第17話 それってなにペディア?
次の目的地を目指して進み始めたところでリーアさんが俺に尋ねる。
「ヒロさん、どうしてあっちじゃなくこっちに?」
「だってそっちに行くと戻ることになるでしょ」
「ん?」
「リーア殿、そちらの方向は私達が飛んで来た方向になります。なので、行程としては後戻りする形になりヒロ様としては面白くないと……そう思ってのことでしょう」
「うん、そう! オジーの言う通り!」
「ふふふ、このくらい……ヒロ様の従者としては当然のことです。俄のリーア殿に分かるハズもないでしょう」
「あら、オジーさん。それは私にケンカを売っているのでしょうか? うふふ、いいでしょう。オジーさんがそのつもりなら私だって……いつかはヒロさんの全てを理解して見せますとも。まあ、こうしている間にも私の味方である精霊が色々と伝えてくれるので、すでに達成しているかもしれませんが……うふふ」
「えっ?」
行き先を決めた理由を尋ねられ、オジーが言うように今進んでいる方向とは別の世界樹だとフィガラ王国へと戻る形になるためにそれはイヤだなという単純な理由で決めた。
そして、そんな俺の安直な決め方をオジーが「これくらいのことも分からない俄ですね」とリーアさんをからかった? ものだから、リーアさんも負けじと反論し俺のことは俺に纏わり付いている精霊が教えてくれるからと勝ち誇る。
そんな返答に今度は俺が驚く番だ。
「ちょ、ちょっと待とうかリーアさん」
「はい、なんでしょうか?」
「いや、なんでしょうかじゃなくて……俺のプライベートやプライバシー保護はどうなっているのかな?」
「ぷらいべーと、ぷらいばしいとはなんでしょうか?」
「あ、可愛い……じゃなくてね」
結界の上で胡座で座っている俺の膝の上で横座りしているリーアさんが俺の質問になんのことでしょうかと顎に人差し指を当てて首を軽く傾げて上目遣いで俺を見る。
俺はその仕草に思わず可愛いと呟いてしまうが、いやそうじゃないと気を取り直して膝上のリーアさんにまずはプライベートが何か、個人情報の大切さを訴えるが「ソレが何か? どうかしましたか?」と不思議そうに俺を見る。
「え~と、リーアさんも自分のことや秘密にしたいことが自分以外の他の人に知られたらイヤでしょ」
「うふふ、私にはヒロさんに秘密のことなどありませんよ」
「じゃ、リーアさんのおと「言いません!」……でしょ」
「でも、私はそれくらいですし」
「じゃあ、たいじゅ「そんなに知りたいのですか?」う……いいや、この間のお姫様抱っこで大体分かるし」
「ほぉ、ではどれくらいで……ぐっ!」
「ヒロさん!」
リーアさんにプライベートやプライバシー保護について説明すると理解はしてもらえたようだけど、肝心の秘密を知られたくないという点についてはあまり理解してもらえなかったのでリーアさんが他の人に知られたくないものとして歳にういて尋ねようとすると頑なに口を閉ざしたのでそう言うことだと教えるが自分にはそれくらいだからと開き直る。
なので、じゃあ体重はと聞こうしたら「そんなに私のことが知りたいのですか」と返り討ちに遭いそうになったので「あ、分かるからいいです」と答えれば、横から興味を持ったオジーが聞き出そうとしたらリーアさんに肘鉄をくらう。そしてリーアさんは俺に対し嘆息しながら「よぉ~く分かりました」と頭を垂れる。
「これからは必要最低限に留めますね」
「ん? ちなみに必要最低限ってどれくらい?」
「そうですね。分かり易くいうならば、おはようからおやすみまでの間に起こったことでしょうか。うふふ」
「いや、うふふじゃなくて……それってほぼ一日中じゃん! ダメでしょ!」
「そうですか?」
「そうですよ! なんでそんな監視されなきゃいけないの。ヘンでしょ」
「そうでしょうか。好きな相手のことならなんでも知りたいと思うのはごく自然なことだと思うのですが」
「そうかも知れないけど、何事にも限度があるってことを覚えましょう」
「……ん~納得出来ませんが分かりました」
「ま、分かってくれたのなら、いいのかな?」
「はい。これからは精霊ではなくヒロさんに直接聞くことにします」
「……なるべくお手柔らかにお願いします」
「はい。なるべくですね、うふふ」
「まあ、イチャつくのはそれくらいにしてですね。そろそろ準備の方をいいですか」
「え? あ!」
「あら、もうこんな近くに」
オジーにいい加減にしてくれと言われ、進行方向に視線を向ければ、そこにはリーアさんがいた世界樹と同じ様に大きな世界樹がそびえ立っていた。
まだまだ到底手を触れられる距離ではないが、それでも後数十分もしない内に辿り着くのは間違いないだろう。
「で、あそこにはどんな守人が?」
「さあ?」
「さあって、知らないんですか?」
「ええ、知りません。どんな方なんでしょうね。もう、今から会うのが楽しみです!」
「オジー……」
「私に振らないで下さい。大体、こんな場所まで来るなんて思ってもいなかったのですから。通常の者なら一生掛けて辿り着けるかどうかの行程だと……それくらいしか私には分かりません」
「でも、ほら! 何か伝説とかあるんじゃないの? 出るときにも少し教えてくれたじゃない」
「……あれが私が知っている全てです」
「えぇ! じゃあ、全くの予備知識無しってことなの」
「今更ですね。大体、リーア殿の時もそうじゃないですか」
「そう言えば、そうだったね。じゃあ、なんとかなるかな」
「そうなればいいですけど……それもフラグというヤツにならなければいいのですが……」
「よく分かりませんが、立ったフラグは折るモノと聞いています。私、頑張って折りますね」
「……なんかリーアさんの知識が偏っている気がするんだけど……もしかしてそれも精霊由来だったり?」
「はい。前々々……でしょうか。それくらいの客が言っていたと聞いています」
和やかに笑うリーアさんになんとも言えず頭を掻いて誤魔化しながらも「まあ、なるようになるか」と正面の世界樹をジッと見詰める。
「どうか、何事もありませんように!」
「「『だから、それはフラグでしょ!』」」
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