第52話 使ってみないと分からない。でも、どうやって?
「では、紹介しよう。彼らが今代の客で、ヒロ殿とウララ嬢だ。皆、よろしく頼むぞ」
「「「ハッ!」」」
伯爵と共に王の前まで進むと回れ右して貴族達に思う存分見てもらっているのだが、なんだろ? どうにも皆の視線がむず痒い。
それに聞こえてないと思っているのか聞こえても構わないと思っているのか。多分、後者だろうが好き勝手に言われているのがどうにもむず痒い。
「ほぉ~あれが……」
「平たいわね」
「イケメンでもない……」
「でも、ちょっといいかも」
「あの女は……ないな」
「ヒロ……聞こえているんでしょ」
「まあ」
「で?」
「で? って?」
「だから、私が好き勝手言われているのよ。何か言い返さないの?」
「それを言うなら俺も好き勝手放題言われているんですけど?」
「それは……」
「それは?」
「単なる事実でしょ」
「……確かに……って、そうじゃないでしょ」
「そんなことよりほら! さっさと言い返しなさいよ」
「……やめときます」
「なんで?」
「なんでって……相手はお貴族様ですから」
「そんなの関係ないでしょ!」
「いや、お貴族様ですよ。面倒以外の何があります?」
「ん~言われてみれば」
「ん、んんっコホン……」
「「あ!」」
俺達に注目しているお貴族様達の罵詈雑言とまではいかなくても好き勝手に言っていたお貴族様達に俺と先輩が言い合っていた内容が全てマルッと聞こえていたようで伯爵が空咳をして気付かせてくれた。
「あ~私がお貴族様を代表して言わせて貰うとだな客に対しての興味が半分で……後は……」
「ん? 後は?」
「どうにかして取り込もうと画策中ってところかな」
「あ~」
「ねぇどういうこと?」
「掻い摘まんで言うと」
「言うと?」
「取り込んだら金になる木かどうかを見極めようってことだな」
「それなら、俺は関係ないですよね」
「ん~そうだな。ここではウララ嬢がコスメ部門の責任者として発表されるからな。ヒロ殿はどうでもいい存在でしかないな」
「うわぁ~ぶっちゃけましたね」
「そうか? それともホントのことを言って欲しかったりするかな?」
「いえ、それはそれで面倒だからお断りします」
「だよねェ~」
「で、私はどうすれば?」
「どうすればって……」
ここに集まったお貴族様達は俺達が客と言うのを理解した上で、どうしたら自分の陣地に取り込み金の卵を産ませるかを画策していると聞かされるが、俺のスキルは公表されないので、現時点ではコスメ部門の責任者として発表されるから、多分……恐らく……確実にお貴族様達の興味は先輩へと注目されることだろうと予測される。
で、そんな先輩にどうすればいいのかと聞かれるが、そんなの俺にも分からない。
でも、言わせてもらうならば先輩には『絶対防御』と言う有り難いのかどうなのか使い途が分からないスキルを持っている。
だから、それほど心配することはないと言ったけど、そのスキルがどう作用するのかは実際に襲われるなりしないと分からない。
しかも、そのスキルの使い方は先輩もよく分からないといい、俺が試しに先輩に肩パンしても防御されずにスルーし、普通に先輩が肩パンを食らっただけだった。
肩パンされた左肩を痛そうに擦りながら先輩が言うには、先輩自身を害しようと思ったり、殺そうとする害意や殺意が感じられないと発動しないらしいと言われ納得してしまう。
「まあ、いいじゃないですか。その時が来れば分かるんだし」
「は? なにそれ?」
「何ってスキルの「本気で言ってる?」……意外とガチで」
「は?」
「いや、だって練習出来ないんじゃ本番一発に掛けるしかないし……」
「は?」
「コホン……そろそろいいかな」
「「「すみません……」」」
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