ほどして戦闘指揮所にたどり着く。
「「「「お待ちしてました」」」」
そこには、戦闘指揮所のいつもの面々がそろい、きれいに敬礼していた。
「艦長!!やってやりましょう!!」
「みずくさいですよ」
とそこにそろった全員が思い思いの言葉を述べる。
と、艦長が一人の青年を見る。
「お前はまだ若い、、、今すぐ退艦しろ。これは命令だ」
艦長の顔が真剣な顔に変わる。彼はまだ18だが、兵学校では、全科目主席のエリートである。
「っ!?、、、了解」
青年の頬に一筋の線が通る。そう、彼は泣いていた。そして、艦長の顔もとても優しい顔に変わる。
「なんとしてでも生きろ。たとえ捕虜になろうとも」
艦長が言い終わると、青年はすぐに走り出し、甲板に出た途端海に飛び込む。
その場にいた全員が見届けると、直ぐに1人の乗組員が望遠鏡を覗き込み、一隻の戦艦を見つける。
「2時の方向!!戦艦あり!!繰り返す!!2時の方向に戦艦あり!!」
「了解!!最後の一本!!」
主砲が音を立てて動き、数秒間沈黙が続く。
「ってー!!」
その掛け声と共に、主砲から轟音と共に火柱が上がり、同時に煙が出る。そして、それを待っていたかのように艦が急速に沈む。
「みんな、ありがとう」
優しく放たれたその言葉が艦長の最後の言葉だった。
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長門の消火に2時間かかり、同時に≪阿武隈・峯風・澤風・沖風・島風・灘風≫で編成される第一水雷戦隊が生存者の救命にあたり、敵艦隊旗艦の生存者を救助した。彼曰く、総員退艦命令が出た後、艦長が艦内を総員退艦を叫びながら走り回ったため、おそらくほかの乗員は駆逐艦によって救助されたという。艦長は、砲雷長やその他の数人の兵と共に最後の砲弾を打った後、その場の全員と共に艦と運命を共にしたという。阿武隈の艦長はその言葉を聞いた後、しばし無言で敬礼し、長門に報告した。南雲司令官は笑っていたが長門の艦長、有賀航作は全艦に向けて
『全艦、敵艦隊旗艦沈没地点二向ケ、敬礼用意』
というメッセージを発信した。南雲司令官は反対したが、有賀艦長の『あなたには人を敬う心はないのか!!』と怒鳴られ、渋々納得した。それから全艦の乗員が最上甲板に上ったのを確認してから、
「敬礼!!!」
と、下士官がマイクを持ちながら大声で叫ぶ。その声が響いた瞬間、全員が綺麗に敬礼をする。有賀の口からは
「安らかに眠ってくれ」
という言葉が漏れていた。