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補佐の朝は早い。


大会前の準備があるからだ。


いつも通りのランニング時間に起きたが、流石に集団行動が優先されるこの場では憚られる。


軽く筋トレだけをして、朝食へと赴いた。


昨夜の大ホールにずらりと机と椅子が並べられ、食事はバイキング形式だった。


その大ホールは補佐の生徒で溢れかえっている。


何とか、食事を確保して席に座ってひと段落していると、ふと影がさした。


「おはようございます、シリウスさん」


ケイリアだった。


「おはよう、早いな」


「いつも通りです」


笑って向かいの席に座る。


「代表選手はまだ寝ていても大丈夫じゃないか?」


「同室者は寝ていましたね。補佐の方々はこの後すぐに動くのですか?」


頷いた。


大会前の試合用結界の起動・調整、競技用魔導具・装置の配布前検査、進行確認など、やることは山積みだ。


補佐の仕事は試合前と後が一番大変だろう。


「よろしくお願いしますね」


「うん。ケイリアも競技、応援してるから」


ケイリアは顔を綻ばせた。


「はいっ」


先に席を立ち、部屋に戻って準備をし、同室者を待った。


「シリウス君、早いですよ……僕が起きたらもう居ないんですから」


部屋でくつろいで居ると、入室してきたのはデインだった。


デインとは同室だったが、寝ていたため先に朝食会場へと赴いていた。


帰ってくるといなかったのでケイリアと話している間に、朝食を食べに来ていたようだ。


「デインは起きるの遅いから。すぐに出発しよう」


「あ!待ってください!」


玄関先で慌てて身支度をするデインを見届ける。


こういうところは少し世話をされてきた貴族という弊害が出ているかもしれない。


数分後、一緒にアストラ・グラディウス大闘技場へと向かった。


「シリウス君はすぐに競技用魔導具の点検ですか?」


「うん、数が多いから」


「僕も進行のチェックと備品の検品をしなくては」


やることを思い出すと、勝手に早足になる。


周りには補佐と思われる生徒が、他校も含めてちらほら見られた。


アストラ・グラディウス大闘技場のの正面玄関に向かうため、建物の側面に沿って歩くが、一向に景色が変わる様子がなく、改めて規模の大きさに舌を巻く。


正面玄関に辿りついても、その圧迫感に驚きが留まるところを知らない。


正面玄関の自動扉を潜り抜けて、デインと入口ゲートで検問を受ける。


中に入ると既に騒然としていた。


「おい!ここの備品足りないぞ!」


「点検終わりました!次お願いします!」


「早く持ってきて!次進めない!」


まさに戦場の有様に、流石に身がすくむ。


「……頑張りましょう、シリウス君」


「……うん、行こう」


足を踏み出して、自分たちの持ち場へと歩いていく。


競技用魔導具・装置の点検を行っている部屋も例に漏れず騒然としていて、かなり物も散乱している様子だった。


「あ、一年生の子だよね」


先輩と思わしき女生徒に声をかけられて頷く。


「じゃあ、この魔導具の点検お願いしていい?」


「分かりました」


渡された入れ物の中には同じ魔導具がぎっしりと詰め込まれている。


「予備の分もあるから、かなりの量だけど、しっかり見て、確認していって」


「はい」


周囲を見れば、同じような入れ物の中身を一つずつ検品している先輩たちが居る。


それに倣って、手を動かした。


途中、熱気にあてられて流れる汗を拭う。


魔導具が入った入れ物が、この部屋から無くなるまで、かなりの時間がかかり、どっと疲労感が押し寄せた。


大きく深呼吸をする。


胸の重みが、煩わしく感じた。


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