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「君たちが錬金学科を専攻して、約3か月ほど経ちました。ある程度、知識が付いたところで、一度研究分野での試験を設けたいと思います」


本格的に暑さがやってきて、昼夜問わず、じめじめとした空気が体に纏わりつく。


天気の悪い日も増えてきて、雨季が到来した時季のことだった。


錬金学の教師、ザカリー・マイロが教卓に立ち、放った一言は教室をざわつかせるのには十分だ。


「研究?そんなことできるの?」


「まだ早くないか?」


まだ基礎しか習ってない状態での『研究』という言葉は、それなりに重い。


「研究テーマは自由に各々で決めて構いません。内容も精査しますが、一番見るところは、どのような内容で、どのような手順を踏んで、どのように検証して立証したか、です。きちんと自分なりに考えられていると判断すれば合格になります」


ザカリー教授の言葉に多くの生徒が胸を撫でおろす。


「期限は2週間。資料が完成していなくても回収します。ただし、あくまで個人の成果として研究資料を作成すること。それから資料の共有も禁止です。気を付けてください」


挨拶もそこそこにザカリー教授は出ていった。


「結構、曖昧な試験ですね」


隣に腰掛けていたデインが口を開いた。


授業の最初に、研究資料の見本が配られており、それをパラパラと捲っていく。


内容は昨年の生徒のものか、濃くはないが、よく作り込まれている印象がある。


「どんなのしましょうか、僕はほとんど魔力がないので、できることは限られてくるんですが」


そう言ってデインは、不安そうに顔を伏せた。


「魔力か……」


錬金の基本は、魔力を変質・変容させることによって起る事象の研究である。


魔力がないと検証は厳しい。


そこで、ふと、先日の討伐任務のことを思い出した。


「魔石は?」


魔石とは、魔力を帯びた石のことだ。


魔鉱石とも呼ばれ、日常生活でも魔道具の一部として使われたり、魔力補助の一環として戦闘に使用されたりと、使い方は様々。


討伐任務の時に、森でそれ見つけたのを思い出したのだ。


「……いいかもしれません。というか、むしろ、良いです!それを題材に……」


途中、デインは何かを思い出したのか、徐々に声のトーンを落としていく。


顔を覗き込んだ。


「どうした?」


「シリウス君が思いついたものですし、これは横取りになるのかと……思いまして」


困ったように眉を下げている。


本当に貴族らしくもない。


アウロニスなら「俺がもらうぞ!いいんだな!?」と強気になりそうなのに。


「いいよ、俺はもう他の考えてるし、たぶん被らない」


魔法式の方に興味がある。


デインは安心した顔をした。


「そうですか。良かったです。じゃあ、魔石を研究に当ててみます」


次の授業のために立ち上がる。


教養授業なので、久しぶりのSクラスだ。


デインと一緒に教室を出た。


「では、また寮で」


デインは廊下の喧騒に歩いて行った。



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