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突然だけど、空間魔法を頼りに生き延びます  作者: ももがぶ
第3章 ただいま、放浪中
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第10話 瞳を閉じれば……

「……って、ことがあったんだけどね」

「ハァ~それでですか?」

「え?」


 昨日、セツと一緒にお風呂に入っているとリーアさん達四人の襲撃にあいはしたが、それ以上に得られたモノが大きく今も瞼を閉じればそれがありありと浮かんでくる。


 だからなのか、今もオジーにコトの顛末を語っていたところ手鏡を渡されて「鼻の下が伸びってますよ」と言われ鏡の中の自分を見ると「あ! 確かに」と納得するしかなかった。


 まあ、互いに裸を見られただけで特には何もなかったのだけど、セシル以外の裸体は初見だし、リーアさんのは言うまでもなく「女神かよ!」と言いそうになったほど素晴らしく(実際に現人神のようだけど)、ユリアはと言えば細身なのにキュッとしているし先輩はタオルを取ることはなかったが、水分を含んだタオルがピタリと貼り付きそれはそれで……と、思い出すだけで顔が緩んでしまう。


「とにかく、今日はリーア殿を連れてリリージュ国に出向くのですからシャンとして下さいシャンと!」

「……はい」

「それで肝心のリーア殿はどちらに?」

「え? オジーと一緒じゃないの?」

「何故、私が?」

「何故って……何故?」

「はぁ……ったく。ヒロ様一人で行ってもしょうがないって分かってます?」

「そりゃ……で、リーアさんはどこなの?」

「だから、ソレを私に聞きますか!」

「あ、うん……探してくるよ」

「なるべく早くお願いしますね」

「はい……努力します」


 オジーに言われたからじゃないけど、確かにリーアさんがいないと話が一向に進まないのは確かなので嘆息しながらも探すしかないかと部屋を出たところで「いた!」と先輩に腕を掴まれる。


「え?」

「いいから、早く!」

「へ?」


 先輩に腕を掴まれたまま廊下を進み辿り着いたのは食堂だった。


「あれ、何とかしなさいよ」

「あれ?」

「そ、あれよあれ!」

「あれって……えぇ!」


 そこには食堂のテーブルで御屋敷の料理人にあれやこれやと口にしながら「これじゃない。味はもっと薄口で」とか色々と注文を付けていた。


 リーアさんの前にはちょっと口を着けただけの料理が所狭しと並べられていて、その前には料理人が腕組みをしてウンウン唸っていた。


「リーアさん、これは何をしているの?」

「あ、ヒロさん。ちょうどよかったです。昨日のってありますか?」

「ん?」

「ですから、昨日食べたモノを出して欲しいとお願いしたのですが、どれも微妙に味が違っていまして……」

「あぁ……」


 俺は色々と事情を察し目の前の皿を片付けて下さいとお願いすると「俺が!」「私が!」と数人の男性が手を挙げる。


 どうやらリーアさんの食べかけがお目当ての様でこれが番組なら「スタッフが責任もっていただきました」とテロップが流れているだろう。ちょっとニュアンスは異なるけど。


 とりあえず料理人の人には知らなかったこととは言え、リーアさんが迷惑を掛けたことを謝り倒すが料理人は腕組みをしたまま立っている。


「……許してはもらえませんか?」

「……これでも私は料理人です。いくら、無理なお願いだと分かっていても『美味しい』と言われないまま終わらせることは出来ません! ヒロ様、ご面倒だとは思いますが……リーア様が食されたのをご存じでしたら……どうか、お願いします! 私に教えてもらえないでしょうか! どうか、どうか、この通りお願いします!」

「えっと……」

「やはり、ダメでしょうか?」

「いや、ダメじゃないけど……」

「では!」

「ん~ま、いいか。でも量はないし、ちゃんとしたレシピはなくて現物になるけど……それでも構わない?」

「はい! おねがいします!」

「じゃ……」


 俺はこれで許してもらえるならとデパ地下惣菜とデパ地下スイーツをテーブルの上に並べると料理人にどうぞと渡す。


「ありがとうございます!」

「いえ、対してお役に立てず申し訳ありません」

「いえいえ、とんでもございません。必ず、モノにして見せますので……おい!」

「「「はい!」」」


 料理人達がテーブルの上の料理を片付けるとリーアさんが俺に向かって両手を差し出すので「???」と頭を捻っていると「私、お腹が減っているんです」と言う。


「え? さっきのは?」

「一口だけしか食べていませんから」

「いや、でも「一口だけです!」……あ、そう」


 リーアさんはお腹が減ったと言うけど一口だけしか食べていないと言い張るが、あれだけのお皿の量なのだから例え一口ずつだけとはいえ結構な量になるのではと頭を過るがそれでも一口だけだからと言い張るので面倒になり「じゃ」と昨夜のデパ地下惣菜を並べる。


「そうです! これです、コレ!」と嬉しそうに頬に両手を当てて「きゃぁ!」とはしゃぐリーアさんを見て「これで結構なお歳なんだよな」と見れば「ダメですよ」とリーアさんに釘を刺されてしまう。


「あれ、私のなのに……」と先輩は指を咥えて物欲しそうにしているが「ウララの分は渡しましたよね」と言えば「何時の話よ!」と言われてしまう。


「もう食べちゃったんだね」と言えるハズもなくリーアさんと一緒に俺も朝食を済ませてから執務室でお仕事中の伯爵に「じゃ、ちょっと言って来ます」とだけ伝えるが「頼むから火種だけは持ち帰らないで」と懇願されてしまう。だから「俺に言われても」とだけ答えれば「なら、誰に言えと!」と返されてしまいそれもそうかと「なるべく」と言い直し部屋を後にする。


最後まで読んで下さりありがとうございます。


おもしろい!

続きはどうなの!

応援してあげてもよくてよ!


と、思ってくれた方。

恥ずかしがらずに下にある☆を★にしてみませんか?


★は★★★★★までありますから好きなだけどうぞ!

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