第40話 こうするのはどうでしょう?
「ハァ~昨夜はヒドい目にあったなぁ~ん~でも、脳内メモリーは増えたから、ヒドい目と言うのは間違いなのかな……くふっ、あぁ~ダメだ! こんなんじゃいつか暴走しちゃうよぉ~」
『主ぃ~?』
「あ、ゴメンねセツ。さあ朝ご飯を食べようね」
『うん!』
昨夜のお風呂であった色々なことを他の人に話すなんて勿体ないことは出来ないけど、俺の脳内メモリーにはまだ鮮明に残されている。
出来れば、コレが俺の暴走を抑えるのに役立ってくれればいいが……でも、どちらかと言えば後押しされている様にも思える。
まあ、それがリーサさんの思惑だとしても今の俺には抗う術がない。
「とりあえず、朝ご飯を食べてから、王様の依頼を済ませるべくお出掛けだね」
『楽しみだねぇ~』
「そうだね。今度はどんなところなんだろうね」
『ねぇ~』
いつものボール形態のセツを右肩に乗せ、他愛もない話をしながら朝食を食べるべく食堂を目指していると「おはようございます」「おはよう!」とリーアさん、ガルちゃんの二人と合流する。
「おはよう。二人もこれから?」
「ええ、そうです。本当なら私達はそれほど食事は必要としないのですが、美味しいですからね。うふふ」
「おう! そうだな。俺もあまり食事には興味なかったが、美味いのはアレだな嬉しくなるな」
『だよねぇ~』
「お、セツも分かるか?」
『うん! 分かるよぉ~』
「そうか、そうか。さて、何が出てくるかな」
「もう、ガルちゃん。少しはしたないですよ」
「いいんだよ! な、ヒロ」
「うん、ガルちゃんが喜んでくれるなら、料理人も嬉しいんじゃないかな」
「ほら! ヒロも分かっているじゃないか」
「もう、そういうことじゃないんですけどね。ハァ~」
「まあまあ、リーサさん。いいじゃないですか」
「ヒロさんがそういうのであれば……えいっ!」
「え?」
「あ、おい、リーサ! くっ……じゃ、じゃあ俺も……えいっ!」
「へ?」
リーサさんは会話の終わり際に俺の腕を取ると、包み込むようにギュッとしてくる。
するとそれを見たガルちゃんも負けじと反対側の腕を取り、ギュッとする。
ガルちゃんはまだ恥ずかしいのか顔が少し赤らんでいる。
リーアさんはそんなガルちゃんを見て「まだ、私の方がリードしていますね」とボソッと呟く。
俺は少し歩き辛いなと思いながらも、その両腕の感触に鼻の下が伸びきっているのが自分でもハッキリと分かってしまう。
もうすぐ食堂というところで「このままじゃマズい」と思い自分で両頬を叩こうとして、柔らかいモノに包まれていることをイヤでも感じてしまう。
そして、俺が腕を動かしたことで、二人も「あっ……」とか言うものだから、俺は「ごめんなさい」と言い二人から離れ、自分の両頬をパンパンと二回叩き、ヨシッと気を入れ直す。
「もう、ガルちゃんのせいですよ」
「は? お前が妙な声をだすからだろうが!」
「あら、私だけですか?」
「くっ……」
食堂に入ると既に先輩が座っていて、俺に気付くと小さく俺を手招きするが「ヒロさんはこちらです」とリーアさんとガルちゃんに腕を取られ、先輩の隣ではなく対面に三人で並んで座る。
先輩は「負けないから!」と小声で言うと、自分の前に並べられた朝食に手を付ける。
俺達も朝食を食べ始めると、先輩から「今日もお出掛けなの?」と聞かれたので俺は「はい、ガルちゃんのところから初めます」と答えれば、先輩は「そう」とだけ言った後に「で?」と聞いてきた。
俺はその意図が分からず「はい?」と聞き返せば「だから、また連れて来るんでしょ。今度はどんな女性なの?」と言われた。
「えっと……連れて来るのは確定で、しかも女性限定ですか」
「違うの? 違うって言い切れるの?」
「いや、それを俺に言われても……ん~どうなのかな。リーアさん」
「どうでしょうね」
「え?」
「ヒロよ。俺もリーアも自分以外の守人の話を聞いたこともなければ会ったこともないんだぞ。それを聞かれても何を答えろって話だ。まあ、そのお嬢ちゃんが気にしているのは、そこじゃなくてこれ以上増やすなよって言いたいんだろ。な?」
「だ、誰がお嬢ちゃんですか! 確かに私はあなた方の歳からすれば、お嬢ちゃんどころか卵子の状態でもないでしょうが」
「おい! ケンカ売ってるのか?」
「なんですか! 買ってくれるんですか?」
「あ?」
「止めなさい! ガルちゃんもウララちゃんも」
「「……」」
先輩に今日の予定を聞かれたので今日はガルちゃんの世界樹から出発して次の世界樹を目指すつもりだと言うことを話せば、先輩は今度はどんな女性を連れて来るのかと聞いてきた。
これまで……と、言ってもまだ二本だけど、そこで出会った守人は女性でしかも俺を慕い着いて来てしまったことで、今度も間違いなく女性を連れて来るんでしょと言うことらしい。
そんなこと俺に分かるハズもなくリーアさんに確認したかったけど、ガルちゃんが言うように互いの存在すら認識していなかった二人が他の守人の情報を持っているハズもない。
そして先輩がそんなことを言い出したのは、俺の回りに女性が増えるのがイヤだからだろとガルちゃんに図星を突かれた様で先輩とガルちゃんがケンカしそうになるがリーアさんに止められ、二人は口を閉ざす。
「こじれてますね。では、こうしましょう。いいですか……」
「「「はい?」」」
ケンカになりそうなところを止められたせいか、どことなく怒りの行き場を失った二人に対しリーアさんはグッドアイデアだとばかりに両手を叩き、話し出したその内容に三人は驚いてしまう。
「うふふ、我ながらグッドアイデアだと自画自賛します!」
最後まで読んで下さりありがとうございます。
おもしろい!
続きはどうなの!
応援してあげてもよくてよ!
と、思ってくれた方。
恥ずかしがらずに下にある☆を★にしてみませんか?
★は★★★★★までありますから好きなだけどうぞ!




