表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
突然だけど、空間魔法を頼りに生き延びます  作者: ももがぶ
第2章 新天地を求めて
115/191

第51話 今、ゆっくりと歩き出す

「そろそろ出番だな。では、準備しようか」

「はい。それはいいとして……」

「ん? 何か?」

「いえ、この格好のままでいいのかなって」

「そのことならば、何度も話し合ったではないか」

「ですが……なんというか……お貴族様と会うのに失礼じゃないのかなって」

「ふぅ~私も君の言うところのお貴族様なのだがな」

「あ、いえ。決してそういうつもりでは」

「ふふふ、別に怒っている訳ではないのだよ。単に揶揄っただけだ。それよりもだ」

「はい?」

「ヒロ殿、君はこんなゴテゴテした衣装を身に纏いたいのかい?」

「ん~ごめんなさい」

「うん、分かっているよ。仮にだ。仮に君が着たとしても……似合わないでしょ」

「ぐ……た、確かにそれもありますが……随分、ハッキリと言いますね」

「だってハッキリ言わないとまたグダグダと悩むよね」

「う!」

「ぷはは、ヒロ。あなたの負けよ。伯爵様の言う通りあなたがそんな衣装を身に纏っても幼稚園の出し物みたいでとっても不似合いよ」

「でも、ウララは着てみたかったんじゃないの? ああいうお姫様っぽいドレスは憧れとかじゃないの?」

「ん~そうね。ディズニープリンセスに憧れなかった訳じゃないけど……もう二十六歳だし……」

「ソレ言ったら、大阪のおばちゃんに負けないくらいにゴテゴテした女性もいましたけど……あの女性(おばちゃん)達は何歳(いくつ)なんでしょうね」

「うん、ヒロ殿。それくらいにしておこうか」

「ですがちょ「言いたいことは分かる。だが、言わない方がいいことも多々ある。そういうことだ」……はぁ」

「あれ、もしかして……あぁ~そういうことだったんだ。もうヒロったら」


 俺が今着ているのは、ここに転移して来た時に着ていたスーツだ。


 同じ様に先輩もピンク色っぽいタイトスカートにジャケットというビジネススーツを着ている。


 だから謁見するのに「ホントにこんな格好でいいのだろうか」と伯爵に確認したのだけど、伯爵はスーツも日本(向こう)では正装とみなされるのだから問題ないだろうと答える。


 そして何より一番重要なのは俺にはああいった王子様っぽい衣装は似合わないということだった。


 日本人特有の平たい顔に幼い顔付きであることも加え、どう頑張っても八頭身とは言えない体型であるためどうしてもチグハグになってしまう。


 だから、伯爵が許す許さない以前に俺はスーツ一択だった。


 だけど、先輩ならああいった煌びやかな衣装を着たいのではと思い、一応念の為と伯爵に確認していたのだけど俺もスーツなら私もだと先輩もスーツでの参加となった。


 先輩のドレス姿も「ちょっと見たかったな」と呟いたのを先輩に聞かれたのか、さっきから先輩が機嫌良さそうにニヤつきながらやたらと俺の脇腹をツンツンと突いてくる。


「ヒロ、ドレスならいくらでも着てあげるわよ。ちなみにどういったのが好きなのかしら」

「ちょ、ちょっとウララ! 近いから!」

「もう、照れなくてもいいじゃない。なんなら、ドレスの下でもいいのよ」

「えっと、保留じゃ?」

「あ、そ、そうよ。まだヒロとのことは保留よ、保留。でも、そうね……ヒロがどうしても望むのなら考えなくもないわよ」

「あ、いいです」

「どうして!」

「いや、面倒な気がして」

「もう、そういうとこ!」

「コホン……で、いいのかな?」

「「あ、はい!」」


 謁見の間の豪華な扉の前に立っていたことを忘れ、先輩と二人で巫山戯合っていたところを伯爵の空咳で我に返り姿勢を正す。


「では、行きましょう」


 扉の前に立つ二人の衛士に伯爵が目配せをすると衛士が重そうな扉をゆっくりと開く。


「ふふふ、覚悟はいいかな。もう戻れないよ」

「はい。ただ早く終わってくれることを願うだけです」

「そうね、早く帰ってゆっくりしたい!」


『ジャミア伯爵、並びに(まれびと)様達のご入場です!』


 衛士が言い終わると同時に伯爵がゆっくりと歩み出す。


 俺達二人も伯爵に遅れないようにと並んで歩き出す。

最後まで読んで下さりありがとうございます。


おもしろい!

続きはどうなの!

応援してあげてもよくてよ!


と、思ってくれた方。

恥ずかしがらずに下にある☆を★にしてみませんか?


★は★★★★★までありますから好きなだけどうぞ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ