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突然だけど、空間魔法を頼りに生き延びます  作者: ももがぶ
第3章 ただいま、放浪中
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第62話 ちょっと落ち着いて

「その話は聞かないとダメ……でしょうか?」

「当たり前だ! ヒロ殿にはその為に依頼したのだからな」

「ですから、陛下。私が何度も申し上げました様に……」


 王様の言葉に伯爵が嘆息しながら王様に言うが、当の王様はと言えばそんな伯爵を一瞥すると「もう、決めたことだ!」と口にする。


 すると、今度は王様の後ろから眉間に皺を寄せた側近らしき人が嘆息しながら「陛下、ジャミア伯も仰るようにもう少し様子を見るべきです」と言うが、王様はその側近に向き直り「それはいつ迄の話だ?」と問い掛ける。


 すると側近は「それは……」と口籠もる。


「ふん! 待てと言うならいつまで待つのかハッキリさせてくれ。そうでないなら、私を納得させるだけの理由を用意するんだな」


 王様と側近達の話と王様の軽装、そして王様が言っていた()()()と言うことからなんとなくだが、想像が着いた。


 多分だが、これからベネの所に転移するのに同行させろと言いたいのだろう。


 そして、それを聞かされた側近と伯爵がなんとか止めようとしているのが今の状態だと思う。


 だけど、相手は国のトップだから、なし崩し的に軽装を用意させられ同行させられたのだろう。


 俺はまだ耳に人差し指を突っ込み、お前達の話は聞かないという態度を崩さない王様と伯爵達に向かって「あの……」と話しかける。


 すると王様は俺が了承したと思ったのか、耳から指を放し「よし、行くぞ!」と声を掛けるが俺は首を横に振り「その前に」と話し出す。


「王様は何をしたいんですか?」と聞けば「よく聞いてくれた。実はな……」と話し出したのだが、俺はその話を聞かなきゃよかったと後悔する。


 俺は王様の話を聞き終わり、自分でも眉間に皺が寄っているのが分かり伯爵の方を見ると同じ様に眉間に皺を寄せ右手でそれを揉みほぐすような仕草をしている。


 そして側近達はと言えば、俺の方を向いて両手を組んで拝んでいる。


 多分だが、俺が了承しないようにと願っているのだろう。


 俺は側近達に対しコクリと頷き王様に話しかける。


「もしかして、後ろの人達はそれぞれの国に送り込む大使ということでしょうか?」

「ああ、そうだ。これでも私なりに優秀な者を厳選したのだぞ。どこに出しても恥ずかしくない者達だ。なぁ!」

「「「……はい」」」


 俺の質問に王様は後ろに控えていた大使予定の者達八人を誇らしげに披露するが、対し予定の人達は何も知らない国に送り込まれる為か、皆が俯き暗い顔をしている。


 王様の予定では俺が北半球の世界樹を巡ったのをいい区切りだと思ったのか、今まで立ち寄ったエルフ、ドワーフ、獣人、ダークエルフの国に大使を送り込み国交をと考えているらしい。


 それと同時に自分に何かあった有事の際には、滞りなく避難出来る様にして欲しいと考えている様だった。


 だが、俺はその考えに対しいくつか質問した。


 それは、エルフやダークエルフの国は隣と言えなくもないが、ドワーフや獣人の国となればほぼ裏側になる。


 そうなると俺以外の人が辿り着くには難しいだろう。


 と、言うのも今の時点でどういう路程で行くのか、行けるのかが不明であること。


 そして、もし行くとしても往復でどの位の日数が必要なのかが分かっていないこと。



 それらのことから、大使予定の人達には片道切符しか用意されていないのでは思う。


 もし、交代要員を用意するとしてもいろいろと難しいだろう。


 で、最も大事なのが連絡手段だ。


 大使として赴くのであれば色々な取り決めが必要となるであろうことが予想されるが、そういうことに対する報告や相談などの連絡手段はどうするのかと質問すると王様は俺を見る。


 俺はイヤな予感がして「もしかして全部俺任せですか?」と問えば鷹揚に頷く。


「えぇ~」

「なんだ。何が不満だ? もちろん、正式な依頼としてギルドを通すし依頼料もそれなりにイロを付けるつもりだぞ」

「それは、有り難いと思いますが……」

「では、何が不満なのだ?」


 俺が王様の話に難色を示したことで大使予定の人達がコクコクと頷き、涙目で俺に対し頑張れと声にならない声援を送っている。


 俺はハァ~と嘆息しながらも考えていたことを話すと「は?」と王様だけではなく、伯爵まで「聞いてないヨ」と言いたげな顔をしていると先輩が「ちょっと、ヒロ! どういうこと!」と勢いよく扉を開けて入って来た。


「ウララ、盗み聞きは感心しませんね。まさか、また転移の瞬間に飛び出して来ようとしていたとか?」

「そ、そんなこと今は関係ないでしょ! そんなことより、さっきの話よ!」


 俺の問い掛けに先輩は後ろを警戒してから俺に食ってかかる。


「でも、普通に考えれば分かりますよね。せっかくの異世界なんだから色々と見て回りたいと思うのは当然ですよ」

「じゃ、私はどうなるのよ!」

「え?」

「え?」


 俺はせっかくの異世界なんだからと王様の依頼が終わったら、この国を出て旅するつもりだと言えば先輩はそんな話は聞いてないし、自分はどうすればいいのかと聞いてくる。


 だけど、俺はなんで先輩がそんなことを聞いてくるのか不思議に思い思わず「え?」と言えば、先輩も俺がそういうとは思わず同じ様に「え?」と聞き返す。


「なんで?」

「へ?」

「だから、なんで私を置いて行くの?」

「いや、だって……」


 先輩が泣きそうな顔でそんなことを聞いてくるが、俺は先輩がブランドの起ち上げで忙しいのは知っているから、俺に付き合う暇はないと思っていた。


 それにこの国を離れても俺であれば、いつでも帰って来ることは出来るから、それほど淋しいとは思っていなかったが先輩は一人残されると考えている様だ。


 そういう風に思っていることを話すと「じゃあ、私が会いたいと思っているときにはどうすればいいのよ!」と言う。


「あ……」と、そこまで考えていなかったことが顔に出るとリーアさんがふふっと少しだけ勝ち誇った様な顔で「大人しく留守番していて下さいね」と言えばガルちゃんも先輩を挑発するように「たまには帰って来るから、心配するな」と言えば、俺はそれに対し「え?」と言えば「は?」とその場にいる皆が驚いた顔をする。


「ヒロ殿! その『え?』はどういう意味だろうか? まさか、もうこの地を捨てるつもりなのだろうか? もし、そうなら是非考え直して欲しい。もし、陛下のワガママが問題ならば私が身命を賭してなんとかしよう!」

「ジャ、ジャミア伯?」

「ヒロ! ちゃんと帰って来ると約束して!」

「み、皆さん、ちょっと落ち着いて」


「「「落ち着けるか(ない)!」」」


最後まで読んで下さりありがとうございます。


おもしろい!

続きはどうなの!

応援してあげてもよくてよ!


と、思ってくれた方。

恥ずかしがらずに下にある☆を★にしてみませんか?


★は★★★★★までありますから好きなだけどうぞ!

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