第54話 発表します!
「さて、美の女神の化身と言われるウララ嬢だが、この度元の世界より美に関するあらゆる商品の基礎知識を齎してくれた。その品の効果についてはこの場では特に報告するまでもないと思うが、貴君らもこのまま手ぶらで帰っては細君に顔向け出来ないだろう」
王の言葉に少々呆れ顔の先輩以外がウンウンと頷く。
「そんな貴君らに胸を張って帰ってもらえるように重大発表がある!」
「「「おぉ!!!」」」
謁見の間に響めきが起き、王がそれを手で制し静寂が訪れたところで「ジャミア伯爵、説明を」と、一歩下がり伯爵は会釈をしてからお貴族様達に向かい大きな声で発表する。
「お聞き下さい! この度、客であるウララ嬢監修の元、洗髪など髪を綺麗にし、その効果を長らく保たせる為の品だけでなく肌艶を美しくするためのあらゆる品を『コスメウララ』として私のジャミア領にて開発、製造を行い順次販路を拡大していく所存です」
「「「おぉ!!!」」」
「此度は少量ですが、見本を用意させて頂きました。後ほど、皆々様方にお渡しする手筈は整えております。是非、使用してご意見を賜ればと思います」
「「「……」」」
「ん?」
見本を渡すと言ったのに反応が薄いことに伯爵だけでなく王も不思議に思っていると「今、この場で求めることは出来ないのだろうか」と声が上がるとそれに同調するように「いつ買えるのか」「纏まった量はもらえないのだろうか」など、見本だけでは満足出来ないとばかりに段々と声が大きくなり始めた。
謁見の間がそんな声で騒々しくなったところで「静粛に!」と王がパンパンと手を叩き耳目を集める。
「そう急くな」
「ですが……」
まだ何か言いたそうなお貴族様を王が一瞥すると、そのお貴族様も言葉を噤むしかない。
「コホン、いいかな。今日は用意された見本を持ち帰りなさい」
「ですが……」
「ああ、言いたいことは分かる。だがなジャミア領では今、この時も増産すべく頑張ってくれている。だから、これ以上無理をさせることは無謀だ」
「なれば……」
「別の地でもと……そう言いたいのかな」
「はい。その通りでございます。是非、御検討頂ければと思います」
「うむ、そうだな。それについては一考に値すると思うが、まだ本拠地での生産体制も整っていない内からそういう話は無理だ」
「しかし「まあ、待て」……はぁ」
王はこの場に並ぶお貴族様達を見ながら「待て」と言い、落ち着かせる。
「ウララ嬢が製造する商品は今後、数十年どころか半永久的に女性達の心を鷲掴みにするであろうことは私にも想像がつく。だからこそ、端でもいいからと絡みたいのも分かる」
「「「……」」」
王の言葉に図星だとばかりに何人かのお貴族様の顔が強ばる。
「この際だから、少し大きめの釘をさすが私が許可した者以外の『コスメウララ』の製品の製造販売を禁止する!」
「「「え!」」」
「また、類似品や粗悪品を製造販売した者に対しても、その責を問う。仮にその地で行われた場合には、その地を治める領主と寄親である貴族に対しても責を問うので、そのことをよく覚えておくように」
「「「!!!」」」
王は少し大きめと言ったが、邪なことを考えていたお貴族様達にはぶっとい五寸釘がささったことであろう。
伯爵がコソッと教えてくれたが、この世界でも特許法に似た法律があるらしくその権利は法の下に守られているらしいが、現代日本でもコピー商品が出回っていることからも、その法の編み目をいくら細かくしても抜け目を探す輩という者はどこにでもいるらしい。
伯爵によれば末端の市井の者を上手く使い、何かあれば寄親まで辿り着くまでに蜥蜴の尻尾切りよろしくでなかなか上まで辿り着けないのが現状らしい。
だが、今回は王が先輩の後ろ盾となり保護することを公言した。
と、なれば王の影も先輩はもちろん、『コスメウララ』に関する全てに対し耳目を集めることであろう。
そうなれば王の影から逃げることなど、とても無理だろう。
だが、国境付近の貴族であれば、どうにか製法や製造に携わる者を他国に誘致……若しくは拉致して国法が及ばない他所で開発するかもしれない。
そうなるとことは国家間の話となり、問題は大きくなるが伯爵は心配することはないと言う。
俺は何故、そんなに自信満々なのかと不思議に思ったが、この国とコトを構えるには利が少な過ぎるらしい。
俺もこちらに来てそんなに日が経っていないことや国際的な立ち位置などはまだ教えてもらっていないので「そうなんですね」と曖昧に返事するしかない。
「だが、ウララ嬢はこれから大変だぞ」
「ええ、そうですね。色々と忙殺されるでしょうね」
「ん? 何を言っているのかな?」
「え? だから、これから忙しくなるってことでしょ」
「まあ、確かに忙しくなるのは間違いではないが、多分ヒロ殿が思っている忙しさとは全然違うぞ」
「へ?」
「ふふふ、それはだな……」
伯爵は先輩を見ながら「嫁がダメなら側室でどうかと引き合いが来るだろうな」と言う。
「側室? 先輩が?」
「何がそんなに不思議なんだい?」
「だって、俺達はド平民ですよ。そんなのがお貴族様になんて」
「そんなに珍しい話ではないだろう。正室であれば貴族位が問題になるのは確かだが側室か愛妾であれば問題ではない」
「うわぁ……」
そんな先輩の未来が明るくあります様にと心で合掌する俺だった。
「なんでなのよ!」
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