第29話 きらピュアさん
『祝三万PV突破!!!』と思っていたら四万突破していました。
ありがとうございます!
「ただいま、戻りました……」
『ぷぅ~』
「え! どうしたの?」
「どうしたのとは?」
「だって……ねぇ……休みは始まったばかりだよ。職場復帰するには早いよ。それに休んでいたハズなのにそんなに疲れた顔してたらさ……心配するなってのがムリだよ。ね、どうしたの?」
「……」
「オジー?」
「……聞いてくれますか?」
「聞くよ。聞かせてよ。何があったの?」
「実は……」
「あ、ちょっと待ってね」
オジーをソファに座らせユリアにお茶を用意して貰おうと思ったが、雰囲気的にここはお酒の方かなと発泡酒を取り出しオジーに差し出す。
「ヒロ様。今はそんな気には……」
「いいから、ほら! おつまみもあるし。ユリアも一緒にどう?」
「喜んで!」
「出来れば、ヒロ様だけに聞いて欲しかったのですが……」
「ごめん。オジーの雰囲気的に俺一人では受け止められない気がするからさ。どうしてもイヤなら外れてもらうから」
「でも、どっちみち皆が知ることになると思いますよ」
「ハァ~……それもそうですね。分かりました!」
オジーはそういうと発泡酒のプルタブをプシュッと開けるとゴキュゴキュと喉の奥に流し込むと「プハァ!」と漏らし「実は……」と話し出す。
「うわぁ~」
「ヒドッ!」
「そうですか? 私にしてみればいつもの日常を少しきつく感じた程度だったのですが」
「いやいやいや、どんな日常よ」
「そうですよ。もしかして、働いて家に帰ってからも働いていたんですか? 信じられない!」
「いや、ですが妻達は身重だし、多少のワガママはしょうがないと……」
「でも、我慢の限界が来た……と?」
「ちょっと気が長いですね」
「ヒロ様達は私の方がおかしいと?」
「ああ」
「はい、残念ですが……それにオジー様がおかしいと言うよりは奥様達のオジー様に対する扱いがヒドいです。私、許せません!」
「ユリア、ありがとうございます。ヒロ様も話を聞いて下さりありがとうございました。少し気が軽くなった気がします」
オジーは俺とユリアにそう言って頭を下げるが、その両の拳は膝の上でギュッと握りしめられたままだ。
そして少しだけ気になったことをオジーに聞いてみる。
「あのさ、奥さん達が身重だって言ってたけど、よくそんな体力あったね? オジーは俺のワガママに付き合ってもらっていたから、日中は忙しかったでしょ。頑張ったんだね」
「ヒロ様、それセクハラですよ」
「ユリア、いいから。ヒロ様、確かに私はヒロ様の要望を叶えるために日中駆けずり回ることもあり多忙でしたが、キスするくらいでそんな大袈裟な」
「「え?」」
「はい?」
「「もう一度、お願いします!」」
「え?」
オジーの話を聞いた俺とユリアは二人して耳に小指を突っ込みホジホジしてから、オジーに「もう一度」とお願いしてみるが、もう一度聞いても内容に変化はなかった。
だから、俺とユリアは互いに顔を見合わせるとコクリと頷き、オジーに対し「それ、おかしいから!」と声を大にして言ってみるが、オジーは「???」と俺達が何に対しておかしいと言っているのかが分かってないみたいだ。
「オジー、それおかしいって!」
「そうですよ! ちゃんと確かめた方がいいですって!」
「え? お二人とも何を言っているんですか? キスで子供が出来るなんて誰でも知っている話でしょ」
「「だから、ソレが間違いなんだって!」」
「はい?」
俺達が懇切丁寧に教えてもオジーは「またまたぁ」と本気にしない。
「……ユリア、ダメだ。いくら俺達が言っても実際に子供がいないから真剣に聞いちゃくれない」
「……そうですね。どうしたらいいんでしょ」
「よし! ユリア、伯爵様に会えないか聞いてくれ」
「あ! そうか。そうですよね。分かりました」
オジーと雑談していたら「呼んだかい?」と伯爵が顔を覗かせる。
「伯爵様、お願いします!」と頭を下げれば「大袈裟だな」と笑いながら、ソファに腰掛け「で、何を説明すればいいのかな?」と聞かれたのでオジーに性教育をして欲しいとお願いする。
「ん? ちょっと待ってくれ。それはどういう意味だい? だってオジーには既に子供がいるじゃないか。それなのに今更、そんなことをしてなんの意味があるんだい?」
「ユリアに聞いてないのですか?」
「何も。ただ、ヒロ殿が話をしたいとしか聞いてないが?」
「あぁ~」
「……」
伯爵様の答えにユリアをチラリと一瞥すれば、俺に対し頭を下げている。
まあ、自分の雇い主には流石に言い辛いかと納得し俺は伯爵に向き直り、さっき聞いたオジーの話を交えながら「……と、言うことなんです」と伝えると「え?」と驚いた顔をしたままオジーを黙って見詰める。
オジーも自分が何故不思議がられているのかが分からず「え? え?」と少しばかり挙動不審になる。
伯爵様も「ハァ~」と嘆息し「確かに実際に子供を持つ私からでないと説得力に欠けるな」と前置きしてからオジーの顔をジッと見詰めてから「あのね」と話しかける。
「……と、まあそういう訳でただキスをしたからって子供が……女性が妊娠することはないからね。と、言う訳で言いたくはないが君は奥様達にだま「そんなことはありません!」さ……オジー」
伯爵様がオジーに対し『正しい性教育』を話し終えた結果、オジーが今置かれている家庭環境はおかしく奥さん達に騙されているとしか思えないと言おうとしたところでオジーが大きな声で反論する。
そして「いや、どう考えても托卵だし童貞ですやん」って言葉を呑み込んだ俺を褒めて欲しい。
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