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ハードな戦闘が続く。
観察している生徒らも、かなり緊張した面持ちで、戦闘の経過を眺めていた。
その中でもやはりアウロニスが指揮役をしている部隊は、綺麗に戦闘として収まっていた。
教師が顔を緩めながら頷いているところを見ると、評価も高そうだ。
多少怪我人も居るようだが、治療師が控えているため、大きな問題もなく戦闘は続けられる。
「J部隊、準備」
呼ばれてウォルターを先頭に前へ出た。
「無理はしすぎないように、自信を持って挑みなさい」
返事をし、配置につく。
ウォルターが口を開いた。
「それぞれの役割を思い出して落ち着いていこう」
緊張させすぎない、丁度いい一言だった。
「はじめ!」
ワーウルフが出現し、前衛の空気がひりつく。
後衛の魔法が空気を揺るがした。
「スパーク!」
「疾風を放て ウィンド!」
ウォルターの詠唱破棄された魔法が先行し、ワーウルフの眼前を火花が散る。
その後に重い風圧が通り抜けて、ワーウルフの体勢を崩した。
「行くぞ!」
前衛3人が風を追いかけるように走り出す。
1人1体で相対し、斬りつけにかかった。
「援護魔法、できるだけ早く続けるぞ!」
ウォルターの声掛けを背に、馴染まない剣の柄を握りなおす。
あぶれたワーウルフが2体跳躍し、後衛陣に迫ってくるのを確認して、剣を構えて地を蹴った。
着地と同タイミングで1体の眼前へ移動し、大きく開かれた口めがけて剣先を突き出す。
そのまま上へ剣を滑らせ絶命を確認した後、もう1体に目を向けるとウォルターの方へと駆けていっていた。
まだ距離はある。
ウォルターの前の前衛とその隣は拮抗しつつも、ウォルターのファイヤーボールで定期的に体勢を崩され、有効打が多い。
そう遠からず勝敗は決まるだろう。
もう一人の前衛も一拍遅れ気味の援護によって食らいつけている。
戦況は悪くない。
ウォルターに駆け寄るワーウルフの後ろを追いかけた。
「うわっ」
その声は丁度今しがた確認していた前衛のものだ。
体勢が崩れてしまったのだろうが、その後ろに控えている後衛はもう詠唱を終えている。
そのままワーウルフに肉薄した。
「なっ!私はいい!前衛をっ」
ウォルターの動転している声を横目に、両手で勢いをつけてワーウルフの首を切断した。
ウォルターと一瞬目が合う。
驚愕の色。
それを意味するところは何だったか、考えるのは後回しにし、ワーウルフの体を土台に跳躍し1回転する。
刃先を、後衛の魔法により、よろけているワーウルフの心臓付近めがけて突き刺した。
突き刺した個体が消滅すると共に、教師からの「終了!」という声が響き渡った。




