第40話 お互いに約束して欲しいこと
風呂から出ると、手早く体が拭かれる。もちろん、全ての部分をだ。
「そんなに丁寧に拭かなくてもいいんだけど……」
「いいえ、中途半端に済ませてお風邪を引かせたりしたら私が叱られます。それに未来の旦那様ですから。これくらいなんてことありませんから、うふふ」
「いや、うふふじゃなくて……ああ、もういいよ。好きにしてくれ」
「ええ、好きにさせてもらいます」
セシルの前で全てを曝け出し為すがままでいるが、不思議とピクリともしない一部分に少しだけ不安を感じるが、こういう展開になれていないだけだからだよなと自分に言い聞かせる。
「おかしいですね。こんなに元気がないなんて。少し自信をなくしました」
「いや、ちょっと……」
俺のモノを持ち上げて拭いていたセシルが不思議そうな顔をしていたが俺はその手を払って「もういいから」と告げれば「まだ途中ですから」と更に丁寧に拭かれてしまう。
「はい、終わりました」
「ありがとう。なんか余計に疲れた気がする……」
「はい、じゃあ右足から足を通してくださいね」
「うん」
セシルが俺の前で跪いた状態でトランクスを広げた状態で右足から通すように言うので俺は逆らうことなく言われるままに下着を着用する。
「ねえ、セシルはまだ服は着ないの?」
「気になります?」
「なります」
「ヒロ様はそっちの方が好きなのですか?」
「そういう意味じゃないから。とにかく目の前で揺れているのは気になるから」
「そうですか。じゃ、ちょっと失礼しますね」
俺の願いを聞き入れてくれたセシルは用意していた下着を着用している間に俺は自分の着替えを済ませようと籠の中を覗くが、自分が着ていた服が見当たらない。
「あれ? 確かにここに入れておいたのに……なんでだ?」
「服は処分しましたよ」
「え? なんで?」
「これから、旦那様に会うのに相応しい格好ではないからです」
「いや、でも……」
「それに王様に謁見する際は別途、用意しますのでご安心を」
「いや、安心出来ないから」
「え?」
「だって、着ていく服がないじゃないか」
「ありますよ?」
「へ?」
「ですから、そこに用意されているじゃありませんか」
「え? これ?」
「はい!」
セシルは俺の服は用意されていると言うが、俺の服らしき物は見当たらない。でもセシルはそこに用意されていると言うので、側にあった籠の中を見ると上質な布で作られたと分かるシャツやズボンが置かれていたが「これじゃない感」が強い。だって、そこにあったのは宝塚の男役が着ているようなヒラヒラのシャツやゴテゴテとした装飾が施されていた。俺はシャツとズボンを摘まみ上げ「これ、なんてバツゲーム?」とセシルに聞けば「お嫌ですか?」と聞かれたので、正直に頷く。
「困りましたね。それしか用意されていないので、新たに用意するとなれば……」
「ちょっとお願いがあるんだけど」
「はい、なんでしょうか? 行為以外なら受け付けますよ」
「いや、そんなことじゃないから」
「では、なんでしょうか?」
「これから俺がすることを見ても他人に言わないで欲しいんだけど」
「はい?」
「だから、俺が今からすることは絶対に他人に言わないって約束して欲しい。例え領主や国王にでもだ」
「まさか、一人でなさるつもりですか?」
「へ?」
「一人でするくらいなら、お手伝いしますよ?」
「えっと、何を勘違いしているのか聞きたくないけど、とりあえず約束はしてもらえると思ってもいいのかな?」
「しないとダメですか?」
「うん、お願い」
「ん~分かりました」
「じゃ「それだと私が他人に言わないように見張る必要がありますよね?」……えっと、そうなるのかな?」
「なりますよ。だから、改めてこれからお願いしますね」
「えっと……」
「約束してくれないんですか?」
「しないとダメ?」
「約束てほしいんじゃないんですか? なら、私ともお約束をお願いします!」
「あれ? なんだか、立場が変わってない?」
「気のせいです。ほら、約束しましょう」
「あ……はい」
セシルは俺の右手を取り、互いの小指を絡ませると「ゆびきりげんま~ん……」と歌い出す。
「ほら、ヒロ様も一緒に!」
「あ、はい。ゆびきりげんま~ん……」
「嘘ついたら……どうしましょうか?」
「いや、重くなるのは勘弁だから」
「分かりました。では、それぞれの胸に秘めると言うことで済ませましょう。では、改めてゆびきりげんま~ん……ゆびきった!」
「え?」
セシルの「ゆびきった」と言い終わると同時に二人の体を柔らかい光が包み込む。
「え?」
「はい、これで無事に契約終了です」
「契約って……俺は約束して欲しかっただけなんだけど?」
「ええ、だから契約です。これなら絶対に違えることはありませんから!」
「えぇ~」
セシルは機嫌良さそうな顔で「では、秘密にしたいこととはなんでしょうか?」と聞いて来たので俺はインベントリからスーツ一式を取り出し「こういうことなんだけど、大丈夫だよね?」と問い掛ければ、セシルの顔がパァ~っと明るくなり「ハズレだと思って申し訳ありませんでした」と跪く。
「思ってたんか~い!」
『ピィ!』
最後まで読んで下さりありがとうございます。
おもしろい!
続きはどうなの!
応援してあげてもよくてよ!
と、思ってくれた方。
恥ずかしがらずに下にある☆を★にしてみませんか?
★は★★★★★までありますから好きなだけどうぞ!




