第39話 俺の価値って……
俺はセシルに身を任せて体を洗ってもらったがさすがに前だけは死守した。
「こ、ここはいいから!」
「あら、ご遠慮なさらずに」
「い~や、ご遠慮します!」
「ホントにいいんですか?」
「いいんです!」
俺が色んな意味で局部を抑えたまま、やんわりとセシルを拒否すると少し残念そうな顔をされたが俺の杞憂であって欲しい。
とりあえずセシルが離れた今の内と俺は当分使う予定のない局部をゴシゴシ洗っていると「そんなに強く洗わなくても大丈夫ですよ」と言われ振り向くとセシルが俺の洗っている様を観察していた様で慌ててしまう。
「ちょ、ちょっと!」
「私の手伝いを拒否されたので、どうやって洗うのかと興味があったので。さ、どうぞ続けてください。でも、あまり力強く洗うのはお勧め出来ません。特にデリケートな部分は……」
「……分かったから、ここは俺に任せてもらえるかな」
「はい、分かりました。では、泡を流しましょうね」
「……はい」
「では、失礼します」
俺はセシルに抗うのは無駄な抵抗と諦め、身を任せると洗い場に備え付けのシャワーで俺の背中から優しくお湯を掛け流す。
「はい、終わりました。お先に湯舟へどうぞ」
「うん、ありがとうね」
「ふふふ、見てても構いませんよ」
「な!」
「冗談ですよ」
「……」
セシルにいいように揶揄われているなと思ったが、まともに相手をすれば余計に疲れるだけだと思い、湯舟に浸かればセツが気持ち良さそうにプカプカと浮いていたのを指で突く。
『ピ?』
「ホントお前は気楽だな」
『ピ!』
「スライムを従属されているなんて珍しいですね」
「ま、成り行きだったけど今となっては大切な相棒でね」
『ピィ!』
「で、早速だけど話の続きをしてもらえる?」
「あ、そうでしたね。実は……」
セシルが二十五歳で焦っていた理由を話してくれたけど、一言で言えば「面倒臭い。関わりたくない」というのが本音だな。でも、セシルは俺に対し何かを期待しているし、ここの領主が俺の世話役にと任命したのもそうしたことから回避するためだと思う。今更ながらしてやられた感はあるが、俺としては断る理由もないが、正直性格や本音も何も知らない女性と近しい間柄になるのは気が退けてしまう。
「ですから、助けると思ってお願いします」
「いや、事情は分かったけどさ。スケベな中年男性だけど裕福な貴族様が相手なら俺より数倍マシじゃないの? 俺が勝てるのは若さだけだと思うけど」
「……そんなことはありません!」
「今、ちょっと間が空いたよね」
「気のせいです。ですから、私の父親は二十五歳まで相手を見つけられないなら、父親が紹介する相手に嫁げと言うんですよ。非道くないですか? しかも相手は父親とそう変わらない年齢なんて、絶対にイヤです!」
「でも、だからって根無し草の俺の方がいいってことにはならないと思「そんなことはありません!」う……ないの?」
「はい、だって客様ですから!」
「決め手はソレかぁ~」
「ソレ以外に……ありませんよね?」
「あ……」
セシルは俺の顔と下半身を一瞥すると客の他に何も取り柄がないと暗に言われて俯いてしまう。
「それにヒロ様は王都に行って王様に謁見なさいますよね。失礼ですが礼儀作法など、この国の世事には疎いと思いますが?」
「ああ、そうだね」
「でしたら、先ずはお試しで構いませんので私をお側に置いておいて損にはならないと思いますよ。なんなら、この体も「それはいいから!」……そうですか」
「気を悪くしたらごめんなさい。でも、俺はそういうのはホントに苦手で」
「もしかして私のことを不潔だとお思いですか?」
「いや、そんなんじゃ「私、まだですよ」……え?」
「確かにお風呂に案内することはありますが、その時は湯浴み用の物を身に着けていますし、浴室で行為に至ることもありませんから」
「え? なら……」
「だって勝負するしかないじゃないですか」
「あぁそういうこと。マジかぁ」
セシルがまだ未経験だと言われたところで、俺は「じゃいただきます」とはならないことを説明する。そして、もしそういうことをするならばちゃんと手順を踏んでからにしたいと話す。
「あら、意外ですね」
「俺からしてみれば、セシルが意外だよ。そんなにキレイなのになんで手付かずなのか」
「うふふ、嬉しいです。でも、ホントなんでなんでしょうね。自分で言うのもなんですが、結構形には自信があるんですよ。ほら!」
「へぇ、あ~そだねぇ~」
「……なんでしょ。悟りでも開きましたか?」
セシルが自慢するように「ほら!」と自分の双丘を持ち上げ俺に見える様にするが、俺はそれを見ても今更何も感じなくなってしまった。多分だが、俺の中の菩薩が反応したのだろう。
「まあ、いいです。取り敢えずヒロ様の了承は得たということで構いませんね?」
「いいよ。確かに俺はこの世界のことは何も知らないし、それを教えてくれることと身の回りの世話をしてくれるのなら俺にとってはプラスでしかないからね」
「ええ、色々とお世話しますよ」
「最低限でお願いします」
「うふふ、分かりました。取り敢えずは一歩進めたということで焦るのは止めます。これから末永くお願いしますね」
「ああ」
「セツ様もよろしくお願いしますね」
『ピ!』
セシルに対し触手を振って挨拶するセツだった。
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