an illusion
昔友人に無理やり誘われ弦楽器のハープをかじった
オーケストラにいるグランドハープではなく小型のハープ
ノンペダルハープなどともいう
畳一畳におさまる大きさで少し乾いた軽やかな音を出す
ペダルがないので半音変えるのは上についてるレバーの上げ下げ
気持ちよく弾けたと音色の余韻に浸っていると
#と♭が出てきて上げろだの下げろだの左腕を酷使する
一種のそれは重労働作業ともいえる
友人はいつの間にか去っていった
それでもこの愛くるしいこげ茶の木目を抱きしめ弦を弾き続けた
ただ弾くだけではだめなのだ
指の腹で強く弦を掴み弾きその指をぎゅっと握りしめる
それはまるで音の化身が自分の手を伝い体の中に入り込み
自分がハープになってハープが自分で反響しあうような
淡い勘違い
念願のマイハープも手に入れた
憧れのグリッサンドを靡かせたかった
ハープは弦を紡いでいるようだ
紡いだ弦が音を解き放ち空気中に散らばって無限の響きを醸しだす
まるで詩を書いているようだ
言葉を紡いで浮遊させればそれは無尽に拡がり読み手各々の中に沁みこむ
ハープと詩は似ている
けれどどちらも天性の耀きと努力が不可欠なのであって……
結局 悪行の付けがまわり
愛しいハープを売ってしまった
罰として死んだあとは誰かのPoemの調べに乗せて
地獄からグリッサンドを共鳴させようと思っている
ハープの演奏方法は限りなく不正確で誤りがあるかもしれません。
軽く流して下さいませ。




