表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
40/41

39


デイン視点です。



同室者の朝は早い。


ランニングをした後、シャワーを浴びて、朝食を食べに、寮を出てしまっている。


最初に会った時は、自分よりも背が低いのに、端正な顔立ちに眼帯の出で立ちだからか、かなり怖い印象を受けた。


口数も少なくて、同室者としての挨拶は、「よろしく」だけだった。


暫くは少し避けていた節もある。


その距離が変わったのは、あの時だ。


図書棟に向かう途中の廊下で、よくパーティーとかで会う、伯爵家の上級生。


会うときは大抵、公的の場だから強く出ることができない反動で、学園で会ってしまって、かなり罵詈雑言を吐かれた。


家では自分が自分に対してしか言わないセリフを、他人に言われて心がぽっきり折れてしまった。


学校がつらく感じたときに、彼が現れたのだ。


黒髪が視界にふわりと入り込んだ、その時の言葉は一生僕の中で残り続けると思う。


『魔力が無いから、才能が無いから劣っているという考えは、薄っぺらいな。努力している人間を見下してもいい理由にはならない』


彼は堂々と胸を張って立っていた。


その姿、綺麗だった、かっこよかった、羨ましかった。


憧れてしまった。


だから、距離を詰めた。


お礼のために、高級茶葉を取り寄せて、彼が帰ってくる前に起きて、準備して、紅茶を用意して。


そして、思ったより彼がすんなりと受け入れてくれたことが嬉しかった。


だから、今はそのほっこりする時間が欲しくて、紅茶を入れている。


彼の背負ってきているものが何なのか。


彼の追ってきた傷がどれだけ深いのか。


たまに見せる悲しい顔の理由は何なのか。


彼のことは知りたいけれど、知りたくない。


きっと彼も言わなくていいと思っている。


今が大事だから、立ち続けている。


そんな彼の隣に並び立ちたい。


彼の横から支えてあげられるような存在になりたいと、思っている。


今日も紅茶を入れる。


扉が開いた。


「シリウス君、おはようございます」



――――――



「そういえば、この本、読みました?」


「読んだ。魔法薬学の本質」


「内容、僕はうさん臭さしか感じなくて、どう思います」


「魔法薬学とは、神が生み出した、人類の救済だってところ、意味が分からなくて、一回閉じた」


「ふふっ、一緒です」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ