第15話 どっちが正解?
「リーア様の事情は察することは……全てを察することが出来るとは言いませんが、ある程度のことは理解出来たと思います。ですが「私は相談に来た訳ではありませんから」……え?」
「ですから、私はあなた方に相談しに来た訳ではなく単なる報告と、それに関して変な考えを起こさないようにと釘を刺しに来ました」
リーアさんはエルフ達に対し単に俺と一緒になることを報告しに来ただけだと宣言すると共に変な考えを起こさないようにと念を推す。
「ご報告の内容は分かりました……とは素直に言えませんが、理解に努めます。ですが、釘を刺すとはなんのことでしょうか?」
「今更、惚ける必要もないでしょ。あなた方のことだから私がヒロさんに……ヒト族に攫われたと思い込み、争いを仕掛けようとしていたのでしょ」
「「「!!!」」」
「それと併せて今までヒト族に色々された恨みつらみも一緒に晴らそうとしたのではないですか?」
「「「……」」」
「誰も答えませんか。ならばそれは肯定と受け取ります」
「リーア様! ですが、あなたは実際にそこの男に攫われたではありませんか!」
「ハァ~ですから……」
リーアさんは嘆息しながら「だから攫われたのではなく自分の意思でヒロさんに着いて行ったと何度言えば」と呆れた表情で言うが「しかし」とエルフ達は素直に頷いてはくれない。
「あのですね、仮にですよ。仮にあなた達が言うように私が攫われたのであれば、私は誰の意思でここにいるのでしょうか?」
「「「あ……」」」
「ようやく分かってもらえたようですね」
「「「……はい」」」
リーアさんは微笑みを浮かべながらエルフ達を見渡し「コホン」と空咳をしてから「そういう訳で私はヒロさんと一緒にここを出て行きますので」と宣言すると「えぇ!!!」とその場にいるエルフ達が絶叫に近い声をあげる。
「そ、そんなの聞いてないですよぉ~」
「だって、今言いましたからね」
「世界樹はどうなるんですか?」
「ヒト族……ヒロさんが死ぬまで多く見積もっても百年はないでしょうから、そんな短期間であれば問題ないでしょう」
「でも、そうなると国王が……」
「あら? 現人神と崇め奉る私よりも国王の言うことを聞くと言うのですか? ならば、私は憂いを残さないためにもいっそのこと……ここを「リーア様!」……ふふふ、分かってもらえましたか?」
「……はい! 分かりました! 分かりましたから、どうかお怒りをお鎮め下さい!」
「「「お願いします!!!」」」
リーアさんが出て行くと宣言するとエルフ達は口々にリーアさんを責めるように追い立てるがリーアさんをそれをするすると躱していく。
だが、それでもとリーアさんを束縛したいとまでは言わないが、リーアさんに見放されたくないとあれやこれやと言い訳をするが、そのどれもがリーアさんを引き留めるまでにはいかない。
そしてその中に俺の寿命を「たかが百年」と言われてちょっとガックリと落胆するが、リーアさんの言う通り頑張って長生きしても百歳ちょっとだろう。
まあリーアさんの生きてきた年月からすればアッという間なんだろうなと思う。
取り敢えずはこれで、フィガラ王国が攻撃されることはないだろう。
「取り敢えずはこれでひと安心と」
「まあ、ここまではそうですね」
「ん? オジー、何が言いたいの?」
「確かにエルフ達にはリーア殿が説明してくれたことで、なんとか矛を収めてくれたと思いますが、問題はこの後ではないでしょうか」
「この後?」
「はい。先程、リーア殿はヒロ様と一緒に着いていくと宣言されました」
「ええ、言いました。それが何か?」
「ハァ~いいですか。リーア殿はこの国の最重要人物なのですよ」
「それは分かっているけど?」
「私には関係ないことです」
「ハァ~……」
俺はこれで肩の荷が少しは軽くなったと喜んでいたら、オジーが喜んでいる場合ですかと冷水を浴びせてきた。
確かにフィガラ王国との争いの火種を潰すことは出来たが、肝心の火種と言うか火薬庫になりかねないリーアさんが一緒に着いてくるのであればそれが一番の問題だと指摘する。
「ん~オジーさんは私が一緒に着いてくるのが迷惑だと……そう仰るのですね」
「まあ、平たく言えばそうですね」
「であれば、それは謹んでお断りします」
「でしょうね」
「あら、意外ですね」
「別におかしくはないでしょう。いくら私がイヤと言おうが決めるのはヒロ様なのですから」
「え、俺なの?」
「ヒロさん!」
「ヒロ様!」
「えぇ~」
オジーが猛反対するであろうことはなんとなく分かっていたけど、リーアさんのことを俺に一任するとまでは思っていなかった。
オジーが猛反対するならと上手くいけばリーアさんの同行を断れると思っていたんだけどなぁ~と考えていたのがガラガラと脆くも崩れ去る。
「ん~」
「ヒロさん?」
「ヒロ様?」
「リーアさんはやっぱり、この地に「ヒロさん!」……うっ」
「じゃ、リーアさんも一緒に「ヒロ様!」……うぐっ」
「あぁ~もうどうすればいいのさ!」
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