63
トライアーク・コンフリクトの代表選手の選出試験が始まり、学園はいつもよりも活気に満ち溢れていた。
デインも出場しないが、その様子を見るくらいには気になっているようだ。
「種目は4種目ですね。魔法に特化した『デュアル・マジックターゲット』。武力に特化した『ガーディアン・ブレイク』。戦術に特化した『インテグラル・コア』。そして、大会の大目玉『フラッグ・ドミニオン』。去年、僕も実際に足を運びましたが、すごい迫力でした」
今は実習棟の観覧席で、個々のステージで繰り広げられている、試験の見学に来ていた。
ここにはアウロニス、サイラス、レイフ、ウォルターが試験を受けに来ている。
レイフがこちらに気づき、手を振ってきたので、肩を竦めて返した。
「でも、残念ですね、シリウス君は出場するものだと思っていました」
様子を見ていたデインが、不思議そうにのぞき込んできた。
「まあね、別に出たいわけじゃないから。その分、他の生徒が出れるなら、それでいいんじゃない?」
試験の様子を見ながら、デインに返す。
サイラスが呼ばれて、ステージに上がっていた。
何をどう試験するのかと考えながら、デインの声に耳を傾ける。
「そうですね。僕はもともと適性がないですけど、シリウス君は強すぎますからね。お互いに裏方でサポートの方が大会的には良いかもしれません」
裏方と聞いて、デインに目を向ける。
「デイン、裏方やるの?」
「はい、応募してきました」
にっこりと笑顔を返される。
その顔を見ながら、数日前の、教師からの呼び出しを思い出した。
『シリウス君、我々学園側としては、君には補佐役として同行してほしいと思っている。無理にとは言わないが検討して、もしやる気があれば、この用紙を渡してくれ。きちんと君の後見人の方には許可いただいているから、後は君の意思次第だ。いい返事を待っている』
あまり気乗りのしない役割だった。
この大会の日程を聞けば、前入り1日、大会が2日間で計3泊4日の旅程になる。
代表選手ではない以上、観ている時間の方が長い。
友達の活躍を観るのは悪くないが、拘束時間を考えると気分は上がらない。
騎士見習いとして働くか、錬金学の研究にあてた方がよっぽど有意義な気がした。
「シリウス君は、やらないんですか?」
「……悩んでる。なんでデインは裏方やるの?」
デインがきょとんとした顔をする。
「何かしらの形で大会には関わりたいですからね、公爵家という立場的問題もありますし。でも一番の理由は」
デインがステージの方に顔を向けて、手を振っている。
フェンリスだ。
イマラも居る。
「友達が出るっていうんですから、応援しない理由がありません」
その答えは胸にスッと降りてきた。
ステージの方に目を向ければ、今度はレイフが上がっていく。
「確かに、応援は行きたいかも」
レイフが必死に相手選手にくらいついているところを目で追う。
「たぶん、お友達も喜ぶと思いますよ」
「……」
レイフたちのその姿を思い浮かべて、苦笑した。
「……やろうかな」
「ええ、ぜひ、一緒にサポートしましょう!」
デインの笑顔に、つられて微笑んだ。




