表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
突然だけど、空間魔法を頼りに生き延びます  作者: ももがぶ
第2章 新天地を求めて
75/191

第14話 お届け成功

『ピ!』

「またか……セツ、悪いけど無視で」

『ピィ……』


 宰相になんとか帰って貰って三日目くらいからオジーからのヘルプ要請が頻繁に入る様になった。


 最初の内は何事かと無視することなく対応していたが、大半と言うか殆どの全てが宰相からの「頼むから何とかしてくれ!」との嘆願だったので「ごめんなさい」と断っているのが現状だ。


 オジーには悪いとは思うけど、俺だって暇じゃない。まあ、忙しいかと言われればそうでもないんだけど、なんとなくいけ好かないイケオジを助けるのは気が進まないのだから、しょうがない。


 かと言って、このままオジーに全てを任せっぱなしにしてしまうと、オジーの老化が進んでしまうのでどうにかオジーの負担を減らせないかと考えてみる。


「あ! ね、セツ。これをぷぅに渡せるかな?」

『ピピィ!』


 メモ紙に『届いたら返事をぷぅに渡して』と書いてセツに取り込んでもらうと、数分して『ピ!』とセツが鳴き口? から、一枚のメモ紙を排出する。


「おぉ! マジで届いたんだ。で、オジーは……まあ、そうだよね……ふぅ~」

『ピ?』


 セツとぷぅとの間で意思の伝達が可能であるなら、ひょっとしたら出来るんじゃないかと試しにセツに頼んでみたら、オジーからの返事が届き「マジか」と驚いた。


 そして、書かれていた内容は察しの通りで宰相からの「なんとか頼む」と言う陳情だったので、ムリですからと見なかったことにする。


 そうこうしていると、新たにオジーからの手紙が届いたので、内容を確認するとそこには宰相が焦っている様子と、宰相の奥様、ご息女の変わり様から問い合わせが殺到し、懇意にしている貴族だけでなく王家からもどういうことかと問い合わせが連日の様に宰相の元に届き困っているということ、それに奥様やご息女が少ない量しか渡していないのに「特別ですよ」と親しい友人知人に振る舞ったことから一週間分の量が一日と保たなかったことから、夫であり父親でもある宰相に対し「早くなんとかして欲しい」と圧が凄いことになっているらしい。


 そんな話を聞いて「それは可愛そうに申し訳ないことをした」と思える程、俺も聖人君子ではない。っていうか、「たかがそんな物で」と鼻で笑ったのは他でもないイケオジの宰相だ。


 だから、約束通りに量産化の目処が立つまでは知らない振りをしてもらう。


 ま、矢面に立つオジーがだけどね。そしてオジーのメモと言うよりは短編小説なみのボリュームを持った手紙が届けられ、そこには宰相とのやり取りがこと細かに書かれていた。


「頼む! ホンの少量でも構わない。なんとか手に入らないか。この通りだ」

「……宰相様。無礼を承知で言わせて貰いますが、まだ量産の目処が立っていないとの連絡を受けています。それにお約束では早くても一月後との約束だったと聞いております。そして、宰相様には一週間ほどの試供品をお渡ししたと聞いております。まだ一週間も経っておりませんが?」

「ぐ……」

「そういう訳で、申し訳ありませんがご期待に添えるのは難しいとしか「そこをなんとかならないか!」……申し訳ありません」

「そうか。だが考えてみてくれ。私の権力を使って如何様にでも無理矢理従わせることも出来るのだぞ」

「……分かりました。では、旦那様と直接交渉して下さい。私では宰相様とお話しすることさえ難しい立場ですので」

「ならば、連れて行け」

「え?」

「だから、私をジャミア伯の元に連れて行けと言っている。どうした? 早くしろ!」

「いえ、ですから……そういうことは私の立場では難しいので旦那様へお願いします」

「ん? どういうことだ?」

「ですから、私にはそう言った権限はありませんので、宰相様から直接旦那様へお願いします」

「は? 何を言っているんだ! 直接やり取りをするとなれば、また余計な期日を要するでないか!」

「ええ、そうでしょうね。ですが、それもこれも宰相様がヒロ様を単なる(まれびと)だと侮蔑し怒らせたことが原因だと聞いております」

「あ……」


 オジーからの話を聞き、宰相はやっと「嵌められたのか……」と気付いた様だ。


「とりあえず、そういうことですので、この王都の御屋敷に直接来られましても私に与えられた権限では宰相様のお願いに応えることは出来かねます」

「……分かった。では、一つだけお願いしたい」

「私に出来ることでしたら……」

「試作品でもいい。出来たら、直ぐに連絡をくれ」

「それは命令でしょうか? でしたら「違う! これは私から君へのお願いだ。頼む、後生だ」……分かりました。ですが、旦那様へはご報告させて頂きますが、よろしいですか」

「ああ、すまないがよろしく頼む」

「分かりました。では……」

「ああ、失礼する」


 オジーからの手紙を読み終え、俺は顳顬を抑える。


「予想以上に面倒なことになったけど、これを伯爵にそのまま見せると焦りそうだから、先ずは製造責任者の奥様に見せるかな。ユリア、お願い」

「はい」


 オジーからの手紙を奥様に渡すべくユリアに託すと、俺はオジーに労い替わりに発泡酒をダースでオジーに届ける。


『負けないで』と一言メモを貼り付けて。

最後まで読んで下さりありがとうございます。


おもしろい!

続きはどうなの!

応援してあげてもよくてよ!


と、思ってくれた方。

恥ずかしがらずに下にある☆を★にしてみませんか?


★は★★★★★までありますから好きなだけどうぞ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ