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Sクラスに入り、レイフの姿を見つけて、その隣に腰掛けた。
「お、シリウスじゃん。さっきまで錬金の授業受けてた?」
「うん、試験があるらしい」
「出たよ……錬金学科特有の面倒くさい試験」
レイフは顔を歪めて、嫌悪を露わにしている。
「知ってるのか?」
「結構有名だよ、確か研究資料を作るやつだろ?結構、難癖つけられるって噂」
『難癖』という言葉に引っ掛かりを覚えたが、言葉を挟み込まず、続きを促す。
「それに、同じ学科の生徒が妨害してくることもあったらしいよ」
『妨害』という言葉に、一気に不快さが増す。
「普通は協力じゃないの?」
「あ、それもダメらしいぜ?昔、それやって停学くらった奴も居たって」
「……停学」
何となく嫌な予感が頭を掠めたが、今は気にしてもしょうがない。
同室だし、デインと距離を取ることはかなり難しい。
学園側もそれは分かっているだろう。
「嫌なこと聞いた」
「だから言ったじゃん、錬金は一番不人気だって」
「なんだ、錬金学科試験があんのか」
それに自然と加わる声に顔を上げた。
アウロニスだ。
後ろにサイラスとベローナも居る。
「どこの学科も試験よね。魔法薬学も今度試験があるのよ、面倒だわ」
「大変だねー。経済学科は楽よー最高ー。ね、アニス」
「おう、特に試験ない」
「これが人気の学科だよな」
経済学科を履修しているサイラスとアウロニスとレイフは、涼しい顔をしている。
「気になるんだけどー、シリウスは何を研究するのー?口外しないから、おせーて?」
視線が集中するので、逃げられないと悟って、声を抑え気味に口を開いた。
「……魔法式を分解してみたいと思ってる」
「は?そんなことできんの?」
片眉を上げるアウロニスに頷く。
「前例もあるからできる」
「俺には理解できねえ」
「その薄い頭じゃたぶん無理だろうね」
「……お前本当に容赦なくなってきたな」
顔を引きつらせるアウロニスの肩に、サイラスが手を置く。
「まあまあ、事実だしー」
「お前もかよ!」
「本当、シリウスって強いし、頭もいいし、アニスが勝てるところないわね」
ベローナの言葉に、アウロニスは悔しそうに顔を歪めて黙ってしまった。
「魔法式の分解には私も興味があります」
途中、声をかけてきたケイリアが加わる。
彼女も経済学科だが、こういう分野も割とそつなくこなしそうだ。
「試験終わったら、資料見る?」
「はい、ぜひ」
にっこりとほほ笑むケイリアには、もう以前のような壁は感じられなかった。
「シリウス、なんだかんだ、友達増えたねー」
ぼそりと呟いたレイフを見ると、いつもと違って優しく微笑んでいた。
「何目線」
「レイフ様目線!」
「言ってろ」
でも気分は悪くない。
高く昇る太陽が、教室を暖かく包んでいた。




