表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/42

17


沈黙が場を支配する中で、体を起こし、立ち上がる。


身体を包む熱は、余韻を残し、風化していく。


汗を腕で拭って、天井を見ながら一息ついた。


「聞いてもいいか?」


「なに」


視線を、未だに倒れたままのウォルターに移す。


「私の魔法を打ち消したあれは何だ?」


「魔法陣を逆算で練り上げて、発動をキャンセルした」


「何だそれは、何でそんなことができるんだ」


「……さあ」


目を伏せて、言葉を濁す。


ウォルターから乾いた笑いが返された。


「秘密主義なんだな」


「そういうわけじゃない」


「いや、いいんだ。それが正しい」


ウォルターは腕で目を覆い隠した。


「最初は違和感だった。貴族の輪の中にいる君が」


息を吐き出す音が耳に残る。


「でも、騎士見習いで優れた才能を持っていて。……醜いなこの感情は」


拳を強く握っている姿は、何を堪えているのだろうか。


「君に勝ちたかったわけじゃない。君の技術を、君の見ている景色を、見てみたかった……」


目を覆っていた腕を天井へと掲げている姿は、眩しくて、そっと目を逸らした。


「私は君に追いつけるだろうか。……いや、違うな。君に追いつけるように、もっと努力をするよ」


ウォルターがゆっくりと立ち上がる。


目の前に立ったウォルターは、自分より少し背が高くて、肩幅があって、背筋は綺麗に伸びていて、誰よりも貴族だった。


「ありがとう」


手が差し出される。


その手をそっと握り返した。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ